介護予防・日常生活支援総合事業の活性化に向けた自治体支援ツール(支援パッケージ)の構築に係る調査研究 報告書 (128 ページ)
出典
公開元URL | https://www.jmar.co.jp/job/public/llg.html |
出典情報 | 介護予防・日常生活支援総合事業の活性化に向けた自治体支援ツール(支援パッケージ)の構築に係る調査研究(5/15)《日本能率協会総合研究所》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
サービスAの事業デザインについて、どのように考えていけば
良いでしょうか?
民間活用 サービス
事業デザイン
大事な視点
要支援者や事業対象者は、とても幅広い状態像を有しており、再び始めてみたいことや新たに挑戦
してみたいことなども多種・多様です。多様なサービスを生み出す際には、関係機関・関係者の意
見を幅広く聴取し、さまざまな角度からニーズがあるかを検討する必要があります。
また、自由な発想で、虚弱高齢者が活動的になれることは何か?脳を活性化させ、生きがいや、や
りがいなどを見出せるものは何か?などを考える視点が大切です。
イメージできるよう、具体的な事例を教えてください
例えば、Aさんは、ずっと農業をしながら過ごしてきましたが、80歳を超え体力が低下したことから、息子夫
婦に引き取られB町に転入してきました。B町は第1次産業は少なく、第3次産業が中心の町で、Aさんはな
かなかB町に馴染むことができませんでした。方言も気にされ、なかなか新しい友人も作れず、次第に家から
出ることもなくなり、気持ちもふさぎ込んでいきました。
Aさんのような人は少なくはなく、地域包括支援センターの総合相談や第2層生活支援コーディネーターの活
動においても、要支援等の状態にある複数の人から「以前のように米は作れなくても、野菜の収穫など土いじ
りがしたい」という声があり、介護予防のための地域ケア会議においても「遊林農地を活用した畑活動ができ
ないだろうか」という提案などが出ました。B町には、多様なサービスとして通所型・訪問型サービスBはあ
りましたが、サービスAは介護事業所が実施している基準緩和型のAのみでした。そこで、地域包括支援セン
ターや第2層生活支援コーディネーター等の意見を元に地域包括支援センター運営協議会や第1層協議体でも
議題に挙げ、多様なサービスの創出として、遊林農地を活用したサービスAの在り方について検討しました。
いずれの場でも多様なニーズを捉え、新たな事業を生み出すことは良いことだと具体的な事業展開に向けて前
向きな発言が聞かれました。
事業デザインを考える際の手順を教えてください
まずは、虚弱高齢者や認知症高齢者にどのようなニーズがあるかを次の関係機関・関係者から多角的に把握し、
仮説を立てます。
①地域包括支援センターの総合相談や介護予防ケアマネジメントの実態
②第1層、第2層の生活支援コーディネーターの日頃の活動や協議体での議論
③認知症地域支援推進員の活動 ④社会福祉協議会の地域の活動 ⑤民生児童委員等の日頃の活動
⑥老人クラブ連合会や自治会
⑦介護事業所等
⑧ニーズ調査
⑨自治体の介護保険課や高齢福祉関係の窓口対応 ⑩庁内連携会議などの場 ⑪その他
上記の窓口対応からのヒントやヒアリング調査、あるいはアンケート調査などから、従前相当サービス以外に
どのようなサービスが構築されると虚弱高齢者の興味・関心がわき、生活機能の向上につながるサポートがで
きるかを考えます。その際、介護保険という枠組みにとらわれすぎず、まずは、自由に議論することが大切で
す。どんなことなら「もう、年だから仕方ない」というあきらめの境地から「ちょっと挑戦してみよう」「こ
れなら楽しめそう」「これならできそう」と思えるものが準備できるか?という点に着目して、まずは「事業
化できる・できない」を先に考えるのではなく、「こんなことがサービスAの枠組みの中で実現できたらいい
ね」を関係機関・関係者で対話しながら、まとめていくと良いでしょう。
さまざまな意見が出た中で、次は、実現可能性の高いものに絞り込んでいき、出たアイディアを具現化できる
ように落とし込んでいくことが必要です。例えば、その対話の中で「畑などの活動が虚弱高齢者の活動量を上
げるために重要で、できた野菜をみんなで食する」というところまでを一連の流れにすると物を作る・育て
る・分かち合うという観点からも刺激を受けることができるのではないでしょうか。
107