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産業保健委員会答申について (53 ページ)

公開元URL https://www.med.or.jp/nichiionline/article/011723.html
出典情報 産業保健委員会答申について(5/15)《日本医師会》
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3. 産業保健の課題(自律的な化学物質管理以外)
3.1. 産業医未選任事業場の存在
常時使用する労働者数が 50 人以上の事業場において、法令上の罰則も規
定されている産業医の選任義務を順守していない事業場は減少傾向にあるも
のの、9.3%(令和 3 年労働安全衛生調査)存在するという事実については、
従前から大きな課題と認識し、これまでの答申でも、未選任事業場が確認さ
れた場合は、地域医師会に連絡のうえ産業医を選任させるような行政指導を
徹底することを提言してきた(産業保健委員会答申(令和 4 年 6 月))。
常時使用する労働者数が 50 人未満の事業場(以下、小規模事業場)にお
いては認定産業医等に労働者の健康管理等の一部を行わせることは努力義務
となっているが、その選任割合は 15.7%にとどまっている(令和 3 年労働安
全衛生調査)。また、小規模事業場への産業保健に関する支援や相談の主要な
機関である地域産業保健センターの活用は、同センター側の人的、経済的な
制約もあり必要な支援が十分に小規模事業場に行き届いているとは言い難い。
令和 5 年度から 5 か年間の第 14 次労働災害防止計画では、50 人未満の小規
模事業場のストレスチェック実施の割合を 50%以上とする目標が掲げられて
いる。一方で、そういった地域産業保健センターの機能を有料で代替するよ
うな民間の事業者(産業保健に関する支援や相談の提供を専門とする産業医
や産業保健看護職)が出てきている。しかしながら、持続的な産業保健の支
援には小規模事業場側が一定のコストを負担することが不可欠であるが、小
規模事業場側において、コストを負担した上で産業保健の支援事業を利用す
るという意識は低く、無料で地域産業保健センターから提供される事業を利
用した後に、そのような民間事業者の利用に移行するケースは限定的である。
さらに、近年、組織に属さずに働く個人事業者(フリーランス)が増加し
ており、第 14 次労働災害防止計画においても、重点事項として「個人事業者
等に対する安全衛生対策の推進」が取り上げられている。一般的に、個人事
業者は健康管理においてより脆弱である可能性が高い。今後は、本委員会に
おいても、事業場に属さずに労働する者に対する産業保健のあり方について
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