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【参考報告書3】(3)リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組に関する調査研究事業 (報告書案)[17.2MB] (98 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_56824.html
出典情報 社会保障審議会 介護給付費分科会(第246回 4/14)《厚生労働省》
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4.調査結果概要
ヒアリング調査によると、一体的取組に関する実施状況として、一体的取組に係る加算の新設以前か
ら一体的取組を行っている施設・事業所については、取組開始の経緯として、利用者の状態を改善するた
めに自主的に開始した例、法人上層部からの指示があった例、科学的介護情報システム(以下、
「LIFE」
という。
)の導入を機に、効率的に PDCA サイクルの好循環を生み出すために開始した例が挙げられた。
取組実施に当たっての体制構築については、現場の介護職員の担当制を強化し、担当制をもとにカンフ
ァレンスに参加する職員を選定した。一体的取組の実施上の工夫としては、職員に対し、制度の本質の理
解や認識整理のために研修や個別のフォローアップを実施している例や、多職種が連携しやすいよう一
体的様式をカスタマイズしている例があった。一方、課題としては、人手不足や専門職間での考え方の違
いがあることや、各専門職間で何を連携していくべきか整理する必要があることが挙げられた。一体的
取組を行ったことによる効果について、ケアの質向上に関する効果については、多職種間でのコミュニ
ケーションがとりやすくなったことにより、一人の利用者に対するケア全体を俯瞰することができ、職
員の意識の向上やより利用者の生活に根付いたケアの提供が可能になった等の声が聞かれた。また、利
用者の状態に対しては、誤嚥性肺炎への予防効果、栄養の観点が加わったことで生活機能向上に対して
効果的かつ早めの対策をとることができる、利用者がターミナルケアの段階であっても、安全に経口摂
取を継続することができるといった効果が見られた。また、一体的取組の今後の在り方としては、重症化
予防の観点での評価の創設や利用者変化に関する記録方法の整備、言語聴覚士の介入における制度的な
担保が必要であるといった意見が聞かれた。
同じく一体的取組に関する実施状況として、一体的取組に係る加算の新設を契機に一体的取組を開始
した施設・事業所については、取組開始の経緯として、以前から多職種連携自体は実施していたが、加算
の創設を契機に正式に取組を開始したという例が多かった。取組実施に当たっての体制構築については、
専門職の採用、各職種が連携したケアプランの作成やカンファレンスの実施に際して体制・フローを整
理したことが挙げられた。実施上の工夫としては、利用者の自宅も選択肢に含めるなどカンファレンス
の場所を工夫している例、期間目標を決めたアプローチの進捗報告を行うなどカンファレンスの議題を
工夫している例、記録ソフト上で一体的様式の閲覧できるようにしている例があった。一方、課題として
は、マンパワー不足、介護職員のスキル不足、一体的様式の効果的な活用までに至っていないことが挙げ
られた。一体的取組を行ったことによる効果について、ケアの質向上に関する効果については、職員の意
識向上、コミュニケーションが増えたことによるスキルの向上、ケアの全体観を踏まえた評価・介入、各
専門職の役割の明確化に関する効果が見られた。また、利用者の状態に関する効果に対しては、誤嚥性肺
炎の予防、低栄養リスクの高い利用者の早期発見や栄養状態の維持改善、褥瘡の改善に効果が見られた。
加えて、一体的取組の今後の在り方として、医療・介護間の報酬格差解消や LIFE と一体となった仕組み
作り、ケアマネジャーや利用者家族等にも必要性が伝わりやすい制度とすることへの意見が聞かれた。
口腔衛生の管理に関する実施状況については、取組開始に当たって、ミールラウンドへの参加体制の
整理や連携機関との体制構築を行っている例があった。実施上の工夫については、専門職による全職員・
利用者に対する研修や歯科衛生士の口腔に関する情報発信等が挙げられる。一方、課題としては、介護職
員への口腔に関するスキル向上や技術的助言・指導のオンライン実施を含む効率的な運用がある。ケア
の質向上に関して、職員の・スキルともに向上する効果があり、利用者の状態に対しては、食形態や嚥下
機能の改善、誤嚥性肺炎による入院件数が大きく減少したといった効果もあった。

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