【参考資料2】薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書2023 (13 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47987.html |
出典情報 | 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第12回 1/8)《厚生労働省》 |
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背
景:
我が国の「AMR 対策アクションプラン(2016–2020)」において、ヒト、動物、農業、食品及び
環境の各分野において薬剤耐性菌及び抗菌薬使用の現状及び動向の把握は、現状の施策の評価及び今
後の施策を検討する上で重要な戦略の一つと位置づけていた。
2023 年には「AMR 対策アクションプラン(2023–2027)」が策定され、更新された目標と戦略が
設定された。このプランでは、AMR 問題へのワンヘルス・アプローチの重要性が再強調され、ヒト、
動物、環境の健康が相互に関連していることを考慮に入れた施策の推進が求められている。また、
AMR 対策のための国際的な協力と共同作業の重要性が強調されている。
国際的に、日本は世界保健機関(WHO)が構築したグローバル薬剤耐性及び抗菌薬使用サーベイ
ランスシステム(GLASS)にデータを提出し、協力している。また、国際獣疫事務局(WOAH)に
おいては、統一された手法による動物における抗菌剤の使用量のモニタリングを行い、我が国はこの
取り組みに協力し、データを提出している。
このように、我が国の現状及び動向を把握し国内外に向けて発信することは、国際社会における我
が国の位置を再確認するとともに、国際的にも AMR に関する施策を推進する上で重要である。この
報告書が提供するデータと分析結果が、国内外の関係者による AMR 対策の強化、新たな研究の推進、
および政策策定のための基盤となることを目指している。
方
法:
本報告書は、ヒト、動物、食品及び環境の有識者によって構成された薬剤耐性ワンヘルス動向調査
検討会において、動向調査や研究等における情報を検討したものである。ヒト・医療分野の主要な病
原細菌における薬剤耐性率は、厚生労働省の院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)などから、
動物由来細菌における主な薬剤に対する耐性率と動物における抗菌薬の販売量に関しては、農林水産
省の動物由来薬剤耐性菌モニタリング(JVARM)から情報を得た。また、ヒトにおける抗菌薬の販
売量・使用状況は IQVIA ソリューションズジャパン株式会社、匿名医療保険等関連情報データベース
(NDB)及び感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)から、動物における抗菌薬の販売量は
農林水産省動物医薬品検査所から、抗菌性飼料添加物の流通量は独立行政法人 農林水産消費安全技
術センター(FAMIC)及び一般社団法人日本科学飼料協会から、農薬として用いられている抗菌剤
の国内出荷量は農林水産省から、感染症の発生状況、感染対策の実施状況等については、感染症発生
動向調査事業(NESID)、JANIS および J-SIPHE から情報を得た。
既存の動向調査等では調べられていないが、公衆衛生の観点から重要と考えられる微生物の薬剤耐
性や、国民の AMR に対する認知度等に関しては、厚生労働科学研究班等の検討結果を利用した。ま
た、動物分野では、8 大学の獣医学生に対して行われた薬剤耐性に関する意識調査の結果を利用した。
結
果:
近年、世界各国で、ヒト分野においては、腸内細菌目細菌、特に大腸菌と肺炎桿菌でカルバペネム
への耐性率の増加が問題となっているが、日本では、これらの耐性率は1%未満で推移している。日
本では大腸菌における第 3 世代セファロスポリン系薬及びフルオロキノロン系薬への耐性率は増加傾
向にあったが、2021 年は初めて微減となり、2022 年は横ばいおよび減少を示した。一方、肺炎桿菌
の第 3 世代セファロスポリン系薬の耐性率は依然として増加傾向を示した。緑膿菌のカルバペネム耐
性は 2014 年に判定基準が変更されているが、耐性率としては減少傾向にある。腸球菌属では、国際
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