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【資料1】薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書2022(たたき台) (13 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29073.html
出典情報 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第10回 11/21)《厚生労働省》
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4. 要旨
背 景:
我が国の「AMR 対策アクションプラン 2016–2020」において、ヒト、動物、農業、食品及び環境
の各分野において薬剤耐性菌及び抗菌薬使用の現状及び動向の把握は、現状の施策の評価及び今後の
施策を検討する上で重要な戦略の一つと位置づけている。また、国際的には、世界保健機関
(WHO)がグローバル薬剤耐性サーベイランスシステム(GLASS)を構築するなど、世界の耐性菌
の動向を集約・共有する試みが開始されているが、日本はこの GLASS にデータを提出し、協力して
いる。また、国際獣疫事務局(OIE)においては、統一された手法による動物における抗菌剤の使用
量のモニタリングを行い、我が国はこの取り組みに協力し、データを提出している。このように、我
が国の現状及び動向を把握し国内外に向けて発信することは、国際社会における我が国の位置を再確
認するとともに、国際的にも AMR に関する施策を推進する上で重要である。
方 法:
本報告書は、ヒト、動物、食品及び環境の有識者によって構成された薬剤耐性ワンヘルス動向調査
検討会において、動向調査や研究等における情報を検討したものである。ヒト・医療分野の主要な病
原細菌における薬剤耐性率は、厚生労働省の院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)などから、
動物由来細菌における主な薬剤に対する耐性率と動物における抗菌薬の販売量に関しては、農林水産
省の動物由来薬剤耐性菌モニタリング(JVARM)から情報を得た。また、ヒトにおける抗菌薬の販売
量・使用状況は IQVIA ソリューションズジャパン株式会社、匿名レセプト情報・匿名特定健診等情報
データベース(NDB)及び感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)から、抗菌性飼料添加物
の流通量は独立行政法人 農林水産消費安全技術センター(FAMIC)及び一般社団法人日本科学飼料
協会から、農薬として用いられている抗菌剤の国内出荷量は農林水産省から情報を得た。
既存の動向調査等では調べられていないが、公衆衛生の観点から重要と考えられる微生物の薬剤耐
性や、国民の AMR に対する認知度等に関しては、厚生労働科学研究班等の検討結果を利用した。
動物分野では、8 大学の獣医学生に対して行われた、薬剤耐性に関する意識調査の結果を利用し
た。
結 果:
近年、世界各国で、ヒト分野においては、腸内細菌科細菌*、特に大腸菌と肺炎桿菌でカルバペネ
ムへの耐性率の増加が問題となっているが、日本では、これらの耐性率は1%未満で推移している。
日本では大腸菌における第 3 世代セファロスポリン系薬及びフルオロキノロン系薬への耐性率は増加
傾向にあったが、2021 年はわずかに減少した。緑膿菌のカルバペネム耐性は 2014 年に判定基準が変
更されているが、耐性率としては減少傾向にあると考える。腸球菌属では、国際的にはバンコマイシ
ン耐性の増加が問題となっている。日本では Enterococcus faecium のバンコマイシン(VCM)耐性
率は海外に比較して比較的低い水準にあるものの、2022 年は 2.6%と増加傾向にあり、一部の地域で
VCM 耐性 E. faecium による広域な病院内アウトブレイクが認められ、2020 年感染症発生動向調査事
業では過去最高の 136 例報告されている。
また、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の割合は 2019 年より再上昇の傾向にあったが、
2021 年減少に転じた。しかし、諸外国に比して未だに高い水準にある。食品およびヒト由来のサル

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