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切れ目のないポリファーマシー対策を提供するための薬物療法情報提供書作成ガイド (16 ページ)

公開元URL https://www.ncgg.go.jp/hospital/kenshu/news/20250331.html
出典情報 切れ目のないポリファーマシー対策を提供するための薬物療法情報提供書作成ガイド(3/31)《国立長寿医療研究センター》
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切れ目のないポリファーマシー対策を提供するための
薬物療法情報提供書作成ガイド

●IADL の評価
Lawton の IADL 尺度、Frenchay Activities Index(FAI)などがある。
Lawton の IADL 尺度 5)では、電話の使用、買い物、食事の支度、家屋維持、洗濯、外出
時の移動、服薬、家計管理の 8 項目 8 点満点で評価し、得点が高い方が自立度は高い。原
著では性差を勘案して男性では食事の支度、家屋維持、洗濯を除外した 5 項目を評価する
と記載があるが、近年では、性差を勘案することは必ずしも妥当ではないとして、両性と
も 8 項目で評価することも可能である。
FAI6)は 15 項目に対して最近 3 か月、6 か月の実践頻度から 0〜3 点の合計 45 点で評価
する。点数が高い方が活動的である。
3.2.2 ADL と薬物療法の関係
高齢者における疾患の特性により、ポリファーマシーになることも多く、薬物の服用が新
たな薬原性の症状を引き起こし、ADL の低下の原因になることがある。薬物の副作用が ADL
の低下に大きく影響を与え得ることを考慮した服薬管理が必要である 7)。
副作用として薬剤性パーキンソニズムのある薬物を服用した場合を例に説明を加える。
薬剤性パーキンソニズムは、パーキンソン病と症状が酷似しており、筋固縮、安静時振戦、
無動・寡動、姿勢反射障害が発生する。また、病状の進行が比較的早いという特徴がある。
今までスムーズにできていたボタンのかけはずしが振戦によって困難になったり、トイレ
に行こうとして立ち上がって、歩き始めようとしても足が前に出なかったり(すくみ足)、
方向転換ができなく突進するような現象を認めることがある。これらの症状が薬物の影響
によるものと疑われた場合には、主治医と相談の上対応を考える必要がある。このような場
合でも、投薬前の ADL を明確に把握しておくことで、変化をいち早く把握でき、早急な対応
が可能となる。
薬物療法情報提供書の ADL の評価は、「自立、一部介助、全介助」と非常に簡略化して記
載している。情報の提供を受けた際には、ADL のどの場面で介助が必要なのかを、直接本人
や家族から聞き取り、服薬情報から想定される副作用に関連する ADL、IADL の項目について
掘り下げた評価を行うことを推奨する。
文献
1) 今田 拓、ADL 評価について-その本質への検討、総合リハビリテーション、3(8):643-651、1975
2) 内山 靖 他 編集、「ADL」に関わる評価指標の臨床活用. 臨床評価指標入門、協同医書出版社、260262、2010
3) Mahoney FI, Bathel DW. FUNCTIONAL EVALUATION: THE BARTHEL INDEX. Md State Med J. 14:6165,1965
4) 千野直一 他 編著、脳卒中の機能評価 SIAS と FIM(基礎編)、金原出版、83-133、2012
5) Lawton MP, Brody EM. Assessment of older people: self-maintaining and instrumental activities
of daily living. Gerontologist. 9:179-186, 1969
6) 蜂須賀研二 他、応用的日常生活動作と無作為抽出法を用いて定めた在宅中高年齢者の Frenchay
Activities Index 標準値、リハビリテーション医学、38:287-295、2001
7) 日本薬剤師会 編著、高齢者ケア薬剤管理マニュアル ADL と薬剤、薬事日報社、39-45、1999

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