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参考資料4 有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン更新版2020年3月31日 (24 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25869.html
出典情報 がん検診のあり方に関する検討会(第35回 5/25)《厚生労働省》
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VII. その他の判断材料
1. 費用/医療資源
保険点数をもとに費用を考慮すると 28)、細胞診は細胞診診断 200 点、HPV 検査は 360 点であ
り、両者の採取にあたっては子宮頸管粘液採取料 40 点であった。すなわち HPV 検査単独法、細
胞診・HPV 検査併用法は、細胞診単独法のそれぞれ 1.7 倍、2.5 倍であった。精密検査としての
コルポスコピーは 210 点であり、組織採取 200 点、病理組織標本作製料 860 点、組織診断 450
点とすべて合わせて 1,720 点であった。
費用効果分析で検討した研究は、すべて海外の研究結果であった。スクリーニング検査やその
後の診療費用等が国によって異なっているが、特に HPV 検査の費用を動かした感度分析を行っ
ているもの、すなわちわが国での HPV 検査の費用が分析対象に含まれているものを主体に検討
した。おおむね 1.細胞診・HPV 検査併用法、2.HPV 検査単独法、3.細胞診単独法の順に費
用効果的に良好であるという結果にはなったが、HPV 検査を含む方法の検診間隔は 3 年のもの
がほとんどであった。
日本の子宮頸がん検診の中心をなす産婦人科医の分布について検討したが、平成 28 年度医
師・歯科医師・薬剤師調査によれば、産婦人科・産科・婦人科を主たる診療科としている医師は、
人口 10 万人あたり 10.4 人であり、平均を上回るのは 47 都道府県中 14 都道府県であった 29)。こ
れらの診療科医師のいない市区町村は全国市区町村の 43.6%に及び、北海道にいたっては、全
市区町村の 76.2%を占めていた。婦人科医は都市部へ偏在しており、人口あたりの婦人科医割合
と子宮頸がん検診受診率は相関関係にあり、婦人科医が不足している地域では受診率が低いと
いう国内の報告が認められた

28:Sano-2017)。また診断・治療を担当する日本婦人科腫瘍学会専門医

の偏在の報告も見られ、地域格差は歴然として存在する

29:Fujii-2017)。従来どおり婦人科医が検体

を採取するという前提に立つと、細胞診と HPV 検査は採取法が同様であり、HPV 検査を導入す
ることでスクリーニング検査のキャパシティ不足が新たに発生するということは考慮せずともよく、検
診間隔を延長することで対応は可能と考えられた。また HPV 検査の自己採取法が将来的に容認
された場合は、婦人科医のリソースが少ない地域への対応も可能になることが期待された。
一方 HPV 検査陽性者の経過観察・追跡に要するマンパワーについては、検診結果毎のアルゴ
リズムが作成されていない現状では検討が困難であるが、婦人科医が不足している地域では、大
きな問題となる可能性は十分あると考えられた。同様にコルポスコピーに関しても、専門医の修練
項目に含めている婦人科腫瘍学会専門医や教育施設が偏在を示していた

31)。HPV

検査を含む

検診手法を用いた場合に、要精検者は増加するが、そのすべてにコルポスコピーを行うと、コルポ
スコピーのキャパシティを大幅に超えてしまうことが予想され、諸外国と同様にキャパシティ不足を
回避するためのトリアージ/アルゴリズムの工夫が必要かつ十分条件と考えられた。
以上から、HPV 検査単独法でも細胞診・HPV 検査併用法でも費用/医療資源の観点からは、
実施を制限すべきであるというほどの大きな問題はないと考えられたものの、HPV 検査陽性で長
期追跡を要するものに対する医療資源という点では、十分な配慮が必要と考えられた。