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産業保健委員会答申について (48 ページ)

公開元URL https://www.med.or.jp/nichiionline/article/011723.html
出典情報 産業保健委員会答申について(5/15)《日本医師会》
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(2)救急医療

特別な処置は、搬送された医療機関での主治医の診断と治療を指している
が内容は書かれていない。アセトニトリルの SDS は医療機関に準備されてい
ないし、治療に当たる医師がアセトニトリル中毒の診断と治療法を修得して
いるわけではない。
一般に SDS には治療法の記述はない。厚生労働省有害性評価書アセトニト
リル 10)(表 2.13)には ADME(吸収、分布、代謝、排泄)が記載されている。
アセトニトリルの毒性の本体はシアン化物が細胞内のミトコンドリアに作用
し細胞呼吸を阻害することにある。アセトニトリルの半減期は 32 時間であり、
シアン化物に代謝されてから毒性が発現するため、致死量のばく露があった
としても初期には無症状であり、帰宅後や翌日に脱力感、嘔吐、気分不良と
いった症状が出現し、次第に重症になり死に至る。
化学物質管理者は、そのような臨床経過をたどることを知っておくべきで
あり、作業を行う労働者に伝え、ばく露防止対策の実施と、初期症状が出現し
た場合の対応について伝えておくべきである。また、搬送先の医療機関に SDS
やばく露の状況について情報提供を行うべきである。
産業医も情報収集して化学物質管理者に情報提供して産業医が在席してい
なくても適切な対応ができるようシステム化を指導すべきである。治療法に
ついて普段から文献検索を行うとともに日本中毒情報センターから情報を得
て、緊急時に主治医に情報提供する準備をするように努めるべきである。

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