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参考資料5 がん検診事業のあり方について(案)(高橋参考人提出資料) (5 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23760.html
出典情報 がん検診のあり方に関する検討会(第34回 2/4)《厚生労働省》
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第1章. がん検診に関する基本的事項
1.1. がん検診の目的、健診・検診・診療の違い
がん検診は当該がんの死亡率減少を目的として(※1)、無症状の健康な集団から当該がんの疑い
のある者とない者を選別し、前者を適切な治療に、後者を次回の検診に導く一連のプログラムである
(※2、3)。
一般的に健康診査には「健診」と「検診」があるが、「健診」は「健康づくりの観点から経時的に状態
を把握することが望ましい検査群」であり、「検診」は「特定の疾患自体を確認するための検査群」であ
る(※4)。「健診」では疾患のリスク因子を発見して生活習慣の改善に導くことが重要であり、「検診」で
は疾患を発見して適切な治療に導くことが重要である。
「健診」・「検診」の対象は無症状の健康な者であり、対象疾患である者の割合(有病率)が低いため、
検査の緊急性は低い。そのため、元々健康な者に対し、検査による不利益を与えないことが最優先さ
れる。一方「診療」は、有症状者が対象であり有病率や緊急性が高いため、正確に診断することが最
優先され、不利益はある程度許容される(表1)。
以上のように「健診」、「検診」、「診療」は対象や目的が異なり、それによって重視すべきポイントも
大きく異なる。そのため、それらの原則や効果を得るための要件が異なり、注意が必要である。これら
を混同したままに検診を行うことは、検診の死亡率減少効果(利益)を妨げ、健常者の不利益を増加す
ることにつながる(1.2参照)。以上の背景をふまえ、本報告書では、がん死亡率減少を目的とした、
がん対策としての「がん検診」について記述する。
※1 大腸がん検診、子宮頸がん検診では、前がん病変の発見による当該がんの罹患率減少も目
的とする。
※2 がん検診の対象は当該臓器のがんであり、がん以外の疾患や当該臓器以外のがんは対象に
ならない。
※3 がん検診は「検査」以外にも複数の工程を含むプログラムであり、「対象者の設定」、「受診勧
奨」、「要精検者(当該がんの疑いのある者)の特定」、「検診結果の通知」、「精密検査への誘
導」、「精密検査結果の把握」、「検診結果の分析・評価」などにより構成される。
※4 厚生労働省「健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針(令和 2 年 2 月
一部改正)より引用・改変。

1.2. がん検診の利益と不利益(表2)
がん検診には利益と不利益がある。一般的に最大の利益は当該がんの死亡率減少である。しばし
ば発見率(受診者に対して発見されたがんの割合)が高いことが、がん検診の有効性の指標と誤解さ
れるが、がん発見率が高い検査を実施しても死亡率が減少するとは限らない。つまり死亡率減少効果
が確認されない限り、有効ながん検診とは評価できない。その他の利益として、がん検診でがんの疑
いがないと判定された者が得られる安心が挙げられる。一方不利益としては、検診や精密検査によっ

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