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産業保健委員会答申について (64 ページ)

公開元URL https://www.med.or.jp/nichiionline/article/011723.html
出典情報 産業保健委員会答申について(5/15)《日本医師会》
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おわりに
近年、労働人口の高齢化に伴い、認定産業医は労働者と事業者の間に立って、
労働者に就業による有害な健康影響が生じないように適切な勧告・指導・助言を
行っていくことが特に求められている。そのためには産業医が健康管理だけで
なく作業管理、作業環境管理など広範囲の産業保健活動に資する能力を持つ必
要がある。また産業医の選任されていない小規模事業場に対する産業保健サー
ビスの提供も重要な課題であり、認定産業医制度の量と質の両面での向上が社
会から期待されている。
会長からの諮問事項は「認定産業医制度のあり方と新しい化学物質管理にお
ける産業医の役割」である。
「認定産業医制度のあり方」については過去3年間
にわたる新型コロナ感染症の流行により認定産業医研修受講機会の減少が見ら
れる中で、改めて当該研修のあり方について検討し、以下の項目について提言し
た。①生涯研修会受講機会の確保と拡大のための方策、②生涯研修実施主催者の
要件・資質について、③講師の適性・要件及び自身の単位取得について、④産業
医研修の内容(作業環境管理及び有害業務管理に関する講習の必要性)
、⑤労働
衛生法令改正等についての研修コンテンツのデジタル化・オンライン化の推進、
⑥地域産業保健センター(地域窓口)等の活用による実地研修の推進、⑦研修会
申請のデジタル化による単位数の確認、単位認定手続きの改善。
認定産業医研修のホームページ掲載やオンライン受講に伴う本人確認ツール
の開発など提言が実施された事例もあるが、今後の検討課題として引き続き議
論するテーマも残されている。
「新しい化学物質管理における産業医の役割」については、化学物質のばく
露、吸収、分布、代謝、排泄、健康影響等については、産業医が理解を深めるべ
き事項であり、化学物質管理者や保護具着用管理責任者の役割の重要性を理解
して、それぞれに助言する役割を担う。また、リスクアセスメント対象物健康診
断の内容や衛生委員会での審議事項に意見を述べ、労働衛生教育を行い、緊急時
対応に対応する役割を担うことになる。本報告ではアセトニトリルを例に対応
が示されたが、今後とも研修会等で化学物質の自律的管理について産業医の理
解と能力の向上を図る必要がある。

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