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資料3 指定難病に係る新規の疾病追加について情報提供のあった疾病(個票)(第55回指定難病検討委員会において検討する疾病) (60 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37546.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第54回 2/6)社会保障審議会 小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病検討委員会(第2回 2/6)(合同開催)《厚生労働省》
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慢性活動性 EB ウイルス病(CAEBV)
○ 概要
1.概要
遷延または再発する伝染性単核症(infectious mononucleosis: IM)様症状を呈し、末梢血及び病変部に高レ
ベルの EBV DNA が検出される疾患である。EBV 感染 T 細胞または NK 細胞がクローン性に増殖し高サイトカ
イン血症を呈する。症状と障害臓器は多彩で予後不良である。皮膚症状を主徴とする EBV 関連種痘様水疱
症(hydroa vacciniforme: HV)と蚊刺過敏症(hypersensitivity to mosquito bites: HMB)は、種痘様水疱症リン
パ増殖異常症(hydroa vacciniforme lymphoproliferative disorder: HV-LPD)や重症蚊刺アレルギー(severe
mosquito bite allergy: SMBA)として、慢性活動性 EB ウイルス病(chronic active Epstein-Barr virus disease:
CAEBV)へ移行する病態と考えられる。CAEBV は HV-LPD(ICD-10 C848)、SMBA(ICD 未記載)とともに WHO
造血器腫瘍分類(2017 年)に記載され、ICD-11 では CAEBV 重症型として Systemic Epstein-Barr
Virus-positive T-cell lymphoma of childhood が記載されている。
2.原因
Epstein-Barr ウイルス(EBV)の初感染は不顕性に経過するものがほとんどだが、一部には IM を発症し、まれ
に CAEBV へ進展する。初感染時期は明確でないことも多い。日本をはじめ東アジアに患者が集中し、日本で
は年間 20~30 例(後述)の発症が報告されている。10 歳までが大半だが、成人発症例が注目され、全患者数
は 1000 人未満と推定される。全国調査では、小児は男性に多く、高齢者は女性に多い傾向がある。以前は
慢性活動性 EBV“感染症”と呼ばれていたが、本態は EBV によるリンパ増殖性疾患として慢性活動性 EBV
“病”と認識されるようになった。その発症機序は不明である。
3.症状
持続する発熱、肝機能障害、リンパ節腫脹、肝脾腫、発疹など IM 様の症状を呈す。間質性肺炎、 間質性腎
炎、ぶどう膜炎、冠動脈瘤など IM には通常みられない病変もしばしば認める。長期に持続する炎症のため、
患者の生活の質は著しく低下する。EBV 関連抗体価の異常高値・反応(VCA, EA 陽性)と末梢血(全血 10,000
IU/ml)及び病変組織の EBV ゲノム量増加を認める。主な EBV 感染細胞が CD3 陽性細胞の場合は T 細胞型、
CD3-かつ CD16+または CD56+細胞の場合は NK 細胞型と呼ぶ。T 細胞型は、急激に進行する重症型に注意
する。NK 細胞型は、蚊刺過敏症、皮膚症状、顆粒リンパ球増加症、IgE 高値などを特徴とする。B 細胞が主た
る感染細胞の場合は宿主に原発性免疫不全症候群が診断されることがある。
4.治療法
抗ウイルス薬(アシクロビル、ガンシクロビル)、免疫調節・抑制療法(γ-グロブリン大量療法、ステロイド、シ
クロスポリン A、JAK 阻害剤)、化学療法(エトポシド、CHOP療法など)が試みられてきたが効果は十分でな
い。根治療法は造血細胞移植だが、全ての患者に施行できるものではなく、時期と適応に検討を要する。
5.予後
軽快と増悪を繰り返しながら進行する例が多い。経過中に急性増悪して血球貪食性リンパ組織球症を呈した
り、リンパ腫に進展して予後不良となるものがある。

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