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「令和5年度 地域枠入学制度と地域医療支援センターの実情に関する調査報告」報告書 (2 ページ)

公開元URL https://ajmc.jp/news/2024/06/17/5741/
出典情報 「令和5年度 地域枠入学制度と地域医療支援センターの実情に関する調査報告」報告書(6/17)《全国医学部長病院長会議》
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はじめに
令和6年4月から第8次医療計画が開始となりますが、医師の地域偏在や診療科偏在は、依然として
大きな社会問題です。さらに、同4月からは医師の働き方改革も本格的に新制度が施行されるため、医
師不足に起因する諸課題は、特に医師不足地域においてさらに顕在化する可能性が考えられます。
本調査は、平成27年度より始まった文部科学省委託事業「大学における医療人養成の在り方に関す
る調査研究事業」を全国医学部長病院長会議が受託し実施しているもので、地域枠制度の実質的な有効
性向上に資することを目的として、各種調査を行い報告して参りました。
厚生労働省では、医師需給分科会の議論を踏まえ、令和3年2月26日付けで、これまで統一されて
いなかった地域枠の定義が整理されました。簡単にまとめますと、地域枠は「別枠方式で選抜する」、
「地
域医療対策協議会との協議の上で設定する」、「従事要件は卒業直後より当該都道府県内で9年間以上従
事する」、「奨学金貸与は問わない」とされています。また、地元出身者枠の定義も示されており、「地
元出身者を選抜し、地域医療対策協議会の協議の上で設定する」、「選抜方法、従事要件、奨学金貸与は
問わない」とされています。地元出身者枠については、地元定着率が高いとされており、医師不足地域
からの期待があるもの事実です。しかし、これまでの地域枠は大学ごとに定義され、奨学金や履行義務
の有無などの制度内容や卒前・卒後の支援体制などにばらつきがあり、どのような制度設計が有効であ
るか定かではありませんでした。本調査では、奨学金非支給の地域枠や地元出身者枠なども調査対象に
含め、それらの比較検討を行い、制度設計上の違いとその効果(義務履行状況などと共に最終的な地域
定着率)の関係について報告して参りました。各都道府県および大学におかれましては、これらの調査
結果を踏まえさらなる検討を加えていただき、地域枠がさらに魅力のある制度になるよう改善がなされ、
地域定着への支援体制がより一層拡充し、優秀で熱心な学生からの多くの応募と、地域医療に貢献する
医師の養成に繋げられるよう望みます。
本年度は、これまで実施して来た①地域枠学生の卒前・卒後の状況を把握するための「地域枠入学者
転帰調査」および②設問形式のアンケート調査を継続して実施しました。また、平成29年度より実施
している地域枠に直接関与している方々を対象とした③「地域枠制度についての意見交換会」について
は、令和2年度からの3年間は新型コロナウイルス感染症拡大の影響でオンラインで実施しておりまし
たが、本年度は4年ぶりに対面で実施いたしました。この意見交換会は、上記①②の調査のみでは抽出
できないような具体的問題点や各大学、行政機関などの対応策について情報共有し、改善につなげるこ
とを目的としたものですが、今回は離脱対策、特に不同意離脱について非常に熱心な議論が行われ、課
題も整理されて来た印象でした。特に不同意離脱者に対する専門医機構の対応が変更されるのではない
かとの懸念がありましたが、我々委員会の中でも議論を行い、専門医機構としては今後も地域枠の制度
運営については変更がない意向であることを確認し、ともに協力していく方向性が示されました。また、
地域医療に貢献する医師をいかにして安定的に育成し、継続的に勤務してもらうかという前向きな議論
が増えて来ている印象を受けましたが、地域間における諸問題の差については、一足飛びには解決しな
いという現状も浮かび上がりました。
最後になりますが、アンケート調査ならびに意見交換会において多大なご協力をいただきました各大
学ならびに都道府県等の関係者の皆様に厚く御礼を申し上げますとともに、本調査の趣旨をご理解いた
だき、今後とも継続したご協力をお願い申し上げます。
本調査結果が今後の地域枠制度の改善の一助として活用されるよう願って止みません。なお、本報告
書に関するご意見等がございましたら、全国医学部長病院長会議事務局までお寄せいただければ幸いで
す。


令和6年3月31日
全国医学部長病院長会議
地域の医療及び医師養成の在り方に関する委員会
委員長
大屋 祐輔

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