よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


資料3 指定難病に係る新規の疾病追加について情報提供のあった疾病(個票)(第55回指定難病検討委員会において検討する疾病) (26 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37546.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第54回 2/6)社会保障審議会 小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病検討委員会(第2回 2/6)(合同開催)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

先天性胆道拡張症
○ 概要

1.概要
先天性胆道拡張症とは、総胆管を含む肝外胆管が限局性に拡張する先天性の形成異常で、膵・胆管
合流異常を合併するものをいう。ただし、肝内胆管の拡張を伴う例もある。
総胆管を含む肝外胆管および肝内胆管が限局性に拡張し、全例に膵・胆管合流異常を合併する戸谷
分類
(図1)
の Ia 型、Ic 型と IV-A 型を先天性胆道拡張症と定義した。
また、Caroli 病、
Choledochocele、
戸谷分類のⅠa 型,Ⅰc 型,IV-A 型以外で膵・胆管合流異常のない胆道拡張症、などは先天性胆道拡張
症に含めないことにした。
先天性胆道拡張症では、胆管拡張やしばしば合併する総胆管の十二指腸側の狭小部(narrow
segment)によって胆汁の流出障害が起きる。また、合併する膵・胆管合流異常では、共通管が長
く、乳頭部括約筋作用が膵胆管合流部に及ばないため、膵液と胆汁が相互に逆流する。膵液胆道逆
流現象により、胆道内に流入した膵酵素は胆汁中のエンテロキナーゼにより活性化し、胆道上皮の
障害、再生を繰り返すことで遺伝子変異を生じ発癌に至ると推測されている。また、胆汁膵管逆流
現象による胆汁の膵管内への逆流が生じているのは明らかで、膵炎発症への関与が疑われている。
2.原因
胆道拡張は原腸の内腔形成機序に関連しているとする説が有力で、膵・胆管合流異常の発生機序は解
明されていないが、胎生 4 週頃までに起こる 2 葉の腹側膵原基から形成される腹側膵の形成異常とする
説が有力である。
3.症状
日本膵・胆管合流異常研究会の 1990 年から 2015 年までの 26 年間に全国集計で得られた小児 1,258
例の検討において、小児では 92.8%に症状があり,主なものは腹痛(68.8%)、嘔気・嘔吐(51.2%)、黄疸
(28.0%)、発熱(24.2%)である。
4.治療法
症状の有無にかかわらず,診断されれば手術的治療が必要で、拡張胆管切除・胆道再建術の適応とな
る。また、拡張胆管切除術後の胆管炎、肝内結石に対しては抗菌薬投与や胆道ドレナージ、利胆薬の服薬、
急性膵炎については急性膵炎診療ガイドラインに従った治療が、慢性膵炎については疼痛管理等の慢性
膵炎診療ガイドラインに沿った継続的治療が行われる。
5.予後
小児(約 28〜32%)は成人(約 9%)に比べ急性膵炎の術前合併が多いことが報告されており、発生要因
として、共通管の拡張、膵管の拡張、膵頭部膵管の複雑な走行異常、蛋白栓などが考えられている。また、
臨床的に一過性のものや、軽症で再発性のものが多いなどの特徴がある。また、成人 24.1%,小児 9.0%
の症例に胆道結石が認められる。
成人期を含めた長期療養という観点からは、拡張胆管切除術後においても胆管炎を繰り返したり、肝内

24