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参考資料4 有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン更新版2020年3月31日 (21 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25869.html
出典情報 がん検診のあり方に関する検討会(第35回 5/25)《厚生労働省》
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V. 証拠のレベル
(利益)
HPV 検査を含む方法(HPV 検査単独法、細胞診・HPV 検査併用法)で、浸潤がん罹患率をエ
ンドポイントとした先進国で行われた 6 研究を用いたメタアナリシス(対象数 374,874 人)では、細胞
診単独法に対する相対リスクは 0.69 で 95%信用区間は 0.42―1.08 と null effect を含み、感度
分析の 4 モデル中 3 モデルで同様であったが、1 モデルで null effect を含んでいなかった。イン
ドの研究を含む 7 研究を用いたメタアナリシス(対象数 441,058 人)でも結果は同様であったが、感
度分析 4 モデル中 2 モデルで信用区間は null effect を含んでいなかった。HPV 検査を含む方
法全体で評価した場合、浸潤がん罹患率減少効果で、細胞診単独法を上回る弱い証拠が得られ
た。信用区間上限が1を下回った 2 モデルの事後的な逐次解析の結果からは、ランダム誤差の可
能性は否定されたが、サンプル数が少ないあるいは追跡期間が短いことからのパワー不足の可能
性が示唆された。予測区間の広がりからは、年齢・HPV プラットフォーム・検診間隔・検査毎のアル
ゴリズムなどによっては、細胞診単独法を上回る場合と、そうでない場合がありえることが示唆され
た。

1. HPV 検査単独法
HPV 検査単独法で、浸潤がん罹患率をエンドポイントとしていた 2 研究を用いたメタアナリシス
(対象数 252,156 人)では、細胞診単独法に対する相対リスクは 0.86 で 95%信頼区間は
0.38―2.00 と広く、細胞診単独法とどちらで利益が上回るという証拠は得られなかった。絶対イベ
ント数のリスク差は 100 万人年あたり 16 人減少であった。中間アウトカムである累積 CIN3+検出
率についてみても、細胞診単独法を相対的に上回るという証拠は得られなかった。ただしこの結果
に関しては、HPV 検査を含む方法全体で評価した場合でさえパワー不足が示唆されていることか
ら、更に対象数を絞ったことによる影響が大きいと考えられた。
以上の結果から、HPV 検査単独法が細胞診単独法を上回るという証拠は得られなかったが、
HPV 検査を含む方法全体での分析結果を踏まえると、細胞診単独法に相当あるいはそれ以上の
可能性を示唆するとみて、証拠のレベルを MODERATE と判定した(表 5)。

2. 細胞診・HPV 検査併用法
細胞診・HPV 検査併用法で、浸潤がん罹患率をエンドポイントとしていた 4 研究を用いたメタア
ナ リ シ ス ( 対 象 数 122,718 人 ) で は 、 細 胞 診 単 独 法 に 対 す る 相 対 リ ス ク は 0.57(95%CrI:
0.27―1.11)で、細胞診単独法を利益で上回るという弱い証拠が得られた。絶対イベント数のリスク
差は 100 万人年あたり 48 人減少であった。中間アウトカムである累積 CIN3+検出率についてみ
ても、細胞診単独法を相対的に上回るという証拠は得られなかった。ただしこの結果に関しては、
HPV 検査を含む方法全体で評価した場合でさえパワー不足が示唆されていることから、更に対象
数を絞ったことによる影響が大きいと考えられた。