よむ、つかう、まなぶ。
資料3 指定難病に係る新規の疾病追加について情報提供のあった疾病(個票)(第55回指定難病検討委員会において検討する疾病) (39 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37546.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第54回 2/6)社会保障審議会 小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病検討委員会(第2回 2/6)(合同開催)《厚生労働省》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
巨大リンパ管奇形
○ 概要
1.概要
リンパ管奇形(リンパ管腫)は先天性に発症する腫瘤性のリンパ管形成異常であり、ゴーハム病(リンパ管腫
症)とは異なる。リンパ管奇形(リンパ管腫)は大小のリンパ嚢胞を中心に構成される腫瘤性病変で、多くの場合
病変の範囲拡大や離れた部位の新たな出現はない。血管病変を同時に有することもあり、診断・治療に注意を
要する。生物学的には良性であるが、特に病変が大きく広範囲に広がるものは難治性で、機能面のみならず整
容面からも患者の QOL は著しく制限される。全身どこにでも発生しうるが、特に頭頚部に多く、縦隔、腋窩、腹
腔・後腹膜腔、四肢、体幹に発生しやすい。
病変内のリンパ嚢胞の大きさや発生部位により主に外科的切除と硬化療法が選択されるが、特に重要な脈
管や臓器を取り囲む巨大病変は完治はほぼ不可能で、生涯にわたる長期療養を必要とする。
2.原因
リンパ管奇形(リンパ管腫)は先天性であり、胎生期におけるリンパ管形成異常により生じた病変と考えられて
いる。原因は明らかでないが、その一部として病変内に遺伝子変異(PIK3CA)が発見され関連が示唆されてい
る。PIK3CA の遺伝子変異により PI3K-AKT-mTOR シグナル経路の活性化が認められるため、活性化した細胞
内シグナル伝達経路をターゲットとした分子標的薬による薬物療法の可能性が模索されている。
3.症状
体表に近い病変では出生時から出現し、深部病変では診断されにくく、学童期以降あるいは成人後に発症す
る例も少なくない。どの部位の病変においても経過中に内部に感染や出血を起こし、急性の腫脹・炎症を繰り返
す。
4.治療法
呼吸困難、摂食障害、運動障害、感染などの各症状に対しては状態に応じて対症的に治療する。リンパ管奇
形(リンパ管腫)自体の治療の柱は外科的切除と硬化療法であり、多くの場合この組み合わせで行われる。硬
化療法には OK-432、ブレオマイシン、アルコール、高濃度糖水、フィブリン糊等が用いられる。一般的にリンパ
嚢胞の小さいものは硬化療法が効きにくい。抗癌剤、インターフェロン療法、ステロイド療法などの報告があり、
プロプラノロール、サリドマイドなどが国外を中心として治療薬として検討されているが効果は証明されていない。
難治例に対する mTOR 阻害剤(シロリムス)内服療法による病変縮小効果は限定的であることが多く、現時点で
いずれの治療法を用いても完治は困難である。
5.予後
巨大病変で広範囲かつ浸潤性の分布を示す場合、原疾患のみで死に至ることは稀であるが、治療に抵抗性
で持続的機能的障害(呼吸障害、摂食・嚥下障害、視力障害、聴覚障害、腹痛、四肢運動障害)のみならず整
容面(高度醜状)や疼痛を伴う感染・炎症からも大きな障害を生じ、出生直後から生涯にわたり療養を要する。
37
○ 概要
1.概要
リンパ管奇形(リンパ管腫)は先天性に発症する腫瘤性のリンパ管形成異常であり、ゴーハム病(リンパ管腫
症)とは異なる。リンパ管奇形(リンパ管腫)は大小のリンパ嚢胞を中心に構成される腫瘤性病変で、多くの場合
病変の範囲拡大や離れた部位の新たな出現はない。血管病変を同時に有することもあり、診断・治療に注意を
要する。生物学的には良性であるが、特に病変が大きく広範囲に広がるものは難治性で、機能面のみならず整
容面からも患者の QOL は著しく制限される。全身どこにでも発生しうるが、特に頭頚部に多く、縦隔、腋窩、腹
腔・後腹膜腔、四肢、体幹に発生しやすい。
病変内のリンパ嚢胞の大きさや発生部位により主に外科的切除と硬化療法が選択されるが、特に重要な脈
管や臓器を取り囲む巨大病変は完治はほぼ不可能で、生涯にわたる長期療養を必要とする。
2.原因
リンパ管奇形(リンパ管腫)は先天性であり、胎生期におけるリンパ管形成異常により生じた病変と考えられて
いる。原因は明らかでないが、その一部として病変内に遺伝子変異(PIK3CA)が発見され関連が示唆されてい
る。PIK3CA の遺伝子変異により PI3K-AKT-mTOR シグナル経路の活性化が認められるため、活性化した細胞
内シグナル伝達経路をターゲットとした分子標的薬による薬物療法の可能性が模索されている。
3.症状
体表に近い病変では出生時から出現し、深部病変では診断されにくく、学童期以降あるいは成人後に発症す
る例も少なくない。どの部位の病変においても経過中に内部に感染や出血を起こし、急性の腫脹・炎症を繰り返
す。
4.治療法
呼吸困難、摂食障害、運動障害、感染などの各症状に対しては状態に応じて対症的に治療する。リンパ管奇
形(リンパ管腫)自体の治療の柱は外科的切除と硬化療法であり、多くの場合この組み合わせで行われる。硬
化療法には OK-432、ブレオマイシン、アルコール、高濃度糖水、フィブリン糊等が用いられる。一般的にリンパ
嚢胞の小さいものは硬化療法が効きにくい。抗癌剤、インターフェロン療法、ステロイド療法などの報告があり、
プロプラノロール、サリドマイドなどが国外を中心として治療薬として検討されているが効果は証明されていない。
難治例に対する mTOR 阻害剤(シロリムス)内服療法による病変縮小効果は限定的であることが多く、現時点で
いずれの治療法を用いても完治は困難である。
5.予後
巨大病変で広範囲かつ浸潤性の分布を示す場合、原疾患のみで死に至ることは稀であるが、治療に抵抗性
で持続的機能的障害(呼吸障害、摂食・嚥下障害、視力障害、聴覚障害、腹痛、四肢運動障害)のみならず整
容面(高度醜状)や疼痛を伴う感染・炎症からも大きな障害を生じ、出生直後から生涯にわたり療養を要する。
37