よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


資料No.1-1~1-5_第十八改正日本薬局方第二追補(案) (17 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000174942_00008.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 日本薬局方部会(令和5年度第1回 1/22)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

第十八改正日本薬局方第二追補

一般試験法

3.07 動的光散乱法による液体中の粒子径測定法 15 .

1

光を干渉させて検出するヘテロダイン法,及びホモダイン法に

55

試料の希釈に用いる分散媒からの散乱光ノイズは,通常検出さ

2

よる測定を二つ同時に実施する交差相関法である.

56

れないか又は非常に弱くなければならない.

3

2. 装置

57

また,測定に影響を与えるダストを除去し,調製中の再混入

58

を防止することが重要である.もし異常に強い信号を伴う大き

4

一般的な測定装置は,以下の構成となる.

5

(ⅰ)

レーザー:単色かつ可干渉性のあるレーザーで,入射光

59

な揺らぎが記録される場合や,試料を通過するレーザー光中に

6

軸と受光光学系の軸とを含む面に対して,垂直な電場成分をも

60

輝点が出現する場合においては,混入した異物又は塊状粒子が

7

つ偏光(垂直偏光)となるように設置する.測定セル内の試料を

61

試料に含まれている可能性が高い.そのような場合,分散媒を

8

照射する.

62

使用前に更に清浄化する措置(ろ過,蒸留など)をする必要があ

9

(ⅱ)

63

る.

10

0.3℃)に保つために使用する.

64

なお,水を分散媒として用いる場合,新たに蒸留した水又は

11

(ⅲ)

光学系及び検出器:ヘテロダイン法又は交差相関法で用

65

脱塩してろ過(例えば,孔径0.2 μmのフィルターを用いる)した

12

いられるビームスプリッタ,入射レーザー光に対して一定の角

66

水の使用が推奨される.

13

度に配置された検出器(通常,単一散乱角について実施)により,

67

粒子が強く帯電して,長距離の粒子間相互作用が測定結果に

14

適切なサンプリングレートでみかけの散乱光強度が測定される

68

影響することもある.その際には影響を低減するために,分散

15

(このみかけの散乱光強度は,1回のサンプリングあたりの散乱

69

媒に微量の塩(例えば,塩化ナトリウム濃度;10-2 mol/L程度)

16

体積内の全粒子の散乱光強度である).検光子を含む場合,検

70

を添加してもよい.また,冷蔵保存していたサンプルを室温で

17

光子は垂直偏光の透過率が最大になるように設置される.

71

測定する場合には,測定セル中で気泡が生じる可能性があるた

18

(ⅳ)

72

め,注意する必要がある.

19

(周波数解析法の場合)

73

20

(ⅴ) 演算装置及びデータ処理ソフトウェア(相関計やスペクト

74

の試料において適切であるか確認する.

21

ルアナライザーの機能を有するデータ処理装置もある.)

75

4.2.

22

3. 装置の性能の管理/適格性確認

76

試料ホルダー:試料の温度を適切な範囲内(例えば,±

相関計(光子相関法の場合)又はスペクトルアナライザー

測定値に粒子濃度依存性が見られた場合には,濃度範囲がそ
測定手順

装置の電源を入れ,暖機運転をする.

23

DLS法により得られた粒子径は,標準粒子から算出された

77

必要に応じてセル洗浄を行う.洗浄の程度は測定条件によっ

24

相対的な値ではなく,基本原理に基づいた絶対的な値であるの

78

て異なる.個別に包装された使い捨ての清浄なセルを用いる場

25

で,校正は不要である.

79

合は,そのまま使用することもできる.セルを洗浄する場合は,

26

しかし,装置を設置したとき,又は装置の動作に疑いがある

80

水あるいは有機溶剤でセルをすすぐ.必要に応じて,研磨剤を

27

場合には,粒子径が認証された試料を用いて,性能の確認を行

81

含まない洗剤を用いてもよい.

28

うことが必要である.また,その後少なくとも1年ごとに性能

82

試料の入ったセルを試料ホルダー内に入れ,試料の温度が試

29

の確認を行うことが望ましい.

83

料ホルダーの温度と平衡になるまで待つ.温度を±0.3℃以内
の精度で制御し,測定することが望ましい.

30

認証された標準物質については,DLS法又は可能なら電子

84

31

顕微鏡で検証済みの適切な平均粒子径のものの使用が推奨され

85

32

る.100 nm程度又はその他適切な粒子径で,狭い粒子径分布

86

33

を持つポリスチレンラテックス粒子が用いられる.

87

適切な測定時間や積算回数を設定し,測定する.

予備測定を実施して,4.1.試料調製の項に記載の通り,粒子
濃度を適切な範囲に設定する.

34

平均粒子径の測定値は,認証値との差が2%以内でなければ

88

1回の測定ごとに平均粒子径と多分散指数を記録する.

35

ならない.キュムラント法では,多分散指数の測定値は0.1以

89

測定終了時に,試料中に顕著な沈殿物が認められないことを

36

下であり,少なくとも5回連続測定したときの相対標準偏差は

90

確認する.沈殿物が認められた場合は,凝集又は析出が生じた

37

2%以下でなければならない.

91

試料であるか,DLS法による測定に適していない試料である

38

4. 手順

92

可能性がある.

39

4.1.

試料調製

93

4.3.

40

(ⅰ)

試料は,分散媒中によく分散した物質からなる.分散媒

94

本試験法で得られる再現性は,主に試料の特性(懸濁剤/乳

41

は,次の要件を全て満たすものを選ぶ.

95

剤,分散安定性,粒子径分布の分散の程度など)に依存するが,

データの再現性

42

a 使用するレーザーの波長に対して吸収を認めない.

96

要求される再現性は測定の目的に依存する.(異なる試料の調

43

b

装置に用いられている材質に腐食などの影響を与えない.

97

製における)再現性は物質によって大きく異なることから,本

44

c

粒子に対して溶解,膨潤,凝集などの影響を与えない.

98

45

d

試験物質と異なった既知の屈折率をもつ.

99

項においてその必須要件を定めることはできない.しかし,少
なくとも3回測定した際の平均粒子径(―
x )の相対標準偏差が

46

e

測定温度における粘度が±2%以内の精度で既知である. 100

10%以下といった,再現性の許容基準を目標とすることが望

47

f

ほこりなどによる粒子汚染がなく,バックグラウンド散

101

ましい.

乱が低く,測定に支障のない清浄レベルである.

102

5. 結果の記録

48

DLS

49

(ⅱ)

多重光散乱の影響を除去するため,粒子濃度は適切な範

103

50

囲に収めなければならない.粒子濃度の範囲(特に上限)は,粒

104

51

子径の測定結果に濃度の影響が認められないことを確かめるこ

105

また,使用した分散媒とその屈折率及び粘度,及び試料温度

52

とが適切である.段階的に希釈した試料の測定結果に基づき分

106

等について記載し,測定系についての十分な情報として,例え

53

析の前に決定することが望ましい.濃度の下限は主に,分散媒

107

ば,測定原理(PCS法又は周波数解析法),光学的配置(ホモダ

54

及び汚染物質からの散乱光に影響されない条件から決定する.

108

イン又はヘテロダイン),レーザー波長及び観測角度などの測

試験の記録には,平均粒子径と多分散指数を記載しなければ
ならない.

日本薬局方の医薬品の適否は,その医薬品各条の規定,通則,生薬総則,製剤総則及び一般試験法の規定によって判定する. (通則5参照 )