【参考資料2】薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書2023 (15 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47987.html |
出典情報 | 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第12回 1/8)《厚生労働省》 |
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42 t 減少した。系統別ではマクロライド系薬が約 16 t 減少し、これは水産動物用のエリスロマイシン
の減少の影響が大きかった。またサルファ剤も約 17t減少しており、これは鶏の影響が大きかった。
系統別または動物種別にみても 2 t 以上の増加は見られなかった。
2021 年における各分野の販売量などから推計した抗菌薬の使用量(又は販売量)は、ヒト 507.0 t、
畜産動物 598.1 t、水産動物 194.7 t、愛玩動物 8.1 t、抗菌性飼料添加物 211.1 t、農薬 133.2 t、合計
1,652.2tであった。
考
察:
ヒト分野において、2022 年の経口第 3 世代セファロスポリン系薬、経口マクロライド系薬、経口
フルオロキノロン系薬を含む経口抗菌薬の販売量に基づく抗菌薬使用は、2020 年から減少傾向が続
いていた。MRSA、大腸菌の第 3 世代セファロスポリン系薬及びフルオロキノロン系薬の耐性率がわ
ずかに減少しているが、肺炎桿菌の第 3 世代セファロスポリン系薬の耐性率は増加傾向にあり、今後
も注視する必要がある。一方、VCM 耐性 E. faecium は、多施設が関連する広域な病院内アウトブレ
イクが認められ、2022 年に続き高い件数の報告がある。地域における包括的なアウトブレイク対応
の継続が求められる。
抗菌薬使用量および薬剤耐性率について、新型コロナウイルス感染症による影響も考慮される。ポ
ストコロナにおいて、多くの国で抗菌薬販売量の増加が認められることから、我が国においても今後
の推移を慎重にみていくとともに影響を評価する必要がある。本報告書のデータを考慮し、さらなる
AMR 対策の推進が必要である。
抗菌薬の適正使用については、抗微生物薬適正使用の手引きを用いて急性気道感染症を中心に抗菌
薬の適正使用を推進し、第 3 世代セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライドの不必要な使
用を引き続き削減していく必要がある。2023 年 11 月に、抗微生物薬適正使用の手引きは、入院患者
における抗微生物薬適正使用編を加え更新された。本編により病院内での患者予後の改善および抗菌
薬適正使用が推進されることが期待される。抗菌薬適正使用の推進においては、適切な抗菌薬を必要
なときに使用できることが前提であり、基本的な抗菌薬の安定供給を確保することが重要である。
AMR 対策では、教育啓発活動の強化とモニタリングシステムの活用も重要である。新しいアクシ
ョンプランでは、地域ごとの耐性菌情報や抗菌薬使用状況の詳細な分析を通じて、効果的な対策の策
定が求められている。JANIS、NESID、J-SIPHE や、診療所版 J-SIPHE、薬剤耐性(AMR)ワンヘル
スプラットフォームなどのシステムを用い、地域の状況に応じた抗菌薬の選択や感染対策を推進して
いく必要がある。さらに、抗菌薬適正使用を進める上で、国民および医療従事者に対して様々な手法
を用いた教育啓発活動を継続していく必要がある。
動物分野において、ヒト医療上重要な抗菌剤の1つであるカルバペネム系に対する腸内細菌目細菌
における耐性率及びヒトの院内感染などで大きな問題となるバンコマイシンに対する腸球菌属菌にお
ける耐性率はいずれの畜種及び菌種においても 0.0%であった。しかし、2017 年から開始した疾病に
り患した愛玩動物由来の大腸菌において、第3世代セファロスポリン及びフルオロキノロン系の抗菌
薬に対する耐性率が畜産動物由来の大腸菌と比較して高いことが確認された。このため、これまで実
施してきた畜産分野の薬剤耐性対策に加え、2020 年に作成した愛玩動物における慎重使用の手引き
の普及等により愛玩動物分野における薬剤耐性対策を継続・強化していくことが必要である。
アクションプラン(2016-2020)の成果指標である健康な畜産動物由来の大腸菌の第3世代セファロ
スポリン及びフルオロキノロン系の抗菌薬への耐性率は 10%以下で保たれており、目標を達成してい
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