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産業保健委員会答申について (32 ページ)
出典
公開元URL | https://www.med.or.jp/nichiionline/article/011723.html |
出典情報 | 産業保健委員会答申について(5/15)《日本医師会》 |
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2.7. 健康障害を防止するための措置
(1)急性毒性ならびに特定標的臓器毒性(単回ばく露)
急性毒性は「化学品の経口もしくは経皮からの単回ばく露、24 時間以内の
複数回ばく露、又は 4 時間の吸入ばく露によって動物を死に至らしめる等に
よってヒトに対しても致死性の影響があると考えられる又は知られている性
質」と定義されている 1)。一方、特定標的臓器毒性(単回ばく露)(specific
target organ toxicity, single exposure)は「単回ばく露によって起こる特定臓
器に対する特異的な非致死性の毒性。可逆的若しくは不可逆的、又は急性若
しくは遅発性の機能を損なう可能性がある全ての重大な健康への影響を含
む。
」と定義され、急性毒性は致死性、特定標的臓器毒性(単回ばく露)は
非致死性と区別しているものの、
「神経毒性や麻酔作用を示す物質でも大量
投与すれば致死的となり、これらは特定標的臓器毒性として分類すべきであ
る。
」としている 1)。このことは化学物質の量と影響との関係(量―影響関
係)を述べているに過ぎないので、産業保健においては両者を区別すること
なく、急性中毒(災害性の化学物質による職業性疾病)のリスクとして対策
を講じることが適切である。
職場のあんぜんサイトの「アセトニトリルを用いた遠心分離機内の結晶を
洗浄する作業中、中毒に罹る」3)を例とすると、原因として次のことが考え
られている。
① かけ洗いによる洗浄方法が、当初予定していた洗浄効果を得ることが
できなかったため、練り洗いによる洗浄方法に変更したことに伴い、
洗浄に使用したアセトニトリルの蒸気にさらされ、吸入したこと。
② 人体に有害性のあるアセトニトリルを取り扱う作業を行うに際して、
遠心分離器に取り付けてあった局所排気装置のダクトを取り外して、
局所排気装置を稼働させなかったこと。
③ 有害物を取り扱う作業を行うに際して、作業員が有機ガス用防毒マス
クなどの保護具を着用しなかったこと。
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(1)急性毒性ならびに特定標的臓器毒性(単回ばく露)
急性毒性は「化学品の経口もしくは経皮からの単回ばく露、24 時間以内の
複数回ばく露、又は 4 時間の吸入ばく露によって動物を死に至らしめる等に
よってヒトに対しても致死性の影響があると考えられる又は知られている性
質」と定義されている 1)。一方、特定標的臓器毒性(単回ばく露)(specific
target organ toxicity, single exposure)は「単回ばく露によって起こる特定臓
器に対する特異的な非致死性の毒性。可逆的若しくは不可逆的、又は急性若
しくは遅発性の機能を損なう可能性がある全ての重大な健康への影響を含
む。
」と定義され、急性毒性は致死性、特定標的臓器毒性(単回ばく露)は
非致死性と区別しているものの、
「神経毒性や麻酔作用を示す物質でも大量
投与すれば致死的となり、これらは特定標的臓器毒性として分類すべきであ
る。
」としている 1)。このことは化学物質の量と影響との関係(量―影響関
係)を述べているに過ぎないので、産業保健においては両者を区別すること
なく、急性中毒(災害性の化学物質による職業性疾病)のリスクとして対策
を講じることが適切である。
職場のあんぜんサイトの「アセトニトリルを用いた遠心分離機内の結晶を
洗浄する作業中、中毒に罹る」3)を例とすると、原因として次のことが考え
られている。
① かけ洗いによる洗浄方法が、当初予定していた洗浄効果を得ることが
できなかったため、練り洗いによる洗浄方法に変更したことに伴い、
洗浄に使用したアセトニトリルの蒸気にさらされ、吸入したこと。
② 人体に有害性のあるアセトニトリルを取り扱う作業を行うに際して、
遠心分離器に取り付けてあった局所排気装置のダクトを取り外して、
局所排気装置を稼働させなかったこと。
③ 有害物を取り扱う作業を行うに際して、作業員が有機ガス用防毒マス
クなどの保護具を着用しなかったこと。
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