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資料3 指定難病に係る新規の疾病追加について情報提供のあった疾病(個票)(第55回指定難病検討委員会において検討する疾病) (82 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37546.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第54回 2/6)社会保障審議会 小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病検討委員会(第2回 2/6)(合同開催)《厚生労働省》
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ピルビン酸キナーゼ(PK)欠乏性貧血
○ 概要
1.概要
先天性溶血性貧血の一型で、我が国の赤血球酵素異常症でグルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)異
常症に次いで頻度が高い。新生児期重症黄疸で気付かれる例が約半数で、残りは慢性溶血性貧血で発症
する。子宮内胎児発達遅延例、赤血球輸血を受けていないにもかかわらずヘモクロマトーシスを発症する例
が存在する。
2.原因
本症は常染色体潜性(劣性)遺伝性疾患である。PKLR 遺伝子の病原性変異によって赤血球 PK 活性低下
が生じて、赤血球内ATP濃度が低下し、赤血球内から外へのカリウムイオン漏出が生じるため、赤血球膜可
塑性が低下して網内系で異常赤血球がマクロファージに捕捉される。両アレルにおける PKLR 遺伝子変異の
同定により診断する。
3.症状
約半数例は新生児黄疸の遷延、重症化をきっかけに診断され、成人例は慢性溶血性貧血による労作時呼
吸困難、全身倦怠感、黄疸、胆嚢内結石などで発症する。最重症型は子宮内胎児遅延や赤血球輸血依存
状態になる。本症は無効造血疾患のひとつであり、赤血球輸血を受けていない症例にヘモクロマトーシスが
発症して診断される例がある。
4.治療法
赤血球輸血、除鉄療法などの対症療法が主体である。脾臓摘出術が奏功する症例があるが、遺伝性球状
赤血球症のような臨床効果は得られない。現在、変異酵素に結合して活性を高めるアロステリック活性化剤
が開発され、欧米では承認されて臨床応用されている。重症例に対してはヘモクロマトーシス発症前に造血
幹細胞移植の施行が望ましい。
5.予後
重症例では早期から計画的な赤血球輸血が必要である。高度の貧血を放置すると肝脾腫、発育遅滞、骨
の変形など高度な慢性消耗状態となる。無効造血に起因するヘモクロマトーシスに対して、本邦では経口鉄
キレート剤の使用が保険診療上認められていないため、重症例については HLA 適合ドナーからの造血細胞
移植を考慮する必要がある。

○ 要件の判定に必要な事項
1. 患者数
約 100 人

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