【資料1】薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書2022(たたき台) (136 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29073.html |
出典情報 | 薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会(第10回 11/21)《厚生労働省》 |
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① 概要
淋菌感染症の診断では核酸検査の利用が進み、一部の症例のみ分離培養が行われている現状がある。淋菌
の薬剤感受性試験は一般の検査室や検査会社において容易に実施することはできないことから、JANIS によ
る動向把握は困難である。このことから、2015 年より AMED による研究によって、Neisseria gonorrhoeae
(淋菌感染症)の薬剤耐性状況の調査が実施されている。得られたデータは、WHO によって行われている
GLASS にも報告されている。
② 調査方法
全国の協力診療所(40 か所以上)が設定されている。各診療所から検体あるいは検査会社経由で菌株を全
国5カ所の検査可能な施設で収集し、薬剤感受性試験を実施した。薬剤感受性試験は CLSI あるいは
EUCAST で推奨されている寒天平板希釈法あるいは Etest によって測定した。測定薬剤は推奨薬剤である
CTRX 及びスペクチノマイシン、海外の2剤併用療法の一剤として利用されている AZM に加えて、過去に推
奨薬剤として利用されてきた3剤(PCG、CFIX、CPFX)の MIC を求めた。感受性・耐性判定は、EUCAST
の基準を用いた(表 102)。参考として CLSI(M100-S25)の基準(表 103)を用いた耐性率を示した(表
104)。表に示した AZM に関しては CLSI(M100-S27)により示された耐性遺伝子をもつ菌株の MIC 分布
に基づいた指標である。
③ 今後の展望
淋菌感染症の治療薬剤選択は、薬剤感受性試験実施が困難であることから、動向調査の結果に基づいて推
奨薬剤を決定し経験的に実施する必要がある。
経験的治療は 95%以上の成功率を得られる可能性がある薬剤が推奨される。現在国内で推奨可能な薬剤は
セフトリアキソン及びスペクチノマイシンのみである。咽頭に存在する淋菌が感染源として重要であること
から、咽頭に存在する淋菌も除菌することが求められる。しかしながら、スペクチノマイシンは体内動態か
ら咽頭に存在する淋菌には無効であることから、実質的にはセフトリアキソンが唯一残された薬剤である。
国内の分離株の薬剤感受性試験国内ではセフトリアキソン MIC 0.5µg/ml を示す株が散発的に分離されてい
る。海外でのセフトリアキソン接種は筋注であり、用量が制限される。このためセフトリアキソン MIC
0.5µg/ml の株が海外に伝播した際には、セフトリアキソンが無効となる可能性が高いため、今後の分離の動
向を注視していく必要がある。2017 年以降、大阪で 2015 年に分離された耐性株 7 と同一の耐性遺伝子をも
つ株の分離報告が世界各地からなされている 8。
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