資料1-2-5診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (33 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》 |
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○ 概要
1.概要
慢性糸球体腎炎のうち、糸球体メサンギウム細胞と基質の増殖性変化とメサンギウム領域への IgA を主
体とする沈着物とを認めるものをいう。同義語として IgA 腎炎、バージャー(Buerger ベルジェ(Berger)病な
どがある。慢性糸球体腎炎の一病型として確立しているが、日本においては 1970 年代初期から活発な研
究が行われ、慢性糸球体腎炎のうち成人では 30%以上、小児でも 20%以上を占めていることが明らかに
なった。日本と同じように本症が多発する国としては、アジア太平洋地域の諸国が知られており、北欧や北
米では比較的少ない。このような地域差の原因は不明であり、一部では腎生検施行の頻度と比例するとも
いわれ、北米においては白人には多いが、黒人ではまれであることも知られているため、何らかの人種的・
遺伝的背景も想定されている。成人・小児共に男性にやや多く、発見時の年齢は成人では 20 歳代、小児で
は 10 歳代が多いが、患者層は全ての年齢にわたっている。
2.原因
本症は、流血中の糖鎖修飾異常 IgA ならびにそれに関連した免疫複合体の糸球体内沈着によって引き
起こされるとする説が最も有カである。その根拠は、糸球体内に糖鎖修飾異常 IgA が沈着していることや、
そこに IgG が共沈着し、C3 などの補体成分沈着も認めること、移植時に IgA 腎症が再発する場合、糸球体
に短期間のうちに高率に IgA の沈着を認めること、逆に少数報告ではあるが本症に罹患した腎臓を他の疾
患患者に移植すると糸球体内 IgA 沈着が消失することなどである。最近では、遺伝的素因粘膜免疫の異常
等が本症の病態との関係で研究が進展しつつある。しかし、免疫複合体を形成している抗原の同定は未だ
十分には成功していないが、糖鎖異常 IgA 自体が免疫複合体形成の原因となっている可能性がある。その
他、糸球体硬化に至る本症の進展については本症以外の多くの糸球体疾患と共通した機序が存在するこ
とが明らかになりつつある。
3.症状
本症発見時の症状は、日本では偶然の機会に蛋白尿・血尿が発見されるものが大多数を占めるが、諸
外国ではこの比率が低く、肉眼的血尿や浮腫などの症候性所見の比率が本邦よりも高い。この差異は、日
本では検尿が発達していることや、腎生検施行対象症例の選択方針が内外で異なるためと考えられており、
ヨーロッパ諸国の中でも腎生検を比較的活発に行っている地域では本症の発現頻度が高いこととともに、
無症候性蛋白尿・血尿の比率が高くなっている。
4.治療法
本症の治療については根本的な治療法が得られていないために、対症療法が行われている。レニンアン
ギオテンシン系阻害薬、副腎皮質ステロイド薬(パルス療法を含む。)、免疫抑制薬、口蓋扁桃摘出術(+ス
テロイドパルス併用療法)などで治療を行う。進行抑制を目的とした成人 IgA 腎症の治療の適応は、腎機能
と尿蛋白に加えて、年齢や腎病理組織像も含めて総合的に判断される。また、症例に即して血圧管理、減
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