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参考資料4 有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン更新版2020年3月31日 (25 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25869.html |
出典情報 | がん検診のあり方に関する検討会(第35回 5/25)《厚生労働省》 |
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2. 価値観・受診意欲の向上
HPV 検査に対する価値観や感情を評価した質的研究が 11 件報告されていた。HPV 検査に
対してポジティブな価値観や感情を示した論文と、逆にネガティブな価値観や感情を示した論文と
に二分された 32~42)。
ポジティブな価値観や感情を示した論文では、従来の細胞診検査では HPV 感染がわからない
ことなどから、二者択一した場合細胞診単独法を選択するものは 20 人中 1 人もなく、全員が HPV
検査を含んだ方法を選択していたことが報告されている
34)。また
HPV 感染が一過性の性感染症
であることを理解したうえで、たとえ HPV 検査で感染が確認されても、自分の免疫力で排除できる、
1 年後のフォローアップ検査で陰性とわかることが喜びにつながる、パートナーへの安心感につな
がるといった報告がみられた 33)。
一方、ネガティブな価値観や感情を示した論文では、HPV 感染を家族やパートナーに伝えるこ
とへのためらいを示す研究のほか、HPV 検査陽性を伝えられた場合、がんの告知と同様の不安
やショックを感じるという報告が見られたが、多くは HPV 感染が一般的かつ一過性であるという特
徴への理解不足からくるものであり、また一般的ながん検診に共通した反応でもあった 32,
33, 36~42)。
HPV 検査に対する価値観や感情を population レベルで評価した量的研究は行われていなか
ったため、これらの価値観や感情を示すものの割合は定かではない。質的研究から明らかとなった
個々の意見は必ずしも一様ではなく、検査結果に対して多様な反応が起こりうることを示唆してい
る。ネガティブな価値観を示した論文においても、HPV 検査の普及を批判する論調ではなく、新し
い検査方法としてどこに配慮が必要か、情報提供として何が必要かを示す建設的な内容であった。
これらの文献からは、1)細胞診を含めた既存のがん検診と異なり HPV 検査があくまで将来のリスク
を示しているだけに過ぎないこと、2)性感染症の検査であり、他人に結果を相談しにくいこと、という
2 点について、一定の配慮が必要であり、きちんとした情報提供のあり方と、相談窓口の提示が必
要であることを示唆している。すでに国内の様々なウェブサイトやリーフレット等で HPV 感染症に
対しての適切な情報提供が行われているが、引き続き情報提供を充実させていくべきである。
HPV 検査を用いることによる検診受診意欲の向上については、開発途上国や欧米での長期未
受診者を対象とした HPV 検査単独法の自己採取法の介入研究において、おおむね検査受診率
の増加を認めており、すでにオランダをはじめとして長期未受診者への第 2 選択として HPV 検査
の自己採取法がガイドラインで推奨されている。
HPV 検査に対する価値観や感情を評価した質的研究が 11 件報告されていた。HPV 検査に
対してポジティブな価値観や感情を示した論文と、逆にネガティブな価値観や感情を示した論文と
に二分された 32~42)。
ポジティブな価値観や感情を示した論文では、従来の細胞診検査では HPV 感染がわからない
ことなどから、二者択一した場合細胞診単独法を選択するものは 20 人中 1 人もなく、全員が HPV
検査を含んだ方法を選択していたことが報告されている
34)。また
HPV 感染が一過性の性感染症
であることを理解したうえで、たとえ HPV 検査で感染が確認されても、自分の免疫力で排除できる、
1 年後のフォローアップ検査で陰性とわかることが喜びにつながる、パートナーへの安心感につな
がるといった報告がみられた 33)。
一方、ネガティブな価値観や感情を示した論文では、HPV 感染を家族やパートナーに伝えるこ
とへのためらいを示す研究のほか、HPV 検査陽性を伝えられた場合、がんの告知と同様の不安
やショックを感じるという報告が見られたが、多くは HPV 感染が一般的かつ一過性であるという特
徴への理解不足からくるものであり、また一般的ながん検診に共通した反応でもあった 32,
33, 36~42)。
HPV 検査に対する価値観や感情を population レベルで評価した量的研究は行われていなか
ったため、これらの価値観や感情を示すものの割合は定かではない。質的研究から明らかとなった
個々の意見は必ずしも一様ではなく、検査結果に対して多様な反応が起こりうることを示唆してい
る。ネガティブな価値観を示した論文においても、HPV 検査の普及を批判する論調ではなく、新し
い検査方法としてどこに配慮が必要か、情報提供として何が必要かを示す建設的な内容であった。
これらの文献からは、1)細胞診を含めた既存のがん検診と異なり HPV 検査があくまで将来のリスク
を示しているだけに過ぎないこと、2)性感染症の検査であり、他人に結果を相談しにくいこと、という
2 点について、一定の配慮が必要であり、きちんとした情報提供のあり方と、相談窓口の提示が必
要であることを示唆している。すでに国内の様々なウェブサイトやリーフレット等で HPV 感染症に
対しての適切な情報提供が行われているが、引き続き情報提供を充実させていくべきである。
HPV 検査を用いることによる検診受診意欲の向上については、開発途上国や欧米での長期未
受診者を対象とした HPV 検査単独法の自己採取法の介入研究において、おおむね検査受診率
の増加を認めており、すでにオランダをはじめとして長期未受診者への第 2 選択として HPV 検査
の自己採取法がガイドラインで推奨されている。