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参考資料3-2 令和3年度終了研究課題の成果の一覧 (27 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26761.html
出典情報 厚生科学審議会科学技術部会(第130回 7/14)《厚生労働省》
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No.

年度

研究課題名

研究事業名 研究代表者

多系統蛋白質症
(MSP)患者の全
94 国実態調査と診
療体制構築に関
する研究

消化管過誤腫性
腫瘍好発疾患群
の小児から成人
95
へのシームレス
な診療体制構築
のための研究

中性脂肪蓄積心
96 筋血管症の診療
体制の構築

3

3

3

3

3

3

原著論文 その他の論 学会発表 特許(件 その他
(件数) 文等(件数) (件数)
数)
(件数)
和文 英文等
和文 英文等
国内 国際 出願 取得 施策への反映
普及・啓発活動

専門的・学術的観点からの成果

臨床的観点からの成果

ガイドライン等の開発

その他行政的観点からの成果

その他のインパクト

難治性疾
患政策研


山下 賢

平成29〜30年度厚労省研究班に
おいて確立した診断基準に基づ
いて全国疫学調査を行い、本邦
MSP症例の実態を解明した。一次
調査において、47名のMSP患者を
見出した。この内の19名の二次調
査により、欧米と同様にミオパ
チー症状を呈する頻度が多いこと
が明らかとなった一方、前頭側頭
型認知症や骨パジェット病の頻度
は低く、表現型に人種差が影響す
る可能性や適切に診断されてい
ない可能性が推測された。本疾患
概念の更なる周知を目指し、適切
な診断と治療を目的とする「MSP
診療の手引き」を作成した。

全国調査の結果より、本邦症例
はミオパチー81%、ALS27%、
FTD19%、PDB15%であり、パー
キンソン病は4%であることが判
明した。諸外国の既報告と比較し
て、封入体ミオパチーを発症する
頻度は同様に高い一方、FTDや
PDBの発症頻度は低いという結
果が示された。表現型に人種差
が影響する可能性に加えて、症候
が見落とされ適切に評価されてい
ない可能性が推測された。さらに
各班員の功績により、遺伝子検査
や筋・骨病理、電気生理、画像診
断に基づいた専門的診断体制の
整備が進んだ。

研究分担者ごとにMSP診療の手
引き草案を作成し、青木はMSPに
おけるミオパチーの症状と診断、
勝野はMSPにおける運動ニューロ
ン疾患・パーキンソニズムの症状
と診断、高橋はMSPにおける前頭
側頭型認知症の症状と診断、橋
本はMSPにおける骨パジェット病
の症状と診断、山下はMSPの概
念・疫学・病態と診断基準の草案
を作成した。今後、日本神経学会
での承認を得る予定である。

診断基準に基づいて全国疫学調
査を実施し、患者数、発症年齢、
初発症状、全経過において出現
する症状、検査所見、治療内容、
重症度に関する予後など本邦
MSP症例の実態を明らかにした。
MSPに対する行政政策に寄与しう
るデータが収集された。

本疾患概念の周知を目指して、脳
神経内科医を対象とする商業誌
や日本認知症学会誌において総
説を執筆した(山下賢. 遺伝子変
異から見た多系統蛋白質症.脳
神経内科 95:104-111,2021;山下
賢. 多系統蛋白質症における前頭
側頭型認知症.Dementia Japan
35: 295-303, 2021など)

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難治性疾
患政策研


希少疾患であるPeutz-Jeghers症
候群と若年性ポリポーシス症候群
の全国疫学調査を行い、国内で
の患者数、重症例等の患者実態
把握を進めている。また、
「Cowden 症候群/PTEN
杉山 佳子
Hamartoma Tumor Syndrome
(中山 佳
(PHTS) 前向き登録コホート研究」
子)
のシステムを構築し、国内の患者
数、臨床病理学的特徴、臓器別
発癌リスクなど合併症の把握に向
け準備を整えた。これらの研究で
は、遺伝学的検査の有用性につ
いても検討の予定である。

診療ガイドラインに基づく標準的
治療を普及させるため、医療機関
へのパンフレット送付、研究班
ホームページ
(https://polyposis.jp/)とMinds等
での全文公開、医療従事者に向
けた教育講演等を行なった。研究
班ホームページでは拠点病院の
整備として全国の22施設の対応
可能な診療内容と担当者の公
開、研究班宛の問い合わせを随
時受付、移行医療支援のための
ツールを公開した。内視鏡治療が
世界のトップレベルにある専門医
療施設の診療を、国内の標準的
治療とするための継続的な取り組
みが必要である。

「小児・成人のためのPeutzJeghers症候群診療ガイドライン
(2020年版)」、「小児・成人のため
の若年性ポリポーシス症候群診
療ガイドライン(2020年版)」、「小
児・成人のためのCowden症候群
/PTEN過誤腫症候群診療ガイドラ
イン(2020年版)」の作成を前研究
班から引き続き、本研究班がパブ
リックコメント等を募集し公開し
た。3疾患はいずれも小児慢性特
定疾病に指定されており、小児か
ら成人へのシームレスなEBPに基
づく国内初の診療ガイドラインとな
る。英語版の公開も進めている。

診療ガイドラインを一般市民に向
けてわかりやすく解説し、研究班
ホームページに掲載した。研究班
ホームページでは、全国の拠点医
療施設22施設の対応可能な診療
内容(小児、成人、遺伝カウンセリ
ング)と担当者の情報を公開し
た。第102回日本消化器内視鏡学
会総会市民公開講座において、
「Peutz-Jeghers症候群-診療ガイ
ドラインと内視鏡によるポリープ治
療の紹介」を令和4年4月14日から
6月30日までオンラインで公開中
である。

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8

難治性疾
患政策研


中性脂肪蓄積心筋血管症
(TGCV)は、2008年、我が国に心
臓移植待機症例から見いだされ
た新規疾患概念である (N Engl J
Med. 2008)(Orphanet ORPHA
code: 565612)。細胞内TG分解障
害に起因して細胞内TG蓄積によ
平野 賢一 る細胞毒性と長鎖脂肪酸が供給
されないためのエネルギー不全を
来す。患者は、既存の治療に抵抗
性の心不全、冠動脈疾患、不整
脈等を呈する。異所的にTGが心
筋細胞内や血管平滑筋細胞内に
蓄積することが特徴で、肥満度や
血清TG値は診断的価値がない。

0

7

8

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32

7

0

0

0

3

開始 修了

オールジャパンの研究組織を構
築してTGCV診断基準2020、同重
症度分類を策定、公開した。成果
報告冊子2020年度版を作成して、
全国1000施設以上に配布した。
本診断基準を臨床現場で使用す
ることにより、2020年4月時点の全
国 17施設から50施設で診断が可
能となった。2021年12月現在、累
積診断数は、491例、内、70例が
既に死亡しており生命予後に直
結する心臓難病であることが明ら
かとなった。

長鎖脂肪酸の放射性アナログで
あるBMIPPを用いた心筋シンチグ
ラム 洗い出し率10%未満、心筋
生検における心筋細胞内脂肪蓄
積、心臓CT/MRSによる心筋脂肪
蓄積を必須項目、左室収縮率
10%未満、びまん性冠動脈硬化、
典型的Jordans異常を大項目とす
る診断基準2020を策定した。軽
症・中等症・重症からなる重症度
分類を策定した。両者は、一般社
団法人 中性脂肪学会、日本核
医学会において学会承認された。

27

移行医療で必要な行政支援を明
らかにするため、AYA世代の患者
を診る医療者にアンケートを行な
い、多職種連携、情報提供やカウ
ンセリングが担保される方策を示
した。
小児慢性特定疾病の概要と診断
の手引きについて、診療ガイドラ
インと齟齬のないよう改版を提案
した。しかし、小児慢性特定疾病
情報センターの内容が最新版に
更新されていない。また令和4年
度継続申請が認められず、小児
慢性特定疾病であるポイツ・ジェ
ガース症候群、若年性ポリポーシ
ス、カウデン症候群、家族性腺腫
性ポリポーシスの継続的研究が
わが国の指定難病要件について
研究班にて調査、本疾患の患者
会と連携して以下の結果を得た。
本資料は、2021年 指定難病検
討委員会において資料として活用
された。1.2020年12月24日、現
在の累積診断数は336例。2.発
病の機構 不明。3.効果的な治
療方法 未確立。4.長期の療養
必要。5.診断基準 あり。6.重
症度分類 あり。中等症以上を対
象とする。厚生労働省、日本医療
研究開発機構の難治性疾患実用
化研究事業として開発された
TGCV治療薬CNT-01が厚生労働
省より希少疾病用医薬品に指定
された。

2021年12月、第4回中性脂肪学会
学術集会において、TGCV患者会
と連携してTGCV克服シンポジウ
ムを開催した。TGCV啓発ホーム
ページを公開した
(https://tgcv.org/)。TGCVの症
状、診断について読売新聞 医な
び、yomiDrとして掲載された
(2021年12月21日 関西版 夕
刊。2022年5月7日 関東版。2022
年5月21日
https://yomidr.yomiuri.co.jp/articl
e/20220509-OYTET50035/)