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【資料1】薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書2022(たたき台) (108 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29073.html
出典情報 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第10回 11/21)《厚生労働省》
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2. 抗菌薬適正使用に関する新たな研究報告
[小児抗菌薬適正使用加算導入の影響に関する研究]
神大らは JMDC 社のデータベースを用いて、2013 年 4 月から 2020 年 2 月の情報から 2018 年 4 月に導入
された呼吸器感染症、下痢症に対して抗菌薬を処方しなかった場合にインセンティブがつく加算(0-2 歳)と医
療提供者の教育(6 歳以上)の影響について
中断時系列分析を用いて効果を評価した 12。その結果、加算導入後に抗菌薬処方が大幅に減少したのは
0-2 歳 (毎月 1,000 回の診療所あたり -47.5 処方[77.3 ~ -17.6]) であった。医療提供者に対する教育は全年
齢で抗菌薬処方を減少させていた。これらは導入後即時に効果が見られたものの、長期間の効果は見られな
かった。
大久保らは NDB を用いて同様の加算の効果を差分の差分分析を用いて評価を行い、13. 抗菌薬処方の減少
を示した(DID 推定、1,000 症例あたり -228.6 DOT [95%信頼区間

-272.4 ~ -184.9]。

また呼吸器症状の治療薬 (DID 推定、1,000 症例あたり -256.9 DOT [-379.3 ~ -134.5]) 、抗ヒスタミン
薬 (DID 推定、1,000 症例あたり -198.5 DOT [-282.1 ~ -114.9])であり、時間外診療の増加も見られなか
った [DID 推定、1,000 件あたり -4.43 件[-12.8 ~ 3.97]。また入院増加は見られなかった[DID 推定値、
1,000 例あたり-0.08 件[-0.48~0.31] 。医療に悪影響を与えることなく、不要な抗菌薬処方の削減につなが
ったとことを示した。
[処方状況に関する研究]
佐藤らは JMDC を用いて、2015 年 9 月から 2018 年 8 月の期間で 18 歳以上を対象として、抜歯後の予防
抗菌薬の処方状況を分析し、AMR 対策アクションプランの影響を調査した 14。
その結果、66,2435 人の該当患者のうち、予防抗菌薬の処方があった患者は全体で 83%、術後感染症のリ
スクが低いと定義した患者の 82%であった。研究期間内でこの割合に変化は見られなかったものの、処方内
訳は第3世代セファロスポリンが 58%から 34%(病院)、57%から 56%(診療所)へ減少が見られた。またアモ
キシシリンは 16%から 37%(病院)、6%から 10%(診療所)へ増加していた。
また荒木らは、JMDC を用いて 2005 年 1 月から 2016 年 2 月の期間で 5 年以上健康診断を受け、2回以上
感冒と診断された労働年齢人口を 18,659 人を対象として調査を行った 15。その結果、49.2%(9,180 人)に抗菌
薬が処方されており、その要因として慢性疾患がないこと、男性患者、診療所もしくは 20 床以下の病院とい
うことが明らかとなった。また 40-45%がセファロスポリンの処方を受けていた。
不適切処方の状況が明らかとなり、中でもセファロスポリン系の使用が多く、ASP を進める必要性を示す
結果であった。

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