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資料1-2-5診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (38 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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71 特発性大腿骨頭壊死症
○ 概要
1.概要
大腿骨頭壊死症は、大腿骨頭が阻血性壊死に陥って圧潰し、股関節機能が失われる難治性疾患である。
大腿骨頭壊死症のうち、 脱臼や骨折などの阻血原因が明らかである場合以外が特発性大腿骨頭壊死症
とされている。特発性大腿骨頭壊死症の治療は長期間に及ぶこともあり、医療経済学的に問題が大きい。
また、青・壮年期に好発して労働能力を著しく低下させることから、労働経済学的にも大きな損失を生じる。
患者の QOL に大きな影響を与えるため、早期に適切な診断を行い、適切な治療へと結びつけていく必要
がある。
2.原因
病因として、酸化ストレスや血管内皮機能障害、血液凝固能亢進、脂質代謝異常、脂肪塞栓、骨細胞の
アポトーシスなどの関与が指摘されている。これらのなかで、最新の研究成果として血管内皮細胞の機能
障害が注目されている。しかし、本疾患発生に至る一義的原因としての十分な科学的根拠までは得られて
いないのが現状であり、動物モデルを用いた基礎的研究や臓器移植症例を対象とした臨床的病態解析が
続けられている。
3.症状
骨壊死が発生しただけの時点では自覚症状はない。自覚症状は大腿骨頭に圧潰が生じたときに出現し、
この時点が大腿骨頭壊死症の発症である。大腿骨頭壊死症の発生と発症の間には数か月から数年の時
間差があることを十分に認識すべきである。
自覚症状としては、急に生じる股関節部痛が特徴的であるが、股関節周辺には自覚症状がなく、腰痛、
膝部痛、殿部痛などで初発する場合もあるので注意が必要である。また、初期の疼痛は安静により2~3
週で消退することが多いことや、再び増強したときには既に大腿骨頭の圧潰が進行していることも知ってお
くべきである。アルコール愛飲歴やステロイド大量投与歴のある患者がこれらの症状を訴えた場合は、まず
本症を念頭に置いて、X 線で骨壊死所見が明らかでなくても MRI を撮像することが望ましい。
4.治療法
治療法の選択には、患者背景(年齢、内科的合併症、職業、活動性、片側性か両側性か)、病型分類や
病期分類を考慮する。
(1)保存療法
病型分類で予後が良いと判断できる症例や症状が発症していない症例は保存療法の適応である。杖
などによる免荷が基本となり、生活指導を行う。疼痛に対しては 鎮痛消炎剤の投与で対処する。しかし、
これらの方法では進行防止は大きく期待できないため、圧潰進行が危惧される病型では骨頭温存のた
めの手術療法の時機を逸しないことが重要である。

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