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資料No.1-1~1-5_第十八改正日本薬局方第二追補(案) (16 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000174942_00008.html |
出典情報 | 薬事・食品衛生審議会 日本薬局方部会(令和5年度第1回 1/22)《厚生労働省》 |
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14 一般試験法 3.07 動的光散乱法による液体中の粒子径測定法
第十八改正日本薬局方第二追補
48
動的光散乱(DLS:Dynamic Light Scattering)法は,液体中
1
3.2.
2
3.2.1. 操作法
第2法 (ボリュメーターを用いる方法)
49
に分散されたサブミクロンサイズの粒子に対して,平均流体力
3
250±15回/分の公称速度で3±0.2 mmの固定した落下高さ
50
学径とその分散の程度を決定するのに使用することができる.
4
が得られるタップ密度測定器を用いるほかは,第1法で指示さ
51
粒子径分布は,懸濁剤,乳剤,又はリポソーム製剤などの分散
5
れたように行う.
52
系における重要な特性である.DLS法が適用できるのは流体
6
3.3.
53
力学径がサブミクロンサイズのときであり,特に,粒子径がお
7
3.3.1. 操作法
54
およそ1ミクロンまでのランダムに動く粒子からなる分散系の
図3.01-2に示した補助円筒を装着した測定用容器を用いて, 55
粒子径解析に適している.なお,本測定法はISO22412:2017
8
第3法 (容器を用いる方法)
9
疎充塡かさ密度の測定法に従って行う.適切なタップ密度測定
56
に準拠したものである.
10
器を用いて補助円筒付きの測定用容器を50 ~ 60回/分でタッ
57
1. 原理
11
プする.200回タップして補助円筒を取り外し,傾斜させたヘ
58
液体中に分散されたサブミクロンサイズの粒子は,沈降する
12
ラの刃をカップ上端面で滑らかに動かし,圧密やカップからの
59
ことなく,ブラウン運動として知られる常にランダムな動きを
13
粉体の溢流を防ぐためにヘラを後傾させた状態で,測定用容器
60
している.これらの粒子にレーザー光が照射されると,動いて
14
の上面から過剰の粉体を注意深くすり落とす.あらかじめ測定
61
いる粒子により散乱された光の強度は,粒子の拡散係数に応じ
15
しておいた空の測定用容器の質量を差し引くことによって,粉
62
て変動する.大きな粒子は動きが遅いので,大きな粒子による
16
体の質量(M )を0.1%まで測定する.タップ操作を更に400回繰
63
散乱光強度の揺らぎは緩やかであり,一方,小さな粒子による
17
り返す.200回及び400回タップ後に得られた二つの質量の差
64
散乱光強度の揺らぎは短時間で変化する.DLS法では,この
18
が2%を超えた場合には,二つの連続した測定値間の差が2%
65
拡散係数に依存した散乱光強度の揺らぎが測定されて,解析さ
19
未満となるまで更に200回ずつタップして,試験を行う.式Mf
66
れる.並進拡散係数と球相当粒子径は,ストークス・アインシ
20
/100 (Mfは測定用容器中の粉体の最終かさ質量)を用いてタッ
67
ュタイン式によって関係づけられている.
21
プ充塡かさ密度(g/mL)を計算する.異なる粉体試料を用いて
22
繰り返し測定することが望ましい.タップ高さも含めた試験条
68
x=3 D
23
件を結果の項目中に記載しておく.
24
4. 粉体の圧縮性の尺度
kT
69
x:球相当粒子の流体力学径(m)
25
粉体のかさ特性に影響する粒子間相互作用は,粉体の流動を
70
k:ボルツマン定数(1.38 × 10-23 J・K-1)
26
妨げるので,疎充塡かさ密度とタップ充塡かさ密度を比較する
71
T:絶対温度(K)
27
ことは,ある特定の粉体におけるこれらの相互作用の相対的重
72
:分散媒の粘度(Pa・s)
28
要性を示す間接的な尺度となり得る.このような比較は,例え
73
D:並進拡散係数(m2・s-1)
29
ば,圧縮度又はHausner比のように,粉体の流れやすさの指
30
標としてしばしば用いられる.
31
32
33
34
圧縮度とHausner比は,先に述べたように粉体の圧縮性の
尺度となる.
次式により圧縮度及びHausner比を計算する.
圧縮度=(V0 - Vf )/V0 × 100
35
V0:疎充塡体積
36
Vf :最終タップ充塡体積
37
Hausner比=V0/Vf
38
試料によっては,圧縮度はV0の代わりにV10を用いて求める
39
ことができる.V0の代わりにV10を用いた場合は,試験結果に
40
明記する.
41
一般試験法の部 3.06 レーザー回折・散乱法による粒子径
42
測定法の条の次に次の一条を加える.
43
3.07
定法
44
45
46
47
動的光散乱法による液体中の粒子径測
74
75
散乱光の強度変動は,経時的な位相シフト又はスペクトル周
波数のシフトで評価できる.
76
これらの考えに基づき,経時的な散乱光強度は,光子相関
77
(PCS:Photon Correlation Spectroscopy)法か周波数解析法か
78
のいずれかにより処理される.
79
PCS法では,経時的な散乱光強度は,それ自身を時間的に
80
ずらした波形との相関をとる(自己相関)あるいは他の検出器か
81
ら得られた信号との相関をとる(交差相関).粒子分散系の自己
82
相関関数及び交差相関関数は,相関時間の増加と共に相関値が
83
減衰する.この減衰は指数関数的である.減衰率は,散乱光の
84
粒子サイズに応じた揺らぎ(大粒子ではゆっくり,小粒子では
85
速く揺らぐ)によって決まる.
86
周波数解析法では,散乱光の周波数のパワースペクトルを解
87
析する.試料が粒子分散系ならば,パワースペクトルはローレ
88
ンツ型の関数で記述される.
89
この二つの手法は,数学的に等価である.つまり,周波数解
90
析法のパワースペクトルは,PCS法における自己相関関数を
91
92
フーリエ変換したものに一致する.このため,どちらの手法を
用いても,平均粒子径(―
x )と粒子径分布の分散の程度を反映
93
した多分散指数(PI)が求められる.
DLS
94
データの評価には,異なる数学的手法が用いられる.例え
本試験法は,三薬局方での調和合意に基づき規定した試験法である.
95
ば,粒子径分布の評価には逆ラプラス法が用いられ,自己相関
三薬局方の調和合意に関する情報については,独立行政法人医薬品医
96
関数の評価にはキュムラント法が用いられる.
療機器総合機構のウェブサイトに掲載している.
97
DLS式測定装置に使われている光学検出方法は三つのタイ
98
プがある.散乱光のみを検出するホモダイン法,散乱光と入射
日本薬局方の医薬品の適否は,その医薬品各条の規定,通則,生薬総則,製剤総則及び一般試験法の規定によって判定する. (通則5参照 )
第十八改正日本薬局方第二追補
48
動的光散乱(DLS:Dynamic Light Scattering)法は,液体中
1
3.2.
2
3.2.1. 操作法
第2法 (ボリュメーターを用いる方法)
49
に分散されたサブミクロンサイズの粒子に対して,平均流体力
3
250±15回/分の公称速度で3±0.2 mmの固定した落下高さ
50
学径とその分散の程度を決定するのに使用することができる.
4
が得られるタップ密度測定器を用いるほかは,第1法で指示さ
51
粒子径分布は,懸濁剤,乳剤,又はリポソーム製剤などの分散
5
れたように行う.
52
系における重要な特性である.DLS法が適用できるのは流体
6
3.3.
53
力学径がサブミクロンサイズのときであり,特に,粒子径がお
7
3.3.1. 操作法
54
およそ1ミクロンまでのランダムに動く粒子からなる分散系の
図3.01-2に示した補助円筒を装着した測定用容器を用いて, 55
粒子径解析に適している.なお,本測定法はISO22412:2017
8
第3法 (容器を用いる方法)
9
疎充塡かさ密度の測定法に従って行う.適切なタップ密度測定
56
に準拠したものである.
10
器を用いて補助円筒付きの測定用容器を50 ~ 60回/分でタッ
57
1. 原理
11
プする.200回タップして補助円筒を取り外し,傾斜させたヘ
58
液体中に分散されたサブミクロンサイズの粒子は,沈降する
12
ラの刃をカップ上端面で滑らかに動かし,圧密やカップからの
59
ことなく,ブラウン運動として知られる常にランダムな動きを
13
粉体の溢流を防ぐためにヘラを後傾させた状態で,測定用容器
60
している.これらの粒子にレーザー光が照射されると,動いて
14
の上面から過剰の粉体を注意深くすり落とす.あらかじめ測定
61
いる粒子により散乱された光の強度は,粒子の拡散係数に応じ
15
しておいた空の測定用容器の質量を差し引くことによって,粉
62
て変動する.大きな粒子は動きが遅いので,大きな粒子による
16
体の質量(M )を0.1%まで測定する.タップ操作を更に400回繰
63
散乱光強度の揺らぎは緩やかであり,一方,小さな粒子による
17
り返す.200回及び400回タップ後に得られた二つの質量の差
64
散乱光強度の揺らぎは短時間で変化する.DLS法では,この
18
が2%を超えた場合には,二つの連続した測定値間の差が2%
65
拡散係数に依存した散乱光強度の揺らぎが測定されて,解析さ
19
未満となるまで更に200回ずつタップして,試験を行う.式Mf
66
れる.並進拡散係数と球相当粒子径は,ストークス・アインシ
20
/100 (Mfは測定用容器中の粉体の最終かさ質量)を用いてタッ
67
ュタイン式によって関係づけられている.
21
プ充塡かさ密度(g/mL)を計算する.異なる粉体試料を用いて
22
繰り返し測定することが望ましい.タップ高さも含めた試験条
68
x=3 D
23
件を結果の項目中に記載しておく.
24
4. 粉体の圧縮性の尺度
kT
69
x:球相当粒子の流体力学径(m)
25
粉体のかさ特性に影響する粒子間相互作用は,粉体の流動を
70
k:ボルツマン定数(1.38 × 10-23 J・K-1)
26
妨げるので,疎充塡かさ密度とタップ充塡かさ密度を比較する
71
T:絶対温度(K)
27
ことは,ある特定の粉体におけるこれらの相互作用の相対的重
72
:分散媒の粘度(Pa・s)
28
要性を示す間接的な尺度となり得る.このような比較は,例え
73
D:並進拡散係数(m2・s-1)
29
ば,圧縮度又はHausner比のように,粉体の流れやすさの指
30
標としてしばしば用いられる.
31
32
33
34
圧縮度とHausner比は,先に述べたように粉体の圧縮性の
尺度となる.
次式により圧縮度及びHausner比を計算する.
圧縮度=(V0 - Vf )/V0 × 100
35
V0:疎充塡体積
36
Vf :最終タップ充塡体積
37
Hausner比=V0/Vf
38
試料によっては,圧縮度はV0の代わりにV10を用いて求める
39
ことができる.V0の代わりにV10を用いた場合は,試験結果に
40
明記する.
41
一般試験法の部 3.06 レーザー回折・散乱法による粒子径
42
測定法の条の次に次の一条を加える.
43
3.07
定法
44
45
46
47
動的光散乱法による液体中の粒子径測
74
75
散乱光の強度変動は,経時的な位相シフト又はスペクトル周
波数のシフトで評価できる.
76
これらの考えに基づき,経時的な散乱光強度は,光子相関
77
(PCS:Photon Correlation Spectroscopy)法か周波数解析法か
78
のいずれかにより処理される.
79
PCS法では,経時的な散乱光強度は,それ自身を時間的に
80
ずらした波形との相関をとる(自己相関)あるいは他の検出器か
81
ら得られた信号との相関をとる(交差相関).粒子分散系の自己
82
相関関数及び交差相関関数は,相関時間の増加と共に相関値が
83
減衰する.この減衰は指数関数的である.減衰率は,散乱光の
84
粒子サイズに応じた揺らぎ(大粒子ではゆっくり,小粒子では
85
速く揺らぐ)によって決まる.
86
周波数解析法では,散乱光の周波数のパワースペクトルを解
87
析する.試料が粒子分散系ならば,パワースペクトルはローレ
88
ンツ型の関数で記述される.
89
この二つの手法は,数学的に等価である.つまり,周波数解
90
析法のパワースペクトルは,PCS法における自己相関関数を
91
92
フーリエ変換したものに一致する.このため,どちらの手法を
用いても,平均粒子径(―
x )と粒子径分布の分散の程度を反映
93
した多分散指数(PI)が求められる.
DLS
94
データの評価には,異なる数学的手法が用いられる.例え
本試験法は,三薬局方での調和合意に基づき規定した試験法である.
95
ば,粒子径分布の評価には逆ラプラス法が用いられ,自己相関
三薬局方の調和合意に関する情報については,独立行政法人医薬品医
96
関数の評価にはキュムラント法が用いられる.
療機器総合機構のウェブサイトに掲載している.
97
DLS式測定装置に使われている光学検出方法は三つのタイ
98
プがある.散乱光のみを検出するホモダイン法,散乱光と入射
日本薬局方の医薬品の適否は,その医薬品各条の規定,通則,生薬総則,製剤総則及び一般試験法の規定によって判定する. (通則5参照 )