【参考資料2】薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書2023 (129 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47987.html |
出典情報 | 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第12回 1/8)《厚生労働省》 |
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2016 年に発表された「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2016–2020)」は、ヒト、動
物、農業、食品及び環境分野における薬剤耐性菌の現状と抗微生物薬使用量に関する統合的なワンヘ
ルス動向調査を実施することを目指しており、本報告書はその成果を集約し、AMR 対策の更なる推
進への貢献を果たした。この報告書により、日本における薬剤耐性問題に対する詳細な理解と、それ
に基づく施策の展開が可能となった。
「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023–2027)」では、これまでの成果を踏まえた上
で、更新された目標と戦略を提案し、AMR 対策における新たな道筋を提示している。AMR 問題への
ワンヘルス・アプローチの重要性が再強調され、ヒト、動物、農業、食品及び環境の各動向調査の情
報を連携させ、国際比較等も行いながら、AMR の推移や対策等について定期的に分析・評価を行う
ことが求められている。また、国内外での薬剤耐性と抗微生物薬使用の動向に関するデータ収集と分
析の方法論の更新や、AMR 対策のための国際的な協力と共同作業の重要性が強調されている。今後
も先進的な調査への取組を続けることが、世界の AMR 対策をリードする上でも重要と考えられる。
ヒト分野において、「抗微生物薬適正使用の手引き」等を参考とし、急性気道感染症を中心に不必
要な抗菌薬処方を減少させるとともに、抗菌薬を処方する場合には適切性が求められる。抗菌薬適正
使用の推進は、適切な抗菌薬を必要なときに使用できることが前提であり、一部の抗菌薬が臨床現場
において入手困難になっている現状を踏まえ、必須な抗菌薬の安定供給を確保することが重要である。
AMR に関連する種々のサーベイランスを用い、地域毎の耐性菌情報や抗菌薬使用状況の入手が可能
になって来ていることを踏まえ、情報を活用し、地域の状況に応じた抗菌薬の選択や適切な感染対策
の推進が望まれる。さらに、抗菌薬適正使用を進める上で、国民および医療従事者に対して、行動経
済が育的手法を含め、様々な手法を用いた教育啓発活動を継続・発展していく必要がある。
動物分野において、2017 年から開始した疾病にり患した愛玩動物由来の大腸菌において、第3世
代セファロスポリン及びフルオロキノロン系に対する耐性率が畜産動物由来の大腸菌と比較して高い
ことが確認された。そのことから、これまで実施してきた畜産分野の薬剤耐性対策に加え、2020 年
から開始された愛玩動物における慎重使用の手引きの普及等により AMR 対策を継続・強化していく
ことが必要である。また、「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2016–2020)」の成果指標
である健康な畜産動物由来大腸菌の第3世代セファロスポリン及びフルオロキノロン系の抗菌剤に対
する耐性率は低い水準が保たれており、目標を達成している状況にあると考えられる。一方、畜産動
物においてテトラサイクリン系の抗菌剤の販売量は 2018 年から 2020 年に減少しているが、成果指
標である健康な畜産動物由来大腸菌のテトラサイクリン耐性率に変動がみられない。そのため、引き
続きワクチン等の開発・実用化、使用の推進や飼養衛生管理水準の向上等により抗菌剤全体の使用機
会を低減し、適正かつ慎重な使用の推進を図るとともに、各種抗菌剤に対する耐性率の動向を確認し
ていく必要がある。
本報告書においては、2019 年度に引き続き、ヒト、動物、農業における抗菌薬の使用量(又は販
売量)の比較が可能となり、各分野で使用されている抗菌薬の系統毎の使用量の違いが示されたこと、
疾病にり患した愛玩動物に続き健康な愛玩動物の薬剤耐性率が報告されたこと、食品分野の薬剤耐性
菌や環境における薬剤耐性菌の動向データが充実したことなど大きな進展が見られ、来年以降も各分
野の動向調査において進展が期待される。
さらに、「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2016–2020)」では、薬剤耐性ワンヘルス
動向調査年次報告書はワンストップでヒト、動物、食品等の薬剤耐性菌の薬剤感受性データを確認で
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