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資料1-2-5診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (19 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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61 自己免疫性溶血性貧血
○ 概要
1.概要
自己免疫性溶血性貧血(AIHA)は、赤血球膜上の抗原と反応する自己抗体が産生され、抗原抗体反応
の結果、赤血球が傷害を受け、赤血球の寿命が著しく短縮(溶血) し、貧血を来す病態である。自己抗体
の出現につながる病因の詳細はいまだ不明の部分が多く、臨床経過・予後の面でも多様性に富む不均質
な病態群と理解される。自己抗体の出現を共通点とするが、抗体の性状、臨床的表現型、好発年齢など
様々な観点からみて異なる特徴をもつ病態を包含する。自己抗体の赤血球結合の最適温度により温式と
冷式の AIHA に分類される。
2.原因
自己免疫現象の成立には、個体の免疫応答系の失調と抗原刺激側の要因が考えられるが、それぞれの
詳細はなお不明である。現状では、AIHA における自己免疫現象の成立は免疫応答系と遺伝的素因、環境
要因が複雑に絡み合って生じる多因子性の過程であると理解しておくのが妥当と考えられる。その中で、
感染、免疫不全、免疫系の失調、ホルモン環境、薬剤、腫瘍などが病態の成立と持続に関与すると考えら
れる。
3.症状
(1)温式 AIHA…臨床像は多様性に富む。特に急激発症では発熱、全身衰弱、心不全、呼吸困難、意識障
害を伴うことがあり、ヘモグロビン尿や乏尿も受診理由となる。症状の強さには貧血の進行速度、心肺機
能、基礎疾患などが関連する。代償されて貧血が目立たないこともある。黄疸もほぼ必発だが、肉眼的
には比較的目立たない。特発性でのリンパ節腫大はまれである。脾腫の触知率は 32~48%。特発性血
小板減少性紫斑病(ITP)を合併する場合をエヴァンズエヴァンス(Evans)症候群と呼ぶ。
温式 AIHA では、常用法による直接クームス試験が陰性のことがある(クームス陰性 AIHA)。この場合、
試験管法クームス試験陰性であれば、ゲルカラム法クームス試験を行うと検出感度が上がる。また、患
者赤血球解離液中の自己抗体を間接クームス試験で証明することもできる。患者赤血球結合 IgG の定
量(フローサイトメトリー法や RIA 法)や IgA/IgM に対するクームス試験も診断に有用である。
(2)寒冷凝集素症(CAD)…臨床症状は溶血と末梢循環障害によるものからなる。特発性慢性 CAD の発症
は潜行性が多く慢性溶血が持続するが、寒冷暴露による溶血発作を認めることもある。循環障害の症状
として、四肢末端・鼻尖・耳介のチアノーゼ、感覚異常、レイノー現象などがみられる。皮膚の網状皮斑を
認めるが、下腿潰瘍はまれである。
(3)発作性寒冷ヘモグロビン尿症(PCH)…現在ではわずかに小児の感染後性と成人の特発性病型が残っ
ている。以前よく見られた梅毒性の定型例では、寒冷暴露が溶血発作の誘因となり、発作性反復性の血
管内溶血とヘモグロビン尿を来す。気温の低下、冷水の飲用や洗顔・手洗いなどによっても誘発される。
寒冷曝露から数分~数時間後に、背部痛、四肢痛、腹痛、頭痛、嘔吐、下痢、倦怠感についで、悪寒と
発熱をみる。

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