歴史の転換点における財政運営 (116 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20220525/zaiseia20220525.html |
出典情報 | 財政制度等審議会 歴史の転換点における財政運営(5/25)《財務省》 |
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当初予算及び補正予算を合わせた中小企業対策費の規模は、新型コロ
ナ対応に伴い膨張した。令和2年度(2020 年度)は 27.7 兆円と未曽有の
水準まで増加し、令和3年度(2021 年度)は 4.2 兆円と、リーマンショ
ックや東日本大震災時の規模を大きく上回っている。
内訳をみると、主なものには、資金繰り支援、事業者向け給付金等があ
る。これらの支援策は、感染状況や経済状況が見通せない中で、新型コロ
ナの影響を受けた中小企業等の事業継続を支える上で意義があったと考
えられる。もっとも、昨年 12 月の当審議会の建議でも指摘したとおり、
こうした一時的かつ非常時の支援が常態化することは、公的支援への依
存度を高め、中小企業の多様で活力ある成長発展を阻害するおそれがあ
る。具体的には、過大な公的支援には、以下の弊害があると考えられる。
〔資料Ⅱ-6-1参照〕
第一に、新陳代謝の阻害につながるおそれがある。新型コロナの影響に
もかかわらず、昨年の倒産件数は 6,030 件と、過去の好況期と比較して
も低い水準となった。また、労働生産性も諸外国との比較でみて大きく見
劣りする状況にある。新型コロナの影響を受ける事業者の事業継続に万
全を期すことは重要であるものの、新陳代謝を過度に抑制することなく、
自律的な成長軌道に乗せていくよう見直していくべきである。
〔資料Ⅱ-
6-2参照〕
第二に、中小企業等の補助金依存を強めるとともに、本来の趣旨である
適切な行動変容につながっていないおそれがある。補助金は、民間企業の
行動変容の呼び水であるべきだが、認定支援機関も巻き込んだ補助金獲
得競争となっている面もあるのではないか。本来、事業者毎に異なるはず
の強みや市場分析が不十分なまま、採択されやすさや一過性の流行に乗
って安易な事業再構築が量産されている可能性に留意すべきである。
〔資
料Ⅱ-6-3参照〕
第三に、コスト意識の低下から、過大投資の誘発につながるおそれがあ
る。昨年 12 月の当審議会の建議を踏まえ、令和3年度(2021 年度)補
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