【資料1】薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書2022(たたき台) (76 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29073.html |
出典情報 | 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第10回 11/21)《厚生労働省》 |
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2013 年から 2017 年に国内で野生動物 475 個体から分離した大腸菌 963 株(シカ 242 個体 525 株、
イノシシ 112 個体 224 株、小型哺乳類(ドブネズミ、クマネズミ、アカネズミ、ヒミズなど)113 個
体 199 株、アナグマ 4 個体 10 株、野生ウシ(トカラウシ)2 個体 3 株、アマミノクロウサギ 2 個体 2
株)の薬剤感受性試験を実施した。シカとイノシシ由来株で 8 薬剤、小型哺乳類で 10 薬剤に耐性を
示した。シカ由来株では耐性菌が 5.9%に認められ、テトラサイクリン(TC、4.4%)耐性が最も高
く、コリスチン(1.5%)、ABPC、スルファメトキサゾール・トリメトプリム(ST、0.8%)の順で
あった。イノシシ由来株では 8.0%に耐性が認められ、TC(4.0%)、ABPC(3.6%)、CP(1.8%)
の順であった。小型哺乳類由来株では 18.1%が耐性株で、ABPC と TC(共に 12.6%)で最も多く、
ST(11.6%)耐性が続いた。特に、小型哺乳類では、家畜関連施設由来株で 10 薬剤に対する耐性が
認められ、ABPC、ST、TC 及び NA 耐性が 10%以上に認められたが、都市部由来株では、2 薬剤(TC
と ST)に対する耐性のみで、山間部由来株では調べた 12 薬剤に対する耐性は認められなかった。ま
た基質特異性拡張型ベータラクタマーゼ(ESBL)産生菌は小型哺乳類(家畜関連施設)由来 1 株で
認められ、CTX-M-1であった。
陸生の野性動物における耐性菌の分布は、生息環境の薬剤耐性菌汚染の影響をうけるが、家畜や伴
侶動物に比べると低率である。2016 年から 2019 年に野生シカから分離した大腸菌 848 株において
も、調査薬剤に違いはあるが薬剤耐性菌の割合は低率(9 株、1.1%)であることが報告された(表
71)。このように、シカやイノシシが主に生息する山間部の薬剤耐性菌の汚染は低度と考えられた。
また、2017 年から 2020 年に離島(奄美大島)に生息するアマミノクロウサギ由来大腸菌 135 株は調
査薬剤に感性を示した。草や樹木を主食とするアマミノクロウサギはヒトや家畜、さらに他の野生動
物から耐性菌を受け取る機会が少ないのか、今後の調査が期待される。
2018 年から 2019 年に群馬・岐阜・滋賀・大分の 4 県で捕獲されたカワウから分離した大腸菌 144
株では、5.6%が耐性株で、ABPC(3.5%)、TC(2.8%)、NA(1.4%)、CPFX(0.7%)、CL
(0.7%)、CP(1.4%)、ST(1.4%)耐性が認められた。また、2019 年に宮島沼(北海道)で収集
したマガンの糞便由来大腸菌 110 株では、1 株(0.9%)が耐性株(ABPC-CEZ 耐性)で、プラスミ
ド性耐性遺伝子(blaACC)を保有していた。カワウが留鳥でマガンが渡り鳥であることが耐性菌の
分布に影響することを考慮しなければならないが、野生の水鳥からフルオロキノロン耐性株や伝達性
β-ラクタマーゼ産生株が分離されたことから野生水鳥を介した耐性菌の拡散や水環境の汚染には注
意しなければならない。
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