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【資料1】薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書2022(たたき台) (14 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29073.html
出典情報 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第10回 11/21)《厚生労働省》
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モネラ属菌の各血清型において、各種薬剤に対する耐性率のパターンに明瞭な類似性が認められたこ
とから、食品およびヒト由来耐性株間の関連性が強く示唆された。
日本におけるヒト用抗菌薬の販売量に基づいた抗菌薬使用は、2021 年においては、9.8 DID であ
り、2013 年と比較して、32.8%減少していた。また内服薬は抗菌薬全体の 90.9%を占めており、その
内訳では、セファロスポリン系、フルオロキノロン系、マクロライド系の使用比率が高かった。2021
年は使用比率の高い 3 系統の抗菌薬も、2013 年と比較すると、それぞれ 46.1%、43.7%、47.5%減
少していた。また、注射用抗菌薬も 2013 年と比較して 1.1%減少していた。WHO が抗菌薬適正使用
の指標として推奨している AWaRe 分類における Access の割合は、2013 年から経年的にみると、
11.0%から 2021 年は 23.1%へと徐々に上昇し、Watch の占める割合は 87.6%から 75.5%へと低下し
ていた。
動物分野においては、畜産動物(牛、豚及び鶏)、水産動物(全ての養殖魚種)、愛玩動物(犬及
び猫)の薬剤耐性に関する動向調査を実施した結果、ヒト医療上重要な抗菌剤の1つであるカルバペ
ネム系に対する腸内細菌科細菌における耐性率及びヒトの院内感染などで大きな問題となるバンコマ
イシンに対する腸球菌属菌の耐性率はいずれも 0.0%であった。
畜産動物においては、アクションプランの成果指標としている健康な畜産動物由来の大腸菌のテト
ラサイクリン系薬に対する耐性率は、2014 年の 45.2%から 2015 年には 39.9%に減少したものの、
2016 年以降耐性率は増減を繰り返し、2020 年は 2019 年と同程度の 45.0%であった。一方、第3世
代セファロスポリン及びフルオロキノロン系の抗菌剤に対する耐性率は、2014 年から 2020 年の間、
概ね 10%以下で推移していた。
水産動物においては病魚由来の α 溶血性レンサ球菌症原因菌(Lactococcus garvieae)におい
て、リンコマイシンに対する耐性率は 2017 年に 61.0%、2018 年に 31.5%、2019 年には 55.2%、
2020 年に 53.8%で推移した。エリスロマイシン及びオキシテトラサイクリンに対する耐性率は 2020
年にはいずれも 0.6%であり、低値で維持されていた。
愛玩動物においては、疾病にり患した愛玩動物(犬及び猫)由来の大腸菌について、畜産動物と比
較して、テトラサイクリン系やアミノグリコシド系の抗菌剤に対する耐性率は低いものの、ヒト医療
上重要なフルオロキノロン系やセファロスポリン系の抗菌剤に対する耐性率が高い傾向が認められ
た。健康な愛玩動物(犬及び猫)由来の大腸菌については、疾病にり患した愛玩動物(犬及び猫)と
比較して、全ての薬剤で低い耐性率を示し、概ね感受性が維持されていることが確認された。
動物用抗菌剤の販売量(畜産動物、水産動物及び愛玩動物への販売量)については、動物用医薬品
等取締規則第 71 条の2に基づき報告された抗生物質及び合成抗菌剤の販売量から、原末換算した量
(トン:t)として集計した。2020 年は、最も販売量が多い系統はテトラサイクリン系であり、全
体の約 4 割を占めていた。一方で、第3世代セファロスポリンおよびフルオロキノロン系について
は、それぞれ全体の1%未満であった。動物用抗菌剤全体の販売量は 800t前後を推移しており、
2020 年は 842.9tと 2019 年の 841.37tとほとんど変化はなかった。系統別ではテトラサイクリン系
が約 9t減少し、これは豚における減少の影響が大きかった。一方、サルファ剤は約 14t増加してお
り、これは牛及び鶏で増加がみられていた。水産動物用のエリスロマイシンは減少に転じた。 2020
年における各分野の販売量などから推計した抗菌薬の使用量(トン: t)は、ヒト 501.9、畜産動物
626.8、水産動物 208.0、愛玩動物 8.1、抗菌性飼料添加物 234.9、農薬 135.9、合計 1715.7tであっ
た。

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