【資料1】薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書2022(たたき台) (107 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29073.html |
出典情報 | 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第10回 11/21)《厚生労働省》 |
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国内の抗菌薬適正使用に関わる研究について、過去の報告と昨年度の本報告書以後に(2020 年後半~)公
表されたものを以下にまとめた。診療請求情報(レセプトデータ)を用いた日本全国の外来を対象とした研
究のみを対象とし、対象地域が限定されている研究や、抗菌薬使用量だけが解析されている研究は除外し
た。
レセプトデータは、厚生労働省が構築した NDB2,3 、国民健康保険のデータベース 4、複数の健康保険組合
のレセプト情報を組み合わせて構築された製品化されたデータベース(JMDC 社の JMDC データベース 1,57
、IQVIA 社のデータベース 8 や MDV 社の MDV analyzer11)などが利用されていた。なお、記載中の角括弧
([ ])で囲まれている数字は特に記載のない場合、95%信頼区間を表す。
1. 抗菌薬適正使用に関する過去の報告
これまでに抗微生物薬適正使用の手引きで取り上げられている、急性気道感染症や急性下痢症への抗菌薬
適正使用に関する研究が報告されてきた 1-7。抗菌薬使用量は徐々に減少してきているが、なお、急性気道感
染症や急性下痢症への処方が多く適正使用支援の介入の余地があると示唆されていた。その中で 2018 年、3
歳未満の小児に対し、小児抗菌薬適正使用加算が導入され、さらに 2020 年の改定で対象年齢が 6 歳未満へ
引き上げられた。村木らが、IQVIA 社のデータベースを用いて 15 歳未満の児を対象に、2018 年の本加算の
効果について検証を行ったが、加算を申請している施設ではしていない施設と比べ抗菌薬の処方割合がより
低かった 8。こうした結果が出ているが、加算年齢の拡大も行われており、研究対象期間や年齢の拡大、より
詳細な年齢別導入有無での抗菌薬適正使用への効果などの調査も今後の抗菌薬適正使用を進めるために検討
がのぞまれる。小児に関しては小児科診療所を対象にしたアクションプランの効果を調査した研究が新たに
報告されており、次項に記す 9。急性下痢症に関しては、これまでには、大久保らが小児(18 歳未満)につ
いて、JMDC 社のデータベースを用い、2012 年 4 月~2015 年 12 月にかけて抗菌薬の使用状況を示した 7。
4,493 名の急性下痢症に罹患した外来患者に関するレセプトが調査され、そのうち 29.6%が何らかの抗菌薬処
方を受け、抗菌薬種別ではホスホマイシンが最も多かった(20.3%)。成人について大野らは JMDC 社のデ
ータベースを用い、2013 年 1 月~2018 年 12 月にかけて 0~65 歳の急性下痢症に対する抗菌薬使用状況を調
査した 10。研究期間の 6 年間において、全対象者の 94.6%が非細菌性の下痢症であったが、抗菌薬処方率
(処方数/受診数)は成人男性で 46.5%、成人女性で 40.8%であった。小児(0~17 歳)への抗菌薬処方率
は、男児 30.5%と女児 30.4%であり、過去の大久保らの調査7と大差なかった。また、椙山らも急性下痢症に
対する経口抗菌薬処方の状況についてについて診療データベースを利用した分析ツール(MDV analyzer:メ
ディカル・データ・ビジョン(株)、東京)を用いて調査した 11。2013 年 1 月~2019 年 12 月にかけて
MDV analyzer に登録されている日本全国の診断群分類別包括支払制度病院を対象に調査され、経年的に処方
患者数が減少していたことが大野らと同様に示された。