資料1-2-5診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (99 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》 |
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○ 概要
1.概要
副腎皮質では、ミネラルコルチコイド、グルココルチコイド、副腎性アンドロゲンが産生されている。副腎皮
質酵素欠損症は、このステロイドホルモンを作る過程に関与する酵素が先天的に欠損することで起こる病
気である。ステロイドホルモンが作られる過程には五つのチトクローム酵素(P450)と 3β -ヒドロキシステロ
イドデヒドロゲナーゼの六つの酵素が関与している。したがって、副腎皮質酵素欠損症として六つの病気が
あることになる。このうち、特にコルチゾールができないことにより、下垂体から ACTH(副腎皮質刺激ホル
モン)が過剰に分泌される結果副腎が過形成を来すものを先天性副腎過形成症と呼ぶ。これには、リポイド
過形成症、21 水酸化酵素欠損症、11β -水酸化酵素欠損症、17α -水酸化酵素欠損症、3β3 β-ヒドロキシ
ステロイドデヒドロゲナーゼ(3β -HSD)欠損症の五つの病気がある。その他、鉱質コルチコイドができない
もので、過剰な ACTH 分泌過剰を来さないものとして 18-ヒドロキシラーゼ欠損症がある。遅発型を示すも
のは 21 水酸化酵素欠損症、11β -水酸化酵素欠損症でみられている。更に最近では、21 水酸化酵素、17
α 水酸化酵素活性がともに低下し、骨奇形を伴う酵素欠損症が報告された(P450 オキシドレダクターゼ欠
損症)。
2.原因
副腎皮質酵素欠損症は、責任酵素の異常によるとされている。ただし、リポイド副腎過形成は、ミトコンド
リアのコレステロール輸送蛋白の StAR の異常又はステロイド合成酵素のコレステロール側鎖切断酵素の
異常によって起こる。
3.症状
先天性副腎過形成症では、病型を問わずコルチゾールの低下を来すことから、未治療例では、易疲労感
等の副腎不全症状を呈する場合もあるが、無症状例も存在する。21 水酸化酵素欠損症、リポイド副腎過形
成などの鉱質コルチコイドが不足する疾患では、塩喪失に伴う低血圧、ショックなどの症状がみられる。ま
た ACTH 過剰による症状として皮膚に色素沈着もみられる。また、リポイド副腎過形成、17α -水酸化酵素
活性低下症では、性ホルモンが不足することから、男女とも性腺機能不全症を認める。すなわち、男子では
外陰部の女性化等の男性仮性半陰陽が、女子では無月経、乳房発育不良等の二次性徴の欠落症状を認
める。一方、21-水酸化酵素欠損症、11β -水酸化酵素欠損症、3b-3β HSD 欠損症の女児では、アンドロ
ゲン過剰のために男性化兆候徴候を認める。その他、11β -水酸化酵素欠損症、17α -水酸化酵素欠損症
では高血圧を呈する。P450 オキシドレダクターゼ欠損症では女児では出生時、外性器の異常が認められ
る。またこの病気では、頭蓋骨癒合症、橈骨上腕骨癒合症、大腿骨の彎曲、関節拘縮を伴うことがある。
4.治療法
副腎皮質ステロイドの補充を行う。急性副腎不全の症状がある場合には、副腎皮質ステロイドの静脈内
投与や電解質異常の正常化を図る。
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