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資料3 指定難病に係る新規の疾病追加について情報提供のあった疾病(個票)(第55回指定難病検討委員会において検討する疾病) (14 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37546.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第54回 2/6)社会保障審議会 小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病検討委員会(第2回 2/6)(合同開催)《厚生労働省》
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原発性肝内結石症
○ 概要
1. 概要
肝内胆管内の結石を肝内結石と定義し、肝内結石を有する状態を肝内結石症と定義される。良性疾患
でありながら完治が難しく、再発と寛解を繰り返すことが多い。また、反復する胆管炎や、それに引く続く敗
血症、肝膿瘍を併発する。さらに胆汁性肝硬変や肝内胆管癌を合併し、これらは臨床経過において大きな
問題となり、重大な予後不良因子となる。そのため、調査研究班が組織され、定期的に全国多施設調査が
行われている。最新の 2017 年の全国調査では平均年齢 69 歳であり男女比が 1:0.72 であった。78%に非
手術的治療が行われていたが、結石遺残・再発率は 35%と依然として治療成績は不良であった。
肝内結石症は胆道再建の既往がない原発性肝内結石症と胆道再建後に発症する二次性肝内結石症が
ある。原発性肝内結石症はその多彩な病態からか、原因は不明で治療法やフォローアップの方法もいまだ
確立されていない。
2. 原因
原発性肝内結石症と二次性肝内結石症はその発生機序が異なる。二次性肝内結石症は吻合部を含む
胆道狭窄により細菌感染をきたし発生することが多い。一方、原発性肝内結石は、食事内容や衛生環境、
居住地などが関与しているといわれていたが、研究班の全国調査での結果では否定的である。また、結石
形成関連因子として胆道感染や胆汁成分の変化、ムチンの表現型の変化と過分泌が推定されている。し
かし、原発性肝内結石症の発生原因は確定しておらず不明である。
3. 症状
全国調査によれば、初発症状として最も多いのは発熱であり、全体の 36%に認められる。そのほか、腹痛
も 30%に認める。ほかにも黄疸を 5.4%に認める。このように胆汁うっ滞に伴う胆管炎による症状が中心とな
る。しかし近年は無症状例の増加もあり、全体の 32.2%に上る。
4. 治療法
手術的治療、非手術的治療がある。手術的治療は肝切除術を中心に胆管消化管吻合術や総胆管切開
結石除去術などがある。また、非手術的治療では内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)、経皮経肝的胆道鏡
(PTC)、経口的胆道鏡(POCS)などの内視鏡を用いた結石除去術、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)など
がある。しかし、肝内結石症は高率に胆管狭窄や拡張、胆管癌、胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)、胆管上皮内
腫瘍(BilIN)などの胆管病変を併存する。また、肝切除や結石除去術、破砕術を施行しても、その後に再発
することが多く、現在施行されているこれらの治療は根治治療にはならない。
さらに、薬物療法としてはスタチン製剤や、フィブラート製剤、ウルソデオキシコール酸などの胆汁酸製
剤、茵蔯蒿湯、システイン系薬剤などがあるが、いまだ確立した薬物療法はない。
5. 予後
研究班では大項目、中項目、小項目により Grade 1 から Grade 5 に分類する肝内結石症重症度スケール
を作成している。全国調査の結果(1998年登録症例の登録18年後のコホート)では肝内胆管癌や肝硬変
の合併は最も予後不良で5年生存率 57.1%であった。

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