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参考資料4 有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン更新版2020年3月31日 (31 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25869.html
出典情報 がん検診のあり方に関する検討会(第35回 5/25)《厚生労働省》
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XI. 補足検討事項
1. 細胞診検査陽性者への HPV トリアージの評価
わが国では、従来子宮頸部細胞診の判定は日母分類に基づいて行われ、軽度の細胞診異常
者に対して細胞診の再検が行われてきた。2008 年にベセスダシステム 2001 が導入されるに伴い
ASC_US や LSIL に対して、HPV 検査によるトリアージが推奨されるとともに、6 か月以内の細胞
診再検も許容されてきた。直ちにコルポスコピーを要するか否かのトリアージとしてどちらの方法が
妥当かという精度比較に関して、いくつかの系統的レビューがみられる。細胞診再検と HC2 法の
比較を行った Arbyn のレポート 69)では、ASC_US の HC2 によるトリアージで CIN2 以上の病変
に 対 す る 統 合 感 度 は 0.909(95%CI:0.857―0.944) 、 統 合 特 異 度 は 0.607(95%CI:
0.529―0.680) で あ っ た 。 一 方 細 胞 診 の 再 検 の CIN2 以 上 病 変 に 対 す る 統 合 感 度 は
0.715(95%CI:0.629―0.788)、統合特異度は 0.684(95%CI:0.599―0.758)であった。HC2 トリア
ージの CIN3+に対する統合感度は 0.948(95%CI:0.896―0.975)、統合特異度は 0.566(95%CI:
0.394―0.723)であった。一方、細胞診再検によるトリアージでは CIN3+に対する統合感度は
0.779(95%CI:0.640-0.876)、統合特異度は 0.574(95%CI:0.404―0.730)であった。HC2 をトリア
ージに用いることで細胞診再検に比べて感度が 20%弱、統計学的有意に上昇するが、特異度は
有意な変化ではなかった。

2. HPV 検査を含む子宮頸がん検診での子宮頸がん発症予測
リスク予測に関する研究として無作為化比較試験後の長期追跡研究 [Swedescreen70,

71) 、

ARTISTIC10) 、 POBASCAM72)] 、 コ ホ ー ト 研 究 [Joint European cohort study68) 、 VUSAScreen study73)、ドイツの研究

74)、米国の研究(Portland

Kaiser Cohort Study75)、The New

Mexico HPV Pap Registry cohort study67) 、 Kaiser Permanente Northern California
cohort study54, 66))、台湾の研究 76)、コロンビアの研究 77)、英国の研究(HART study78) )]を用い、
CIN3+への年間進展リスクを求めた(表 6)。
細胞診が陽性/陰性の場合の CIN3+への年間進展リスクはそれぞれ 2%、0.1%であった。また
HPV 検査が陽性/陰性の場合の CIN3+への年間進展リスクはそれぞれ 2%、0.05%であった。細
胞診陽性かつ HPV 検査陽性の場合の CIN3+への年間進展リスクは 5%とかなり高く、逆に細胞
診陰性かつ HPV 検査陰性の場合の CIN3+への年間進展リスクは 0.04%と小さかった。このよう
に、HPV 検査を含む子宮頸がん検診で、将来の子宮頸がん発症の定量的な予測は可能であると
考えられた。
POBASCAM72)の 1 回目の検診成績では、HPV 検査陽性かつ細胞診陽性が受診者全体の
1.7%、HPV 検査陽性かつ細胞診陰性が 3.6%を占めていた。HPV 検査陽性かつ細胞診陰性の
CIN3+への年間進展リスクが 1.5%であることから、受診者集団全体でみると CIN3+進展例の
30.1%が HPV 検査陽性かつ細胞診陰性群から出現すると推計された。