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別紙1○先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について (78 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205617_00069.html |
出典情報 | 先進医療会議(第131回 4/10)《厚生労働省》 |
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る。消化管狭窄は食事摂取時の痛み、不快感、通過障害などを引き起こし、QOL を大きく低下させ、
内視鏡的バルーン拡張術を必要とする。消化管穿孔は縦隔炎につながることもあり、保存的治療で病状
が改善しない場合には手術が必要となることがある。75 歳以上の食道 ESD に関する我が国の後方視
的検討では、侵襲的治療前の患者の併存疾患と死亡率について広く用いられる評価指標である CCI≧2
が 術 後 死 亡 に 関 連 す る リ ス ク 因 子 と し て 報 告 さ れ て い る (hazard ratio 7.92, 95%CI:3.42 – 18.3,
p<0.001)15)。
・内視鏡検査における深達度診断について 16)-19)
壁深達度 cT1a-EP/LPM の食道表在癌について、内視鏡観察による深達度診断正診率は、より深い壁深
達度を有する癌病変と比較し高いことが報告されている。通常内視鏡観察による深達度診断の正診率
は T1a-EP/LPM 94%,T1a-MM/SM1 66-74%,SM2/SM3 61-74%,食道表在癌全体で 85-89%程度と
報告されている。一般的に普及している特殊光併用拡大内視鏡観察による深達度診断の正診率は、T1aEP,LPM で 95.0%(AVA 出現率 は T1a-EP/LPM で 17.0%)
,T1a-MM,SM1 で 80.0%,SM2,SM3
で 100%,全体の正診率は 92.3%と報告されている。腫瘍径が大きくなることにより正診率が低下する
傾向が知られている。
・アルゴンプラズマ併用高周波凝固焼灼療法
アルゴンプラズマ併用高周波凝固焼灼療法(APC 療法)は、アルゴンガスを標的表層組織に噴霧し、電
気手術器により組織凝固を行うものであり、主に内視鏡的止血療法として日常診療で実施されている
2)。粘膜表層組織を凝固し、細胞死を引き起こすことから、EMR/ESD が困難な上部消化管粘膜内癌
に対する治療としても行われることがある 1)。
ESD は鎮静を要し、手技所要時間が 60~120 分(準備等を含めた治療時間 70−130 分)であるのに対し
て、APC 手技所要時間は 10~20 分(準備等を含めた治療時間 20−40 分)と比較的短時間で実施可能な
治療である。APC 療法は治療に要する時間が短いことから、鎮静時間および鎮静の程度も軽減でき、
鎮静が困難な場合には無鎮静での実施も可能である。また、ESD は入院治療を要するが、通常、APC
療法は外来で実施できる治療である(表 4)。治療後サーベイランスの実施時期については、診療として
医師の裁量により必要な時期に実施され、明確な基準がないのが現状である。既報の後方視的検討に
おいては、ESD の局所再発率は 1%以下であるのに対し、APC 療法では食道表在癌の局所再発は
10%程度と報告されている。局所再発を低減するためには、病変径は 2cm 以下、粘膜下層浸潤が強く
疑われる病変は除外することが必要と考える。一方で局所再発に対しては、再度 APC 療法を実施す
ることで局所制御が可能となるため、慎重に経過観察を行い、局所再発が疑われる場合には、適宜追
加の APC 療法を行うことが重要である。Lee の報告では 3)、APC 療法の半数程度は外来で実施、
ESD より入院期間が短く、医療費も ESD に比べ安価となる。これまでの国内 APC 療法は外来でも
実施されてきており、内視鏡治療や手術治療に比べ、治療成績の課題は残るが一定の費用対効果が期
待できる治療である。
表 4 ESD と APC 療法の特徴
APC 療法
ESD
治療時間
70-130 分
20-40 分
難易度
難
易
局所再発
1%以下
約 10%
78
内視鏡的バルーン拡張術を必要とする。消化管穿孔は縦隔炎につながることもあり、保存的治療で病状
が改善しない場合には手術が必要となることがある。75 歳以上の食道 ESD に関する我が国の後方視
的検討では、侵襲的治療前の患者の併存疾患と死亡率について広く用いられる評価指標である CCI≧2
が 術 後 死 亡 に 関 連 す る リ ス ク 因 子 と し て 報 告 さ れ て い る (hazard ratio 7.92, 95%CI:3.42 – 18.3,
p<0.001)15)。
・内視鏡検査における深達度診断について 16)-19)
壁深達度 cT1a-EP/LPM の食道表在癌について、内視鏡観察による深達度診断正診率は、より深い壁深
達度を有する癌病変と比較し高いことが報告されている。通常内視鏡観察による深達度診断の正診率
は T1a-EP/LPM 94%,T1a-MM/SM1 66-74%,SM2/SM3 61-74%,食道表在癌全体で 85-89%程度と
報告されている。一般的に普及している特殊光併用拡大内視鏡観察による深達度診断の正診率は、T1aEP,LPM で 95.0%(AVA 出現率 は T1a-EP/LPM で 17.0%)
,T1a-MM,SM1 で 80.0%,SM2,SM3
で 100%,全体の正診率は 92.3%と報告されている。腫瘍径が大きくなることにより正診率が低下する
傾向が知られている。
・アルゴンプラズマ併用高周波凝固焼灼療法
アルゴンプラズマ併用高周波凝固焼灼療法(APC 療法)は、アルゴンガスを標的表層組織に噴霧し、電
気手術器により組織凝固を行うものであり、主に内視鏡的止血療法として日常診療で実施されている
2)。粘膜表層組織を凝固し、細胞死を引き起こすことから、EMR/ESD が困難な上部消化管粘膜内癌
に対する治療としても行われることがある 1)。
ESD は鎮静を要し、手技所要時間が 60~120 分(準備等を含めた治療時間 70−130 分)であるのに対し
て、APC 手技所要時間は 10~20 分(準備等を含めた治療時間 20−40 分)と比較的短時間で実施可能な
治療である。APC 療法は治療に要する時間が短いことから、鎮静時間および鎮静の程度も軽減でき、
鎮静が困難な場合には無鎮静での実施も可能である。また、ESD は入院治療を要するが、通常、APC
療法は外来で実施できる治療である(表 4)。治療後サーベイランスの実施時期については、診療として
医師の裁量により必要な時期に実施され、明確な基準がないのが現状である。既報の後方視的検討に
おいては、ESD の局所再発率は 1%以下であるのに対し、APC 療法では食道表在癌の局所再発は
10%程度と報告されている。局所再発を低減するためには、病変径は 2cm 以下、粘膜下層浸潤が強く
疑われる病変は除外することが必要と考える。一方で局所再発に対しては、再度 APC 療法を実施す
ることで局所制御が可能となるため、慎重に経過観察を行い、局所再発が疑われる場合には、適宜追
加の APC 療法を行うことが重要である。Lee の報告では 3)、APC 療法の半数程度は外来で実施、
ESD より入院期間が短く、医療費も ESD に比べ安価となる。これまでの国内 APC 療法は外来でも
実施されてきており、内視鏡治療や手術治療に比べ、治療成績の課題は残るが一定の費用対効果が期
待できる治療である。
表 4 ESD と APC 療法の特徴
APC 療法
ESD
治療時間
70-130 分
20-40 分
難易度
難
易
局所再発
1%以下
約 10%
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