よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


歴史の転換点における財政運営 (52 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20220525/zaiseia20220525.html
出典情報 財政制度等審議会 歴史の転換点における財政運営(5/25)《財務省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

る。
まず、一定の要件を満たせば算定を認める診療報酬の仕組みのもとで
は、診療行為の算定回数を正確に見通すことも制御することも難しい側
面がある。このように加減が効かない仕組みであることに加えて、診療報
酬が現状では原則的に地域の実情に応じられない全国一律の体系である
こと、人員配置などのストラクチャー評価に重点を置いていることが、診
療報酬改定による人員体制を含めた地域の医療提供体制への影響を助長
し、負の影響を及ぼすことがあり得る。このため、診療報酬改定において
は、極力医療提供体制に歪みをもたらさない制度設計を目指されなけれ
ばならない46。
このような認識のもと、昨年 12 月の当審議会の建議では、令和4年度
(2022 年度)診療報酬改定に向けて、
「医療提供体制改革なくして診療報
酬改定なし」の考え方を示すとともに、診療報酬の体系的見直しの方向性
や個別の改定項目について提言した。その結果、令和3年(2021 年)12
月 22 日大臣合意(財務大臣・厚生労働大臣、以下「大臣合意」という。

においては、看護配置7対1の入院基本料を含む入院医療の評価の適正
化や更なる包括払いの推進など、医療提供体制改革に資する個別の改定
項目の見直しの方向性が盛り込まれ、令和4年度(2022 年度)診療報酬
改定に一定程度反映されることとなった。
政府支出に占める割合が高い医療費についてワイズスペンディングを
徹底することは国民的な要請であり、医療政策の内容やその制度設計、診
療報酬体系や個別の改定項目について財政当局や当審議会が具体的に提
言していくことは当然の責務である。今後とも具体的な提言を強化し、そ
の反映に努めるとともに、効果検証を含めた PDCA サイクルを回してい
かなければならない。〔資料Ⅱ-1-40 参照〕

診療報酬改定が医療提供体制に負の影響をもたらした実例として、平成 18 年度(2006 年度)
診療報酬改定において導入された看護配置7対1の入院基本料の設定による当該病床のいたず
らな急増がある。その後累次にわたる算定要件の見直しにもかかわらず、当該病床の集約化は進
まなかった。この結果、医療資源の散在が加速化し、実際には低密度で対応できる医療しか行わ
ない、いわゆる「なんちゃって急性期病床」が急増した。
-40-

46