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資料1-3 ニフェジピン 調査結果報告書及び添付文書 (13 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29305.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(令和4年度第19回 11/22)《厚生労働省》
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2.背景
ニフェジピン(nifedipine)
(以下、
「本薬」
)は、ジヒドロピリジン系のカルシウム拮抗薬(以下、
「Ca 拮抗薬」
)に分類され、 血管拡張薬として高血圧症や狭心症に用いられている。本薬を含む
Ca 拮抗薬は、日本高血圧学会による高血圧治療ガイドライン 20191) において、ARB、ACE 阻害
剤、利尿薬とともに第一選択薬のひとつに挙げられている。また、当該ガイドラインにおいて、
ジヒドロピリジン系 Ca 拮抗薬及び本薬の特徴について、ジヒドロピリジン系 Ca 拮抗薬に関して
は、血管拡張作用が急速・強力であり、心収縮力抑制作用や刺激伝導系の抑制作用は臨床用量域
ではほとんどみられない旨が、本薬の徐放化製剤に関しては、1 日 1 回の服用で治療可能な降圧
作用として現在でも頻用されている旨が記載されている。
妊娠中に高血圧を認める場合を妊娠高血圧症候群という。2) 妊婦が降圧薬を使用する状況は大
きく二通りに分けられ、①妊娠中期(20 週)以降に発症する妊娠高血圧腎症・妊娠高血圧・加重
型妊娠高血圧腎症と②妊娠前又は妊娠 20 週未満に高血圧が存在する高血圧合併妊娠である。
本邦における妊娠高血圧症候群の薬物治療については、第一選択薬である ARB と ACE 阻害薬
はヒトにおいて胎児毒性が示されていることから妊婦には使用できず、利尿薬は胎盤血流を低下
させる可能性があるため通常妊婦には使用しない。また、Ca 拮抗薬では、妊娠 20 週以降の妊婦
への本薬の投与が可能であるものの、妊娠前又は妊娠 20 週未満に高血圧が存在する高血圧合併妊
娠症例では本薬を含めた Ca 拮抗薬が使用できない状況が続いている。そのため、妊娠中に使用で
きる降圧薬は、添付文書上、ラベタロール、メチルドパ、ヒドララジン、本薬(妊娠 20 週以降)
等の限られた品目だけである。
なお、本薬の妊婦などへの使用については、経口薬の 1975 年の製造販売承認時に、ラット、マ
ウス、ウサギを用いた生殖発生毒性試験において催奇形性ならびに胎児毒性が確認されたため、
添付文書において「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人」への投与は「禁忌」とされていた
が、平成 19 年 2 月に日本産科婦人科学会から「ニフェジピンの妊娠 20 週以降の妊産婦への投与
についての要望」が提出され、禁忌事項の見直しが検討された。平成 23 年度第 2 回医薬品等安全
対策部会安全対策調査会において審議がなされた結果、海外添付文書、公表論文、ガイドライン
等を踏まえ、妊娠 20 週以降の禁忌が解除された一方で、妊娠 20 週未満の妊婦に対する本薬の使
用については、ヒトへの疫学研究の報告が少ないこと、英国をはじめ欧州諸国においても妊娠 20
週未満が禁忌とされていること等から、本邦においても引き続き禁忌とすることが妥当と判断さ
れた。
高血圧合併妊娠は、正常血圧妊娠と比較して母体の加重型妊娠高血圧腎症や高血圧の重症化、
低出生体重児出産、早産、児の NICU 入室、新生児死亡の割合が高いハイリスク妊娠である。3)海
外の総説では全妊娠の 1-5%3) に合併すると報告されており、
本邦では 0.5-3.5%という報告がある。
肥満の増加や近年の出産年齢の上昇から増加していると予想されている。3),6),7)さらに本邦では、

4),5)

1980 年代後半より将来の高血圧発症のリスクである低出生体重児出産が増加 8)していること、20
歳代での高血圧有病率が増加していること等から、今後高血圧合併妊娠は増加していくことが予
想される。妊娠高血圧症候群女性(高血圧合併妊娠 75%、妊娠高血圧 25%)を対象とした、前向
き介入研究では、より低い血圧コントロールが母児予後を改善した。9),10)
先述のとおり、国内においては、高血圧合併妊娠には Ca 拮抗薬が使用できない状況が続いて
いるが、海外においては、2014 年に本薬の英国添付文書の 20 週未満の妊婦に対する禁忌が解除
されおり、また、国際妊娠高血圧学会のガイドライン(2018)11)や米国産科婦人科学会のガイドラ
イン(2019)12)などでは、妊娠初期を含めた妊娠時使用の降圧薬の第一選択薬又は第二選択薬として

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