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【参考資料2】薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書2023 (120 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47987.html
出典情報 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第12回 1/8)《厚生労働省》
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(7) 動物用抗菌剤の慎重使用についての研究
新たなアクションプランが公表され、動物(畜産)分野の抗菌剤の削減目標が設定された。動物用
抗菌剤が使用される疾病に関する情報を蓄積しながら、主要な疾病の予防・治療指針を整備していく
必要がある。また、愛玩動物は家庭内で同居家族と生活空間を共有するため、薬剤耐性菌が家庭内で
相互伝播する可能性が指摘されているため、抗菌剤の使用実態の把握は極めて重要である。動物用抗
菌剤の慎重使用に関する調査について、対象地域が限定されている研究ではあるが以下に示す。
1. 農業共済組合の電子カルテデータの活用
寺師らは NOSAI 岐阜が管理する電子カルテデータを用いて、牛の治療に使われた抗菌剤の治療目
的と純末換算量を集計した 1。抗菌剤は消化器疾患(50.4%)と呼吸器疾患(34.4%)で 主に使用さ
れ(85%)、コクシジウム症を対象にサルファ剤(49.2%)と呼吸器疾患を対象にフロルフェニコー
ルを中心としたフェニコール剤(21.7%)が主要な成分であった。農林水産省の全国データでは、牛
においてもテトラサイクリン系抗生物質の使用が多いとされているが、抗菌剤の使用状況には地域性
があることが示唆された。
2. 愛玩動物における第2次選択薬の使用状況
村上らは岐阜県獣医師会の協力のもと、愛玩動物病院 35 施設で、フルオロキノロン(FQ)、第3
世代セファロスポリン、カルバペネム及びバンコマイシン製剤が投与された症例を調査した 2。調査
期間内の 1,209 症例で使用され、内訳は FQ 734 症例、第 3 世代セファロスポリン 467 症例、カルバ
ペネム 8 症例で、バンコマイシン製剤は使用されなかった。FQ と第3世代セファロスポリンともに
犬よりも猫で有意に注射剤の使用割合が高かった。この2剤は動物種に関わらず皮膚/耳疾患に多く
使用される傾向にあったが、その他疾患への使用状況は犬猫間で異なった。
3. 新たなデータ収集解析手法の取り組み
日本中央競馬会畜産振興事業において、いくつかの養豚農家を対象に電子指示書システムの実証試
験がされている。このシステムが稼働すれば、養豚業で問題となっている疾病をリアルタイムで把握
し、使用される抗菌剤の成分や投与方法等に関する実態把握が期待できる。
引用文献
1. Terashi Y, Hirata Y, Asai T. Antimicrobial usage surveys using electronic medical records in cattle practice in Gifu
Prefecture. J Vet Med Sci. 2023 85(10): 1106-1109
2. 村上麻実、原田和記、浅井鉄夫 岐阜県の愛玩動物病院における医療上重要な抗菌薬の使用実態調査. 日獣会誌. 2023
76: e164-e169.

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