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切れ目のないポリファーマシー対策を提供するための薬物療法情報提供書作成ガイド (40 ページ)

公開元URL https://www.ncgg.go.jp/hospital/kenshu/news/20250331.html
出典情報 切れ目のないポリファーマシー対策を提供するための薬物療法情報提供書作成ガイド(3/31)《国立長寿医療研究センター》
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切れ目のないポリファーマシー対策を提供するための
薬物療法情報提供書作成ガイド

③感染症治療
・治療薬選定:重症感染症患者に対し、服薬歴や病歴に応じて、適切な抗菌薬を選定する。
過去の抗菌薬使用歴があれば、広域抗菌薬や多剤併用を提案し、ステロイド使用歴など
に基づき免疫機能の低下を推測して治療を適正化する。
・投与量提案:重症患者は病態により薬物動態が変動しやすいため、薬剤師は病態に応じ
た適切な投与量やタイミングを提案し、医師と協力して血中濃度をコントロールする。
④脳卒中治療
・脳梗塞治療:脳梗塞患者には tissue plasminogen activator が迅速に必要となる場合
があるため、薬剤師は在庫管理や投与手順の管理を徹底する。また、投与後の抗凝固剤
の併用リスクや副作用の監視も行う。
・脳出血時の血圧管理:脳出血やくも膜下出血患者には適切な血圧管理が必要となる。日
本脳卒中学会のガイドライン 2)に基づき、適切な降圧薬の溶解や投与を支援し、抗痙攣
薬使用時には投与経路や相互作用も確認する。
⑤外傷治療
・抗菌薬選定:外傷部位や感染リスクを考慮し、予防的な抗菌薬投与を行う。長期投与は
耐性菌リスクがあるため、投与期間を慎重に判断する。
・破傷風予防:外傷による破傷風リスクがある場合は、患者の免疫状況を確認し、破傷風
トキソイドや必要に応じ抗破傷風免疫グロブリンの投与提案を行う。
8.1.2 高度急性期病棟退所後のフォローアップと情報提供
急性期病棟では、重症患者の治療後に生じる後遺症として集中治療後筋力低下
(intensive care unit-acquired weakness:ICU-AW)や集中治療後症候群(post-intensive
care syndrome:PICS)が問題となる 3)。集中治療後症候群は、集中治療後筋力低下の身体
的障害に加え、精神的および認知的な後遺症を含む広範な障害の総称である。患者には集中
力や記憶力の低下といった認知機能の障害が見られさらに抑うつ、不安、心的外傷後ストレ
ス障害などの精神症状も発生する 3)。現状、集中治療後症候群に対する効果的な予防・対策
方法については未だ明らかとなっていない 4)。従って「薬物療法情報提供書」を用い、集中
治療後症候群に関連する症状を念頭においた情報提供が必要となる。

●集中治療後筋力低下(ICU-AW):
筋力低下が認められる場合、自己注射製剤や吸入器使用時に介助が必要となる。食事
内容の変化、誤嚥性肺炎対策が必要となる場合もあるため、併せて情報提供を行う。
●認知機能低下:
服薬コンプライアンスの低下に伴い、一包化の提案や服薬介助が必要となる。高齢者
施設への移行が予想される場合、老年薬学会が提唱している服薬簡素化も検討する 5)。

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