【資料1】薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書2022(たたき台) (44 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29073.html |
出典情報 | 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第10回 11/21)《厚生労働省》 |
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Clostridioides difficile(CDI)は、芽胞産生のグラム陽性嫌気性桿菌であり、健康成人の 10%程度
の腸管に定着(colonization)している 3。CDI は病院や老人介護施設等において下痢症を引き起こす
主要な医療関連感染症であることに加えて、最近では、市中でも感染症を引き起こすことが示唆され
ている 4。
日本における既存の観察研究では、10,000 患者入院日数あたりの CDI 罹患率は 0.8~4.7、1,000 入
院あたりの有病率は 0.3~5.5 と示されていた 5。毒素培養検査および nucleic acid amplification test
(NAAT)法を用いて行った多施設前向き研究(12 施設 20 病棟)では、10,000 患者入院日数あたり
の CDI 罹患率は 7.4、ICU 病棟では 22.2 と、既存報告より罹患率が高く、ICU 病棟では特にリスクが
高いことが示唆された 6。病院間や諸外国などとの罹患率の比較には、検体採取病棟、検査方法、再
燃の定義、平均入院日数の違い、などの影響を考慮する必要がある。
AMR 臨床リファレンスセンター(AMRCRC)では、2019 年より、J-SIPHE の運営を行い、年報を
作成し CDI の動向調査を開始している。10,000 患者日あたりの CDI 発生数は、2019 年、276 施設で
1.38(IQR:0.56-2.43)、2020 年、347 施設で、1.20(IQR:0.45-2.13)、2021 年、470 施設で 0.96
(IQR:0.32-1.97)と減少傾向にあった。参加施設における特性の変化と新型コロナウイルス感染症
流行の影響を考慮する必要がある。
表 35 病院における Clostridioides difficile 発生状況(10,000 患者日あたりの発生数)
Clostridioides difficile (IQR)
2019(n=276)*
2020(n=347)**
2021 (n=470)
1.38(0.56-2.43)
1.20(0.45-2.13)
0.96 (0.32-1.97)
*2019 年:イムノクロマト法を用いたトキシン検査 253 施設、NAAT 法を用いた検査3施設、その他 20 施設
**2020 年:イムノクロマト法でトキシンのみを確認・陽性時に CDI と判定/陰性時に検査終了 2020 年 81 施設、2021 年
65 施設。イムノクロマト法でトキシンのみを確認・陽性時に CDI と判定/陰性時は培養コロニーを用いたイムノクロマト法
でトキシンを判定し、いずれも陰性の場合は検査終了 2020 年 8 施設、2021 年 2 施設。イムノクロマト法で GDH とトキシ
ンの両方を確認し GDH 陽性・トキシン陽性の場合に CDI と判定/GDH 陽性・トキシン陰性の場合は CDI と判定せず検査終
了 2020 年 115 施設、2021 年 203 施設。イムノクロマト法で GDH とトキシンの両方を確認し GDH 陽性・トキシン陽性の場
合に CDI と判定/GDH 陽性・トキシン陰性の場合は培養コロニーを用いてトキシンを判定し、いずれも陰性の場合は検査終
了 2020 年 104 施設、2021 年 110 施設。イムノクロマト法で GDH とトキシンの両方を確認し GDH 陽性・トキシン陽性の場
合に CDI と判定/GDH 陽性・トキシン陰性の場合は糞便中の毒素遺伝子検査でトキシンを判定し、陰性の場合は検査終了
2020 年 36 施設、2021 年 59 施設。糞便の毒素遺伝子検査のみでトキシンを確認し陽性時に CDI と判定/陰性時は検査終了
2020 年 3 施設、2021 年 1 施設。その他(上記以外)、2020 年 38 施設、2021 年 45 施設。
文献追加
J-SIPHE(感染対策連携共通プラットフォーム). 年報,2021.
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