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切れ目のないポリファーマシー対策を提供するための薬物療法情報提供書作成ガイド (20 ページ)
出典
公開元URL | https://www.ncgg.go.jp/hospital/kenshu/news/20250331.html |
出典情報 | 切れ目のないポリファーマシー対策を提供するための薬物療法情報提供書作成ガイド(3/31)《国立長寿医療研究センター》 |
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切れ目のないポリファーマシー対策を提供するための
薬物療法情報提供書作成ガイド
は 6 か月間に 6%以上の体重減少と同レベルにとらえ、さらに 2 週間で同等の体重減少が生
じた場合は、さらにリスクが高まることを指摘している 6)。
3.4.3 低栄養の診断: GLIM 基準
低栄養の診断は、GLIM (Global Leadership Initiative on Malnutrition) 基準を用い、
スクリーニングと診断的アセスメントの 2 段階で行う 7,8)(図 2)。
スクリーニングでは MNA®-SF (Mini Nutritional Assessment Short-Form)9) や MUST
(Malnutrition Universal Screening Tool)10)などの“検証済みのツール”を使用する。
スクリーニングで“低栄養リスクあり”と判断された場合、診断的アセスメントへ進む。
「表現型 (phenotypic criteria)」の 3 項目および「病因 (etiologic criteria)」の 2 項
目を評価し、表現型 3 項目のうち 1 項目以上、および病因 2 項目のうち 1 項目以上該当し
た場合に、低栄養と診断する。なお、「表現型」のうち“筋肉量の減少”について、コンセ
ンサスの得られた測定方法は未だ無いものの、GLIM 基準では二重エネルギー吸収法(DXA)、
生体インピーダンス法(BIA)、CT、MRI などの体組成測定法による筋肉量測定を推奨して
おり、これらが使用できない場合は下腿周囲長で代用可能としている。筋肉量のカットオフ
図2. GLIM基準による低栄養の診断手順
値は、我が国では AWGS 2019(Asian
Working Group on Sarcopenia)基準 11)を用いる。
スクリーニング
MNA®-SF, NRS2002, MUSTなど妥当性の示されたツールを使用
アセスメント
表現型(Phenotypic criteria)
病因(Etiologic criteria)
意図せぬ体重減少
低BMI (アジア)
筋肉量減少
食事摂取量減少/消化吸収能低下
疾患によるストレス/炎症の程度
>5%/過去6ヶ月以内
または
>10 %/過去6ヶ月以上
<18.5 kg/m2(70歳未満)
または
<20.0 kg/m2(70歳以上)
DXA、BIAなどによる筋量評価
人種により補正する(※)
エネルギー必要量 ≤50%が1週間以上
または
食事摂取量低下が2週間以上
または
慢性的な消化吸収障害(消化器症状)
急性疾患や外傷による炎症
または
慢性疾患による炎症
※ 筋肉量減少の評価は、アジアのサルコペニア基準(AWGS基準)を用いることができる
四肢骨格筋量÷身長(m)÷身長(m)を算出し、
DXAによる測定では、男性 <7 ㎏/m²、女性 <5.4 kg/m²、
BIAによる測定では、男性 <7 ㎏/m²、女性 <5.7 kg/m² を筋肉量減少のカットオフとする
GLIMでは、特別な測定機器がない場合、下腿周囲長の測定の使用が可能であり、
男性 <33cm、女性 <32cmを目安とし、
肥満成人の場合は、BMI25~30で3cm、BMI30~40で7cmを測定値から減じて調整する
診断
表現型 3項目のうち1つ以上該当 および
病因 2項目のうち1つ以上該当
図 2. GLIM 基準による低栄養の診断基準
3.4.4 主観的包括的栄養評価(SGA)
主観的包括的栄養評価(Subjective Global Assessment:SGA)は 1980 年代に開発された
主観的指標を用いたツールで、体重変化、食事摂取量の変化、消化器症状、機能制限、栄養
必要量を変化させる疾患の有無、身体的所見を評価し、栄養状態良好・中等度低栄養・重度
低栄養の 3 段階に分類する 12)。多くの医療機関で入院時評価に用いられており、SGA を用い
てスクリーニング(リスクのある者のふるい分け)とアセスメント(栄養状態の詳細な評価)
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薬物療法情報提供書作成ガイド
は 6 か月間に 6%以上の体重減少と同レベルにとらえ、さらに 2 週間で同等の体重減少が生
じた場合は、さらにリスクが高まることを指摘している 6)。
3.4.3 低栄養の診断: GLIM 基準
低栄養の診断は、GLIM (Global Leadership Initiative on Malnutrition) 基準を用い、
スクリーニングと診断的アセスメントの 2 段階で行う 7,8)(図 2)。
スクリーニングでは MNA®-SF (Mini Nutritional Assessment Short-Form)9) や MUST
(Malnutrition Universal Screening Tool)10)などの“検証済みのツール”を使用する。
スクリーニングで“低栄養リスクあり”と判断された場合、診断的アセスメントへ進む。
「表現型 (phenotypic criteria)」の 3 項目および「病因 (etiologic criteria)」の 2 項
目を評価し、表現型 3 項目のうち 1 項目以上、および病因 2 項目のうち 1 項目以上該当し
た場合に、低栄養と診断する。なお、「表現型」のうち“筋肉量の減少”について、コンセ
ンサスの得られた測定方法は未だ無いものの、GLIM 基準では二重エネルギー吸収法(DXA)、
生体インピーダンス法(BIA)、CT、MRI などの体組成測定法による筋肉量測定を推奨して
おり、これらが使用できない場合は下腿周囲長で代用可能としている。筋肉量のカットオフ
図2. GLIM基準による低栄養の診断手順
値は、我が国では AWGS 2019(Asian
Working Group on Sarcopenia)基準 11)を用いる。
スクリーニング
MNA®-SF, NRS2002, MUSTなど妥当性の示されたツールを使用
アセスメント
表現型(Phenotypic criteria)
病因(Etiologic criteria)
意図せぬ体重減少
低BMI (アジア)
筋肉量減少
食事摂取量減少/消化吸収能低下
疾患によるストレス/炎症の程度
>5%/過去6ヶ月以内
または
>10 %/過去6ヶ月以上
<18.5 kg/m2(70歳未満)
または
<20.0 kg/m2(70歳以上)
DXA、BIAなどによる筋量評価
人種により補正する(※)
エネルギー必要量 ≤50%が1週間以上
または
食事摂取量低下が2週間以上
または
慢性的な消化吸収障害(消化器症状)
急性疾患や外傷による炎症
または
慢性疾患による炎症
※ 筋肉量減少の評価は、アジアのサルコペニア基準(AWGS基準)を用いることができる
四肢骨格筋量÷身長(m)÷身長(m)を算出し、
DXAによる測定では、男性 <7 ㎏/m²、女性 <5.4 kg/m²、
BIAによる測定では、男性 <7 ㎏/m²、女性 <5.7 kg/m² を筋肉量減少のカットオフとする
GLIMでは、特別な測定機器がない場合、下腿周囲長の測定の使用が可能であり、
男性 <33cm、女性 <32cmを目安とし、
肥満成人の場合は、BMI25~30で3cm、BMI30~40で7cmを測定値から減じて調整する
診断
表現型 3項目のうち1つ以上該当 および
病因 2項目のうち1つ以上該当
図 2. GLIM 基準による低栄養の診断基準
3.4.4 主観的包括的栄養評価(SGA)
主観的包括的栄養評価(Subjective Global Assessment:SGA)は 1980 年代に開発された
主観的指標を用いたツールで、体重変化、食事摂取量の変化、消化器症状、機能制限、栄養
必要量を変化させる疾患の有無、身体的所見を評価し、栄養状態良好・中等度低栄養・重度
低栄養の 3 段階に分類する 12)。多くの医療機関で入院時評価に用いられており、SGA を用い
てスクリーニング(リスクのある者のふるい分け)とアセスメント(栄養状態の詳細な評価)
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