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【資料1】薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書2022(たたき台) (34 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29073.html
出典情報 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第10回 11/21)《厚生労働省》
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ⅱ. Non-typhoidal Salmonella spp.
データ元:地方衛生研究所
全国 21 か所の地方衛生研究所では、2015 年~2021 年に分離されたサルモネラ 2,948 株の薬剤耐
性状況を統一した方法で調査している 2。ヒト由来株及び食品由来株の主な血清型を表 19 に示してい
る。
ヒト由来株(2,093 株)の 39.2%、食品由来株(855 株)の 90.3%が、調査に用いた 17 剤のうち 1
剤以上の抗菌薬に耐性を示した(表 20、21)。事業化された調査ではないものの、全国的調査であ
り、2015 年~2021 年分離株の年次毎の耐性率は、国内の状況を反映していると考えられる。今期
(2021 年)分離株では、ヒト由来 146 株中の 46 株(31.5%)、及び食品由来 140 株中の 121 株
(86.4%)が 1 剤以上に耐性を示し、これらは、2015 年~2020 年に分離されたヒト由来 1,947 株の耐
性率(39.8%)、及び食品由来 715 株の耐性率(91.0%)と、それぞれ、大きな相違はなかった。多剤耐性
の状況としては、ヒト由来株及び食品由来株ともに 3 剤耐性の割合が多かった。6 から 11 剤に耐性
を示す多剤耐性株も、ヒト由来株中では 39 株、食品由来株中では 66 株で認められた。また、2020
年のヒト由来分離株から初めてメロペネム(MEPM)に対する耐性株が検出され(表 20)、この分
離、(1株)は S. Heidelberg で、MEPM を含め 8 剤に耐性を示す多剤耐性株であった。2021 年に
おいても、食品由来株から初めてメロペネム(MEPM)に対する耐性株が検出され(表 21)、これ
らの分離株(3株)は国産鶏肉から分離された S. Schwarzengrund で(表 23)、同じ地衛研から報
告された。それぞれ、5剤 (KM, SM, TC, ST, MEPM)、6剤 (KM, SM, TC, ST, NA, MEPM)、6剤
(KM, SM, TC, CFX, NA, MEPM)に耐性を示した。
食品由来株上位2血清型(S. Infantis, S. Schwarzengrund)の薬剤耐性率を表 22~23 に、ヒト由
来株上位 5 血清型(S. Infantis, S. Enteritidis, S. Thompson, S. 4:i:-, S. Saintpaul)の薬剤耐性率を表
24~28 に示す。食品由来株では、今期(2021 年)分離の S. Schwarzengrund の占める割合が 2015
年~2020 年よりも高かったが、耐性傾向は大きくは異なっていなかった。一方、ヒト由来株におい
ては血清型別に特徴的な耐性傾向が認められるため、血清型別の耐性率を経年的に比較した。
また、食品由来株上位5血清型及びヒト由来株上位 10 血清型に共通して見いだされる3血清型
(S. Schwarzengrund, S. Infantis, S. Manhattan)の薬剤耐性率をヒト由来株と食品由来株の間で比
較すると(表 29)、それぞれの血清型において、各種抗菌薬に対する耐性率の全体的傾向に明瞭な
類似性が認められたことから、食品由来耐性菌とヒト由来耐性菌との間の関連が強く示唆された(表
59 参照)。
薬剤感受性試験に加えて、2015 年~2020 年分離株のうち、セフォタキシム(CTX),セフタジジ
ム(CAZ),セフォキシチン(CFX)の 1 剤以上に耐性を示す菌株(ヒト由来 41 株、食品由来 46
株)を対象に、基質特異性拡張型 β-ラクタマーゼ(ESBL)産生遺伝子及び AmpC 型 β-ラクタマー
ゼ(AmpC)遺伝子の検出を実施した。ESBL 産生遺伝子では、ヒト由来株、食品由来株とも、CTXM-1 グループの保有が最も多く、TEM 型が次に多かった。AmpC 遺伝子では、ヒト由来株、食品由
来株とも、CIT 型の保有が最も多かった。これらの結果から、ESBL 産生遺伝子、AmpC 遺伝子とも
に、ヒト由来株と食品由来株での検出傾向に類似性が認められた一方、CTX-M-9 グループ(ESBL 産
生遺伝子)はヒト由来株のみに、EBC 型(AmpC 遺伝子)は食品由来株のみに検出されるなど、それ
ぞれの株に特徴的な検出も認められた。

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