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参考資料4 有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン更新版2020年3月31日 (37 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25869.html
出典情報 がん検診のあり方に関する検討会(第35回 5/25)《厚生労働省》
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の細胞診単独法よりも実際の利益は下回る可能性がある。この点で注意が必要である。

2. 不利益に関して
細胞診および HPV 検査を用いた子宮頸がん検診は、子宮頸部をブラシなどで擦過して得られ
た検体を用いて行うため、侵襲性は小さく、不利益としては妊婦を除けば軽微な出血程度にとどま
る。
CIN が疑われる病変に対する精密検査・治療にあたる円錐切除を引き金とする早産への影響
については、「有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン」2009 年度版 1)に記載したように、
影響があるとする報告とないとする報告があり、一定の見解はないものの、産婦人科医による妊娠
中の適切な経過観察は必要である。
精密検査としてのコルポスコピーの件数の増加は、海外では不利益として評価されているものの、
有効性評価として行われた 7 つの無作為化比較試験では、各研究計画のなかで、コルポスコピー
の対象が全く異なっていた。例えばイタリアの NTCC の第 1 相 8)では、35 歳以上の HPV 陽性者
はすべてコルポスコピーの対象となっていたが、英国の ARTISTIC 研究 10)では、HPV 陽性者は
12 か月後に再検し、陽性が継続した場合に即座にコルポスコピーを行うか、更に 12 か月後の
HPV 再検かを受診者に判断させるというプロトコールであった。このような検診結果後のアルゴリズ
ムが研究毎に全く異なることから、コルポスコピーの増加を同一基準で評価することは困難と判断
し、今回の検討からは外した。
このため、今回の検討では偽陽性率を主たる不利益として評価した。エビデンスレポートでは
HPV 検査単独法では 1,000 人あたり 42 人偽陽性の増加を「利益はあるが不利益中等度
(Moderate)」と判定し、細胞診・HPV 検査併用法では、1,000 人あたり 101 人の増加を「利益はあ
るが不利益大(Low)」と判定した。ガイドライン作成委員会では、当初偽陽性の増加が必ずしも肉
体的侵襲につながらないこともあり、細胞診・HPV 検査併用法を「利益はあるが不利益中等度
(Moderate)」と判定していた。しかし、偽陽性者への肉体的侵襲が軽減されたとしても、精神的な
負担は残りうる。パブリックコメントを受けて HPV 検査に対する価値観や不安に対して、質的研究
の追加検討を行った。HPV 検査陽性という結果に対してがんや死を連想するなどの不安を示す
場合がある一方、陽性であっても 1 年後の再検査で陰性という結果が得られた場合はリスクが減少
することから安心感が強いという報告もみられ、反応は様々であった。HPV 検査の普及に制限を
加えるべきであるという論調はみられなかったものの、感染症特有の問題(他人への感染、感染し
ていることを周囲に相談できない、感染症そのものへの治療がないことによる不安、何年経過観察
が必要か?) への配慮やサポートのあり方が論じられていた

85)。ガイドライン作成委員会では、こ

れらの質的評価の結果および多元的意思決定分析の結果を踏まえて再検討し、HPV 検査単独
法は「利益はあるが不利益中等度(Moderate)」、細胞診・HPV 検査併用法は「利益はあるが不利
益大(Low)」と判定を変更した。
また他臓器でのがん検診で不利益の代表となる過剰診断について、子宮頸がん検診での評価
はほとんど行われていない。今回の検討では 2 研究にとどまり、CIN3+の病変での過剰診断が細