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参考資料4 有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン更新版2020年3月31日 (40 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25869.html
出典情報 がん検診のあり方に関する検討会(第35回 5/25)《厚生労働省》
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5. 細胞診の役割
本ガイドラインでは、 HPV 検査単独法、細胞診・HPV 検査併用法を主として取り上げた。
HPV 検査単独法に関して懸念されてきたのは、腺がんが HPV 検査で拾い上げできるかどうかで
あった。HPV 検査による浸潤がんの検出率を検討した国際共同研究では、HPV 陽性率は扁平
上皮がん 87%、腺がん 62%であった

86)。同様の国際共同研究では、腺がんにおける

率は 62.8%であったが、組織亜型により陽性率は異なっていた

87)。腺がんのうち

HPV 陽性

Classic type で

は 71.8%だが、異型を含む Minimal deviation では 8.3%であった。ただし、腺がんのうち、
83.1%は Classic type であり、Minimal deviation は 1.8%に過ぎなかった。この研究における
Classic type 以外の腺がんの割合は 17%であり、先行研究の 11~16%とほぼ一致している 88~90)。
こうした報告に基づき、細胞診を併用しなかった場合に腺がんを見逃す可能性が指摘されてき
た。確かに、一部の研究では腺がんにおける HPV 検査陰性率が 25%以上との指摘があるが、逆
に細胞診陰性例も 20~50%程度あり、両者陰性例も 8~19%であった。腺がんの検出率について
は、細胞診がやや優れているものと、HPV 検査が優れているものとの両者が報告されている 54, 86,
87, 91~94)。

Kaiser Permanente Northern California データベースにより診断から最大 6 年以上の後ろ
向き検討を行った報告では、HPV 検査陰性かつ細胞診陽性例からのがん発症は全がんの 5.9%
に過ぎず、その多くは扁平上皮がんであったと報告している

94)。この結果からは細胞診の併用が、

腺がん発見に寄与する可能性はそれほど大きくないと考えられる。
HPV 検査に細胞診を併用することにより、前がん病変や腺がんを含む浸潤がんの検出力を増
加させることは可能と考えられるが、その効果は小さく、対策型検診としては併用によりもたらされる
偽陽性率の増加と、それに伴うコルポスコピー件数の増加という不利益とのバランスを考慮する必
要がある。
また、本ガイドラインでは、HPV 検査単独法の場合の細胞診トリアージに関しては言及していな
い。これは前述した検査結果に応じたアルゴリズムのなかで、検討されるべき課題であり、そこで
HPV 検査単独法における細胞診の役割を定義すべきである。