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資料3 指定難病に係る新規の疾病追加について情報提供のあった疾病(個票)(第55回指定難病検討委員会において検討する疾病) (63 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37546.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第54回 2/6)社会保障審議会 小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病検討委員会(第2回 2/6)(合同開催)《厚生労働省》 |
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種痘様水疱症リンパ増殖異常症(HV-LPD)
<診断基準>
I.古典型種痘様水疱症(classic hydroa vacciniforme: cHV)
(1) 顔面、耳介、手背などの日光露出部にヘルペス様小水疱・丘疹・痂皮を認める
(2) 皮疹部に EBV 感染細胞あるいは EBV 関連遺伝子産物が証明できる
(3) 皮疹部または末梢血に EBV 感染 T 細胞の増加を認める
(4) 血液中 EBV DNA 量が有意に上昇
(5) 他の皮膚疾患や慢性活動性 EBV 病(CAEBV)および重症蚊刺アレルギー(SMBA)を除外できる
Definite:上記(1) ~ (5) をすべて満たすこと
Probable:上記(1) を満たし、上記(2)、(3) のいずれかまたは両方が証明されること
Possible:上記(1) を満たし、 上記(4)が証明されること
II.全身型種痘様水疱症(systemic hydroa vacciniforme: sHV)
上記(1)-(4)の項目に加えて
(6) 顔面・口唇腫脹と一過性の発熱、肝障害、リンパ節腫大を伴う
(7) 他の皮膚疾患や EBV 関連リンパ腫/白血病を除外できる
Definite: 上記(1) ~ (4)、(6)、(7)をすべて満たすこと
Probable:上記(1) と (6) を満たし、かつ上記(2) と (3)* のいずれかまたは両方が証明されること
Possible: 上記(1) と (6) を満たし、 上記(4) が証明されること
(*:ただし、全身型種痘様水疱症には NK 細胞優位型も可とする)
補足条項
種痘様水疱症リンパ増殖異常症(HV-LPD)には、皮膚以外の臓器障害を欠き予後良好な「古典型種痘様水疱
症」と激しい皮膚症状と全身症状や他臓器障害を示す「全身型種痘様水疱症」の両病型が含まれる。治療およ
び予後の観点から、両病型を鑑別する必要がある。なお、古典型で始まり、全身型へ移行する例が約 10%存在
する。
Ⅰ-1) ヘルペス様皮疹の他に、結膜充血、口唇・歯肉のアフタ性口内炎を伴うことがある。
Ⅰ-2) 皮膚生検を用いた EBER 陽性細胞検出が標準的だが、生検が難しいときには水疱天蓋や痂皮を用いて
RT-PCR 法で EBER 検出が可能(研究室レベル)。
Ⅰ-3) 古典型種痘様水疱症は通常、小児期に発症し、EBV 感染γδT 細胞の増加(リンパ球の>5%)を認める。
全身型種痘様水疱症は、小児例のほか成人例・高齢発症例があり、EBV 感染αβT 細胞優位型とγδT 細胞
優位型がある。EBV の T 細胞分画への感染を証明するには、末梢血を用いた Flow-FISH もしくは磁気ビーズ/
定量 PCR 法が実施されている(研究室レベル)。
Ⅰ-4) リアルタイム PCR 法を用いて全血の EBV DNA を定量した場合、一般に 10,000 IU/mL(4.0 Log IU/ml) 以
上が 1 つの目安となる。
Ⅰ-5) 鑑別疾患は、単純ヘルペスウイルス感染症、水痘・帯状疱疹ウイルス感染症、Kaposi 水痘様発疹症、ポ
ルフィリン症、多形日光疹、伝染性膿加疹、ざ瘡、リンパ腫様丘疹症など。
HV-LPD が CAEBV に合併する場合や、持続する発熱や臓器障害を認める場合には CAEBV として取り扱う。
Ⅱ-6) 顔面・眼瞼・口唇腫脹は、節外性 NK/T 細胞リンパ腫-鼻型やアグレッシブ NK 細胞白血病にも見られる
が、通常、ヘルペス様小水疱を欠く。
Ⅱ-7) HV-LPD と SMBA はしばしば併発する。両病型は「皮膚型」CAEBV という疾患スペクトラムで包括される
ことがあるが、前述の「CAEBV」とは同一ではない。HV-LPD と SMBA 合併例の長期的予後は不良で、重症型と
して CAEBV に準じた治療介入が必要である。経過中に、全身型種痘様水疱症患者が CAEBV の全身症状や重
症度分類は EBV 関連血球貪食性リンパ組織球症(EBV-HLH)を合併することや、節外性 NK/T 細胞リンパ腫鼻型やアグレッシブ NK 細胞白血病に進行することがある。
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<診断基準>
I.古典型種痘様水疱症(classic hydroa vacciniforme: cHV)
(1) 顔面、耳介、手背などの日光露出部にヘルペス様小水疱・丘疹・痂皮を認める
(2) 皮疹部に EBV 感染細胞あるいは EBV 関連遺伝子産物が証明できる
(3) 皮疹部または末梢血に EBV 感染 T 細胞の増加を認める
(4) 血液中 EBV DNA 量が有意に上昇
(5) 他の皮膚疾患や慢性活動性 EBV 病(CAEBV)および重症蚊刺アレルギー(SMBA)を除外できる
Definite:上記(1) ~ (5) をすべて満たすこと
Probable:上記(1) を満たし、上記(2)、(3) のいずれかまたは両方が証明されること
Possible:上記(1) を満たし、 上記(4)が証明されること
II.全身型種痘様水疱症(systemic hydroa vacciniforme: sHV)
上記(1)-(4)の項目に加えて
(6) 顔面・口唇腫脹と一過性の発熱、肝障害、リンパ節腫大を伴う
(7) 他の皮膚疾患や EBV 関連リンパ腫/白血病を除外できる
Definite: 上記(1) ~ (4)、(6)、(7)をすべて満たすこと
Probable:上記(1) と (6) を満たし、かつ上記(2) と (3)* のいずれかまたは両方が証明されること
Possible: 上記(1) と (6) を満たし、 上記(4) が証明されること
(*:ただし、全身型種痘様水疱症には NK 細胞優位型も可とする)
補足条項
種痘様水疱症リンパ増殖異常症(HV-LPD)には、皮膚以外の臓器障害を欠き予後良好な「古典型種痘様水疱
症」と激しい皮膚症状と全身症状や他臓器障害を示す「全身型種痘様水疱症」の両病型が含まれる。治療およ
び予後の観点から、両病型を鑑別する必要がある。なお、古典型で始まり、全身型へ移行する例が約 10%存在
する。
Ⅰ-1) ヘルペス様皮疹の他に、結膜充血、口唇・歯肉のアフタ性口内炎を伴うことがある。
Ⅰ-2) 皮膚生検を用いた EBER 陽性細胞検出が標準的だが、生検が難しいときには水疱天蓋や痂皮を用いて
RT-PCR 法で EBER 検出が可能(研究室レベル)。
Ⅰ-3) 古典型種痘様水疱症は通常、小児期に発症し、EBV 感染γδT 細胞の増加(リンパ球の>5%)を認める。
全身型種痘様水疱症は、小児例のほか成人例・高齢発症例があり、EBV 感染αβT 細胞優位型とγδT 細胞
優位型がある。EBV の T 細胞分画への感染を証明するには、末梢血を用いた Flow-FISH もしくは磁気ビーズ/
定量 PCR 法が実施されている(研究室レベル)。
Ⅰ-4) リアルタイム PCR 法を用いて全血の EBV DNA を定量した場合、一般に 10,000 IU/mL(4.0 Log IU/ml) 以
上が 1 つの目安となる。
Ⅰ-5) 鑑別疾患は、単純ヘルペスウイルス感染症、水痘・帯状疱疹ウイルス感染症、Kaposi 水痘様発疹症、ポ
ルフィリン症、多形日光疹、伝染性膿加疹、ざ瘡、リンパ腫様丘疹症など。
HV-LPD が CAEBV に合併する場合や、持続する発熱や臓器障害を認める場合には CAEBV として取り扱う。
Ⅱ-6) 顔面・眼瞼・口唇腫脹は、節外性 NK/T 細胞リンパ腫-鼻型やアグレッシブ NK 細胞白血病にも見られる
が、通常、ヘルペス様小水疱を欠く。
Ⅱ-7) HV-LPD と SMBA はしばしば併発する。両病型は「皮膚型」CAEBV という疾患スペクトラムで包括される
ことがあるが、前述の「CAEBV」とは同一ではない。HV-LPD と SMBA 合併例の長期的予後は不良で、重症型と
して CAEBV に準じた治療介入が必要である。経過中に、全身型種痘様水疱症患者が CAEBV の全身症状や重
症度分類は EBV 関連血球貪食性リンパ組織球症(EBV-HLH)を合併することや、節外性 NK/T 細胞リンパ腫鼻型やアグレッシブ NK 細胞白血病に進行することがある。
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