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資料3 指定難病に係る新規の疾病追加について情報提供のあった疾病(個票)(第55回指定難病検討委員会において検討する疾病) (8 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37546.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第54回 2/6)社会保障審議会 小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病検討委員会(第2回 2/6)(合同開催)《厚生労働省》 |
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原発性リンパ浮腫
○ 概要
1.概要
原発性リンパ浮腫(primary lymphedema)は、がん手術のリンパ節郭清等により正常なリンパ管系を損傷
した後に発症する続発性リンパ浮腫と区別され、リンパ管の先天的低形成・無形成や機能不全などにより、
四肢、特に下肢を中心にリンパうっ滞による浮腫を生じ、慢性的に経過する疾患である。正常リンパ管構造
の後天的な途絶により浮腫を生ずる続発性のものに比べ、生来からその正常リンパ管構造や機能を持た
ない本疾患は、若年で発症して治療経過が長く、効果的な結果をもたらす治療手段が無く、続発性よりも治
療には難渋することが多い。
原発性リンパ浮腫の分類は、発症時期で先天性(生下時)、早発性(生下時~34 歳)、遅発性(35 歳以
上)の 3 型に分けた Kinmonth の分類が使用されている。2009 年に笹島らによって行われた原発性リンパ
浮腫患者の実態調査では、日本における推定患者数は 3059 名で、人口 10 万人あたり 3.00 人と報告され
ている。また先天性が 9%、早発性が 42%、晩発性が 49%とも報告されているが、調査当時の診断方法では
晩発性の中に慢性静脈不全などの慢性浮腫が含まれていることも否定できず、実際の原発性リンパ浮腫
患者数はさらに少ない可能性がある。浮腫による患肢の整容的な問題のみならず、感染、リンパ漏や関節
拘縮などの続発する問題によって生涯にわたり身体的・精神的苦痛を伴う疾患である。
2.原因
リンパ管形成不全や機能不全によるリンパ液の還流障害により発症する。本疾患に関して、遺伝子の病
態発生への影響に関する研究は進んだものの、遺伝子異常が確定される患者は一部であり、孤発例が多
く、本疾患全体の原因や病態解明が今後求められる。
3.症状
浮腫は、特に誘因なく四肢、特に下肢に発症し、慢性進行性である。程度は様々であるが、足背部や下
腿を中心として皮膚皮下の浮腫状の腫脹、冷感、疼痛などを認める。経過とともに進行して蜂窩織炎、色素
沈着、皮膚の乾燥、皮膚血流障害、皮膚潰瘍、リンパ漏、白癬症合併等の皮膚感染症をおこし、繰り返すと
終末期には皮膚が硬化し象皮症を発症し、関節拘縮による機能障害を引き起こす。リンパ管肉腫などの悪
性腫瘍を発症することもある。
4.治療法
原発性リンパ浮腫に対する根本的治療法はない。治療の目的はリンパ浮腫の進行の阻止、浮腫に伴っ
て生じる種々の問題の予防、そして続発症に対する対症療法となる。様々な保存的治療を組み合わせた
複合的治療と一部に外科的治療が推奨されている。
保存的治療である複合的治療には患肢挙上などの日常生活指導、スキンケア、圧迫療法(弾性包
帯、弾性ストッキング)、圧迫下運動療法、用手的リンパドレナージがある。外科的治療としては、病変
組織を減量する目的で、直接的な組織の切除術や保険適応外であるが脂肪吸引が行われることもある。
またリンパ管静脈吻合術も近年広まっているが、原発性リンパ浮腫に対する効果は現時点では不確実で
ある。血管付きリンパ節組織移植も一部で行われている。
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○ 概要
1.概要
原発性リンパ浮腫(primary lymphedema)は、がん手術のリンパ節郭清等により正常なリンパ管系を損傷
した後に発症する続発性リンパ浮腫と区別され、リンパ管の先天的低形成・無形成や機能不全などにより、
四肢、特に下肢を中心にリンパうっ滞による浮腫を生じ、慢性的に経過する疾患である。正常リンパ管構造
の後天的な途絶により浮腫を生ずる続発性のものに比べ、生来からその正常リンパ管構造や機能を持た
ない本疾患は、若年で発症して治療経過が長く、効果的な結果をもたらす治療手段が無く、続発性よりも治
療には難渋することが多い。
原発性リンパ浮腫の分類は、発症時期で先天性(生下時)、早発性(生下時~34 歳)、遅発性(35 歳以
上)の 3 型に分けた Kinmonth の分類が使用されている。2009 年に笹島らによって行われた原発性リンパ
浮腫患者の実態調査では、日本における推定患者数は 3059 名で、人口 10 万人あたり 3.00 人と報告され
ている。また先天性が 9%、早発性が 42%、晩発性が 49%とも報告されているが、調査当時の診断方法では
晩発性の中に慢性静脈不全などの慢性浮腫が含まれていることも否定できず、実際の原発性リンパ浮腫
患者数はさらに少ない可能性がある。浮腫による患肢の整容的な問題のみならず、感染、リンパ漏や関節
拘縮などの続発する問題によって生涯にわたり身体的・精神的苦痛を伴う疾患である。
2.原因
リンパ管形成不全や機能不全によるリンパ液の還流障害により発症する。本疾患に関して、遺伝子の病
態発生への影響に関する研究は進んだものの、遺伝子異常が確定される患者は一部であり、孤発例が多
く、本疾患全体の原因や病態解明が今後求められる。
3.症状
浮腫は、特に誘因なく四肢、特に下肢に発症し、慢性進行性である。程度は様々であるが、足背部や下
腿を中心として皮膚皮下の浮腫状の腫脹、冷感、疼痛などを認める。経過とともに進行して蜂窩織炎、色素
沈着、皮膚の乾燥、皮膚血流障害、皮膚潰瘍、リンパ漏、白癬症合併等の皮膚感染症をおこし、繰り返すと
終末期には皮膚が硬化し象皮症を発症し、関節拘縮による機能障害を引き起こす。リンパ管肉腫などの悪
性腫瘍を発症することもある。
4.治療法
原発性リンパ浮腫に対する根本的治療法はない。治療の目的はリンパ浮腫の進行の阻止、浮腫に伴っ
て生じる種々の問題の予防、そして続発症に対する対症療法となる。様々な保存的治療を組み合わせた
複合的治療と一部に外科的治療が推奨されている。
保存的治療である複合的治療には患肢挙上などの日常生活指導、スキンケア、圧迫療法(弾性包
帯、弾性ストッキング)、圧迫下運動療法、用手的リンパドレナージがある。外科的治療としては、病変
組織を減量する目的で、直接的な組織の切除術や保険適応外であるが脂肪吸引が行われることもある。
またリンパ管静脈吻合術も近年広まっているが、原発性リンパ浮腫に対する効果は現時点では不確実で
ある。血管付きリンパ節組織移植も一部で行われている。
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