よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


「令和5年度 地域枠入学制度と地域医療支援センターの実情に関する調査報告」報告書 (43 ページ)

公開元URL https://ajmc.jp/news/2024/06/17/5741/
出典情報 「令和5年度 地域枠入学制度と地域医療支援センターの実情に関する調査報告」報告書(6/17)《全国医学部長病院長会議》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

第4章

員と恒久定員にそれぞれどの配分で割り振るかは大学や都道府県によってかなりのばらつきがあ
る。
・今年行った令和3年度卒業生のデータでは地域枠等の卒業者のうち県内に就業している者が約95%
であった。3.2%の県外就業者のうち別枠入試で奨学金ありの地域枠の者は0名であった。別枠入
試で修学支援金の貸与がない地域枠だと県外就業が多くなる傾向がある。一方で地域枠ではない医
師で地元に残る率は約63%である。
・令和7年度の臨時定員地域枠については、令和元年度の医学部総定員数である9,420名を上限とし、
令和6年度の枠組みを暫定的に維持方針である。令和8年度以降については今後検討を行う。
・大学の研究力、教育力を高めることが地域医療の確保にもつながることであり、文部科学省、厚生
労働省としては重点的な施策を行っていく予定である。令和5年度補正予算にて大学病院の最先端
医療機器等整備に係る支援、令和6年度予算案にて大学院生の医師をTAやRAとする際の経費に係
る支援、大学から地域への医師派遣を守る取り組みへの補助、令和6年度診療報酬改定にて大学病
院等からの医師派遣、処遇改善の取組に対する支援が決まっている。
● 厚生労働省の講演
厚生労働省医政局医事課医師等医療従事者働き方改革推進室 佐々木康室長より、医師養成過程を通
じた医師偏在対策について次のような講演があった。
・平成20年以降、臨時定員を中心に医学部定員が増加している。
・医学部入学定員を増加させても医師偏在はなかなか改善しないため、偏在対策は別途行う必要があ
る。具体的には地域枠や臨床研修募集定員上限といった医師養成課程における取り組み、医師確保
計画を中心とした都道府県レベルでの取り組みがある。
・地域枠については「医師需給分科会」、「医療計画等に関する検討会」で議論が行われてきたが、今
後は「医師養成課程等を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」を設置し、医学部臨時定員の在
り方も含めた医師偏在対策等の検討を行っていく予定である。
・この検討会で議論されている内容としては、今後の人口減を見据えた適切な医学部定員の設定、医
師の地域偏在と診療科偏在への対応である。さしあたり令和8年度の医学部臨時定員をどうするか
が喫緊の検討課題であり、令和6年春には方針を打ち出す必要がある。
・地域枠からの離脱については、地域枠学生および医師の地域医療マインドの醸成、および義務とキャ
リアの両立を可能とするキャリア形成プログラムの充実が重要であると認識している。
・また離脱防止について、離脱をしにくい制度の構築も同様に重要と認識している。具体的には不同
意離脱者を採用した臨床研修病院に対して、ヒアリングを行ったうえで、研修費補助金の減額を行っ
ている。また日本専門医機構と共同し、地域枠医師が指定された都道府県内でシーリングに関わら
ず優先的に採用されるようにしている。加えて、令和2年に厚生労働大臣から日本専門医機構に対
して不同意離脱者は専門医の認定を行わないよう要請を行い、機構からの了承を得たが、令和5年
10月に機構が方針を一部修正したことをウェブサイト上で発表した。
● 質疑応答
本委員会の調査結果から医師不足地域での就業率が年々高まっていること、離脱者は近年減少傾向に
あることが追加報告された。

42