【資料No.1】2.5_臨床に関する概括資料 (155 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26901.html |
出典情報 | 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会(令和4年度第3回 7/20)、医薬品第二部会(令和4年度第6回 7/20)(合同開催)《厚生労働省》 |
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2.5.6.2.4
2.5 臨床に関する概括評価
複数の株に対して有効性が示唆されている
In vitro 試験において,SARS-CoV-2 易感染性の細胞株である VeroE6/TMPRSS2 細胞及び
HEK293T/ACE2-TMPRSS2 細 胞 に ス パ イ ク タ ン パ ク 質 に 変 異 が 認 め ら れ て い る 複 数 の
SARS-CoV-2 臨床分離株 (従来株 [Pango lineage A:hCoV-19/Japan/TY/WK-521/2020 株],アル
ファ株 [Pango lineage B.1.1.7:hCoV-19/Japan/QK002/2020 株,hCoV-19/Japan/QHN001/2020 株,
hCoV-19/Japan/QHN002/2020 株],ベータ株 [Pango lineage B.1.351:hCoV-19/Japan/TY8-612/2021
株],ガンマ株 [Pango lineage P.1:hCoV-19/Japan/TY7-501/2021 株,hCoV-19/Japan/TY7-503/2021
株],デルタ株 [Pango lineage B.1.617.2:hCoV-19/Japan/TY11-927-P1/2021 株] 及びオミクロン株
[Pango lineage B.1.1.529:hCoV-19/Japan/TY38-873/2021 株,hCoV-19/Japan/TY38-871/2021 株,
hCoV-19/Japan/TY40-385/2022 株]) を感染させ,細胞変性抑制効果を指標として S-217622 の抗
ウイルス活性を評価した.S-217622 の SARS-CoV-2 臨床分離株に対する 50%有効濃度は
VeroE6/TMPRSS2 細胞では 0.29~0.52 µmol/L,HEK293T/ACE2-TMPRSS2 細胞では 0.026~
0.064 µmol/L であった.VeroE6/TMPRSS2 細胞及び HEK293T/ACE2-TMPRSS2 細胞に対する 50%
細胞障害濃度は > 100 µmol/L 及び 55 µmol/L であり,S-217622 はスパイクタンパク質に変異が
認められている複数の臨床分離株に対して抗 SARS-CoV-2 活性を有し,臨床分離株に対する感
受性の違いは株間で小さいこと,及び細胞障害を起こす濃度より極めて低い濃度 (> 200 倍) で
抗 SARS-CoV-2 活性を有することが示された (2.6.2.2.1.2 項参照).
2.5.6.3
2.5.6.3.1
リスク
催奇形性
臨床試験において,妊娠又は妊娠している可能性のある女性への本剤投与経験はないが,非
臨床試験において,ウサギの生殖発生毒性試験で母動物に毒性が認められた用量 (臨床曝露量
の 5.0 倍相当以上) で胎児の軸骨格の形態異常が認められた (2.6.6.6.3 項参照).胎児の骨格形態
異常は致命的な転帰となる可能性があるため,医薬品リスク管理計画書 (J-RMP) において,催
奇形性を重要な潜在的リスクとして設定した.市販後では,通常の医薬品安全性監視活動を介
して,本剤の投与状況,妊婦,胎児及び出生児の詳細な情報を収集するとともに,添付文書,
患者向医薬品ガイド,及び医療従事者向け資材で注意喚起することでリスク最小化活動を行う.
2.5.6.3.2
中等度以上の肝機能障害患者での安全性
中等度以上の肝機能障害患者での投与経験はなく,主な消失過程が肝代謝であることを踏ま
えると,中等度以上の肝機能障害患者では,本剤の曝露量が上昇し,安全性及び忍容性が確認
されている曝露量を大きく超える可能性が考えられるため,J-RMP 上の重要な不足情報として
設定した.通常の医薬品安全性監視活動を介して,添付文書及び患者向け医薬品ガイドで注意
喚起を行うとともに,肝機能障害を有する被験者を対象とした臨床薬理試験を実施する.
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