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産業保健委員会答申について (57 ページ)

公開元URL https://www.med.or.jp/nichiionline/article/011723.html
出典情報 産業保健委員会答申について(5/15)《日本医師会》
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おいても情報通信機器を補助的に活用する試みもなされている。今後、産業
保健活動についてはメタバース等の活用も増えてくる可能性もある。このよ
うな在宅勤務や遠隔会議等の急速な一般化に伴って、厚生労働省は通達を改
正してきた(
「情報通信機器を用いた産業医の職務の一部実施に関する留意事
項等について」令和 3 年 3 月 31 日付け基発 0331 第 4 号)。ただし、職場
巡視に関しては、産業医が自らの判断に基づいて実際に現場で行動し、直接、
五感で確認すること、作業環境管理や作業管理に関する事項については、産
業医が自ら職場や関係文書等を確認して、適切な判断を行う必要があること
から、安易な情報通信機器の活用は産業医活動の形骸化をもたらす可能性が
ある。産業医が自ら職場を訪問して経営者や従業員と気軽に話せる人間関係
を構築することが現場の実態をより良く理解するうえでの近道であることは
論を俟たない。産業医活動の形骸化は労働者保護の観点から避けなければな
らず、情報通信機器の活用については、メリットだけではなくデメリットに
も十分に留意すべきである。
二つ目は産業保健業務のデジタル化である。職場等における心の健康保持・
増進を目的とするデジタル技術を用いた介入手法に関するエビデンス構築支
援を行うとともに、エビデンスに基づいたサービスの社会実装促進を図るこ
とについての議論も始まっている。例えば、2023 年5月に日本経済団体連合
会(経団連)が、
「DX 時代の労働衛生のあり方に関する提言」を出している。
また、いわゆるデジタルヘルステクノロジーを用いた労働者の健康増進のた
めのサービスも数多く出されており、産業保健の現場での活用が少しずつ進
みつつある。ただし、そのサービスの内容についてはばらつきが大きいこと
から、職場への導入の際には、慎重に行う必要があり、産業医としては、医学
的な視点からの職場への助言が期待される。その際、当該サービスの効果の
根拠となるエビデンスや、職場のメンタルヘルスに関する専門家の監修の有
無などに留意する必要がある。
三つ目は認定産業医研修への応用である。コロナ禍以前からサテライト会
場等において受講が確認できて双方向性が確保される方式であれば通信手段
による研修が実施されてきたが、コロナ禍によって通信環境が飛躍的に向上
したことから、今後は、会場への移動の負荷が大きな地域においてサテライ
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